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TS転生は平行世界で  作者: アマキュウ
転生
2/7

認めない

前回、誰も言っていないからちゃんと表示されているのかな?


なかなか内容を濃く書けないな。

あれから起きたり、寝たり、寝ようにも寝られなくて泣いたりした。

何十度寝した。


どのくらい時間が過ぎたのかわからない。1日たったかもしれないし、1週間たっているかもしれない。


起きているとき、目を開けることができたがぼんやりとしかわからなかった。


せいぜい明るいか、暗いか。


幸いなことに音は聞こえる。


「理奈、お母さんだよ」

「お父さんだぞ〜」

「理奈!」


母親、父親、男の子の幼児(兄か?) がいるみたいだ。

そして俺は理奈らしい。


ハハ、まさかだけど本当に転生か? たしかに転生する条件(車に轢かれて死んでいるかもしれない)は満たしている。

しかもTS転生らしいな。やめてくれ。いい加減夢から覚めてくれ。まだ見てないアニメがあるんだ。黒歴史ノートが見つかるのも時間の問題なんだよ! 大学受験終わって一ヵ月もたっていないんだぞ!


ハァハァ


心の中なのに息切れしちまった。


とりあえず言いたいことは心の中で言った。なら現状確認しよう。

まず俺の状態から。


生まれたての女の子。名前は理奈。

中身は交通事故にあった高校卒業したばかりの野郎。


今の場所は不明(病院か家かわからない)


周りには父親と思われる男性、母親と思われる女性、兄と思われる幼児。


この状態になってから正確な日数は不明。


この体は満足に動かすこともできない。せいぜい四肢をゆっくり動かすくらいだ。無論、歩くことはできない。


そしてずっと黙っていたが、もう何回も母乳らしきものを飲んでいる。


うん、やけにリアルだな。口に何か押し付けられている感じがして液体が出てきたし。


お腹がすくとこの体は泣きだす。


そして、排便もしている。股のあたりが不快になると泣きだす。


ほら今も。お腹すいた。


「ホギャァ、ホギャァ」

「ハイハイ、今行くね」


口に何かが押し付けられてそれを条件反射で咥える。


「いっぱい飲んでね」


言われなくても飲みます。というか勝手に飲んでいる。味はよくわからないな。


「理奈はどんな人になるのかな? お花屋さん? 学校の先生? 」

「お母さんみたいになるかな?」


父親もいたのか。顔の判別はできないが、声は聞き分けられる。


「私みたいって?」

「美人さんで、料理が美味しくて(以下略)」


お父さん! 長い! 話している間に寝ちまったぞ!


それとから両親の声、聞き覚えがあるのは何故だろう?








あれからそんなに経っていないが重要情報が入ったから報告だ! (誰にだよ!)

起きているとき、偶然耳に入ったTVのニュースだ。


『今日は各地で入学式が行われました。神奈川県内の小学校では』


ハイここ! 神奈川県! ここは日本だ!


いや〜よかった。なろうみたいに異世界転生していたらどうしようって思っていたんだよ。

異世界転生はゴメンだよ。村から出たら「ヒャッハー!」って野生の盗賊が現れるんだろ? こちらの常識と向こうの常識が合わないのは当たり前だろ? アニメないだろ? ゲームないだろ?魔物がいるんだろ?

こういう異世界しかないわけではないけど大抵そうだろ?


そしてもう一つ重要な情報がある。


『平成になってもう12年、早いものですね』

『そうですね。中学校には昭和生まれの生徒と平成生まれの生徒がいるということですね』


平成12年。おいおい、俺が生まれた年じゃないか!


俺の生年月日は平成12年(西暦2000年)3月28日


一応言っておくが、交通事故に遭った方の俺だ。


この年何があったかというとシドニーオリンピック。

他は知らない。


つまり俺は俺が生まれた年に理奈としている。


ん?


いい加減転生したのを認めろって?

わかっているさ。それなりに経ったが、一向に夢から覚める気配がない。

つまり、夢ではなく現実である可能性が高まっている。

今こうして架空の誰かに話しかけている時も可能性が高まっている。

だけどまだ認めたくないんだよ。

自分が死んで転生したって簡単に認められるか?

俺には無理だ。

ましてや、TS転生なんて。



「ホギャァ、ホギャァ」


ああ、泣いちまった。お腹がすいたわけでもなく、股に不快があったわけでもなない。

自分の感情で。心の底で『寺崎 一平』は死んでいると思ってしまっている。

認めたくない。


「お母さん、理奈!」

「わかっているよ。今行くよ」


兄が呼び、母親が俺を抱えてよしよしと揺らす。それが心地よく感じる。


母親の体温、やけに大きく聞こえる自分の鼓動、理奈と呼ばれるたびに


これは夢ではないと認めそうになっていた。



お読みいただきありがとうございます。

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