仲間
ねんまつ
「そこまでだ」
すっかり小さくなったスゥに向かって伸ばした手の先に剣が突き立てられた。
「レティアちゃん……?」
その剣を握っていたのは前世では親友であったレティアだった。
「なにを……?」
「何ってこの惨状を見ればわかるでしょ?」
「……っ!」
レティアは無言で自らの背にあるものを親指で指し示す。
そこに広がるのは初動の衝撃で半壊した街だった。
「たくさんの人が迷惑をしている。それなのに事件の首謀者が何のおとがめもなしに、はいさよならってわけにはいかない。それくらいわかるよね?」
「でもそれは自分ですべての罪を背負うためで――――」
「理由なんて民衆はどうでもいいんだよ。見えている結果が全て。個人的な感情は一度動き出した民意の前では無力だ」
つまり、スゥに残された道はただひとつに限られている。
それは――――。
「スゥは街を破壊した魔獣として討伐する」
「……っ!?」
簡単なことだ。
瀕死のスライムを焼き殺してしまえばそれでおしまい。
王都には平和が戻り、人間と獣人はは勝利の余韻に浸りながら一歩進んだ共存への道を模索し始めるだろう。
素晴らしい大団円ではないか。
それこそスゥがさんざん考えて残した希望ではないか。
「それは認めない……!」
「……」
だがテトラはスゥの前に立ちはだかった。
そんなテトラをレティアは剣を突き付け、無表情のまま見つめる。
「それがどういった行為になるかわかってるよね?」
「魔獣を使って王都を襲わせた魔女……と言ったところ?」
「もしくは君自身が魔獣として一緒に処分されるだろうね」
レティアはそう言ってテトラたちを睨み付けた。
それは為政者ならば誰もが行き着く合理的な答えだろう。
「やどぬし……もういいから……」
「そう言うわけにはいかない。家族は見捨てられないからね」
「……やどぬしはずるいよ」
「これでわたしも晴れて化け物の仲間入りかな?」
これはテトラ・グロウリィが出した答えだ。
受け入れよう。
せめて一思いに。
そう思い目を閉じた時だった。
「ま、まって欲しいっす!」
静観していたミューが飛び出してテトラたちの前に立ちはだかった。
「それを言うならあたしだって化け物っす!」
そういってテトラたちの元へ駆け寄る。
「あたしじゃあどうすることもできないけどせめて傍にいさせて欲しいっす」
「ミュー……」
もはや言葉は必要なかった。
ここには確かに仲間がいた。
信じ合うことができる仲間が。
「……どうやら覚悟は決まったみたいだね。それじゃあ、死のうか」
レティアはただただ無感情に剣を降り下ろす。
銀閃が空を切り裂き、肉の切り裂かれる鋭い音が戦場の喧騒の中に響き渡った。
年内に終わるのか!?
期限付けた方が頑張れる。




