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5話「新たな銃と霊素分解と別れと」


 それから暫くの間、俺はライソルトの話を聞いていた。だが、その話に終わりがなく……。

 なぜか別の話題に切り替わり、前世での出来事を今聞かれているところだ。


「ねぇ救世主様。死ぬ前は何しての?」

「えぇっと、普通に働いて家ではごろごろしてましたよ?」

「嫁さんとかいなかったの?」

「ぐふ……い、いなかったです。はい」


 えぇ、なにこの人。傷口えぐりにでも来たの? それともお塩塗りにきたの?

 別に俺がもてなくてもいいじゃん。この世界ではもうすでに別の人物として存在してるんだからさ。いや、人物という表現はおかしいな。どちらかといえば生物とでも言おうか。

 

「ねぇ、聞いてるの?」

「あ、すいません。考えごとしてました」

「ん? なに考えてたの?」

「いや、ライソルトさんからもらった銃、こっちの銃と開口部の大きさが違うなって」


 そうなのだ。村で見つけた銃より、ライソルトからもらった銃のほうが開口部があきらかに大きい。

 そこを踏まえての考えなのだがな? 

 この銃、ベースは大口径の狙撃銃ではないのか。可能性として上げられる点は二つ。

 1つ、開口部が大きい。 これはここに来るまでの間に手に入れた、霊石(クリスタル)を入れようとした際、小さすぎて中で転がっていたのだ。つまり、開口部の部分にある黒曜石(こくようせき)との間に隙間があり、その場で止める事ができていないということ。

 

「開口部?なにそれ」

「ここの引き金を引くと、ここに弾を入れる部分が出てくるんですよ」

「あ、そうなの? ん~、その銃の形自体、救世主様のいた世界のものだからねぇ」


 どうやら俺の推理は合っていたようだ。

 まぁここで2つめ、形がどことなく見たことがあるから。っという理由だったが、どうやら合っていたようだ。

 となると、向こうの世界のものをこちらで作り上げたと言うことになるが、それはそれでかなりの再現度である。どこぞのプラモデル並みに、精密な部分まで作り上げられており、正直見惚れる。


 ぱっと見の大きさは自分の身長よりも高く、重さ自体は感じないが、かなり硬いのだ。さすが黒曜石とでも言おう。

 やはりゲームなどの知識故かもしれないが、黒曜石がかなり硬い認識がある。

 それはおいといてだ、肝心な弾が渡されてないのだ。1発も……。


「あの、ライソルトさん」

「はいはい? どしたの?」

「この銃の弾ってどこにあります?」

「弾? なにそれ」


 ダメだわこの人……。

 まず俺のいた世界での知識が入っているならば、それこそ銃と言う知識があるなら弾という概念があってもいいだろう? 

 それを知らないとか、この人は銃の何をしったのやら……

 まぁ、これ以上話をしても情報は得られないだろう。

 とりあえず俺は外に出ようと、来た道を戻り始めた。


「あ、そうだそうだ。来る途中にあった霊石、あれ貰ってていいよー」

「あれって、持ち出しても大丈夫なんですか?」

「うん、構わないよ。私たち精霊にとって霊石は、排便物同様だから」


 最後の表現いう必要性あったのか?

 要はあれだろ? あれ……

 なんか霊石の価値が俺の中で一気に下がったぞ。

 まぁ、もらえるものは貰っておこう。霊石はあるに越したことはない。

 

 それから来た道を戻り始める。

 問題は山積みである。

 まず、弾の調達。これは霊子分解(れいしぶんかい)をして、複製(コピー)すれば大丈夫だろう。

 原料となる霊石は、この洞窟で手に入るとして。あとは、新しい銃の弾か……。

 どうやら俺の旅立ちは当分先になりそうだ。


 いざ霊子分解するとなるとどうやるんだ?

 やり方を聞いていないことに、俺は後悔を覚えた。今後は新しいこととかあったら、説明だけでも聞いておくか。これは心にメモである。

 とりあえず、目の前にある俺の身長ほどの霊石をどうするかだ。

 この大きさなら、ある程度の弾は補充できるだろう。

 とりあえず、手を添えてみた。

 うーん、何も起きない。

 どうすればいいんだ? これ……。

 力を込めると霊素が発生する、これを応用してなにかをやるのだろうか?

 まぁ、どうにかなるだろう。


 それから、何時間掛かったことか。

 やっとの思い出霊石を霊素分解することに成功したのだ!

 自分に称賛をあげたいくらいだ。

 割と簡単に霊素分解することができた。ただ分解したいものに意識を向け、念を込めるだけでよかったのだ。

 これで原料となる霊石を体内に収納できる。

 さて、外へと向かうか。


 東の空が朝焼けに染まる。

 そう、既に朝を迎えたのだ!

 正直、時間がもったいなく感じてしまう。

 ビスクは起きていたようだ。

 俺を見かけると、小走りに此方へと向かってくる。


「洞窟なんて入ってなんかあったのかぁ?」

「まぁ、いろいろと収穫がな」

「それはよかっただぁ」

「それはそうと、ビスクは街に戻るのか?」


 朝になった事だし、魔物の動きは活発ではないだろう。

 それに、ビスクがここにいると俺の正体を明かす事にもつながる。

 別に俺が異世界人だとバレてもいいのだが、今後の事を考えるとどちらかといえば控えておきたい。

 

「そうだなぁ、街に戻って報告するだぁ」

「そうか。俺はここに残るよ」

「えっ!? なんで残るだぁ?」

「ここが気に入ったからだ」

「なるほどぉ」


 やけにあっさりと納得したな。

 まぁ、これで邪魔(ビスク)はいなくなる。思う存分弾の開発ができるということだ。

 いなくなるのは寂しいが致し方がない。

 

 暫くすると、山の向こうから太陽が挨拶をした。

 ビスクは森を抜て街に戻り、いずれまたここに来るとの事。

 その時には一緒に街に行きたいものだ。

 

「んじゃ、お元気で!」

「クサナギも元気でなぁ」

「あいよ」


 手を振ってビスクを見送った。

 彼にはギルドの仕事を頑張ってもらいたいものだ。

 さてと、俺は霊石と一緒に霊素分解した精霊長銃スピリットスナイパーライフルを出そうとしたが、上手くいかなくて時間が過ぎていくのだった。

眠い目を擦りながら日々執筆しております!


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