救出
ねっっっっむい!!
「これで終わり……なのか……?」
片腕を失って後退したコルオンが呟く。
溶け始めたスゥはもはや動かない。
さらにその影響は彼女の分身にも及んでいるようで全ての化け物の動きが鈍り始めている。
後は完全に崩壊するのを待つだけに思えた。
「まだっす!」
「ミューちゃん!?」
だがミューは一人突っ込んだ。
溶け行くスゥの元へ駆け寄り、その細胞をかき分け始める。
「どこっすか……どこっすか!? ご主人!」
兵士たちの上げる勝利を確信した雄叫びの中、声を張って自らの主人を探し求める。
だけれどスライムの先にあるのはスライム。
確かにこの中にいるはずなのに全く先が見えなかった。
早くしないとテトラは活動を止めた細胞に押しつぶされて圧死するか窒息死してしまうかもしれない。
そんな焦燥感に狩られながら続けていると――――。
「ご主人!?」
呼びかけに答えたかのようにゼリー状になったスゥの体内からテトラがぬるりと出てきた。
「かはっ……げほっ……」
「ご主人! ご主人!」
「うっ……ミュ、ミュー……?」
「ご主人ー!」
「わっ、わっ……」
目を覚ましたテトラは戸惑いつつ粘液にまみれたまま飛び込んでくるミューを抱き留め、そのままひっくり返る。
「……あっ」
そして澄んだ青い空を見て思い出す。
スゥの思惑とその気持ちを。
「ミュー!」
「は、はいっ!?」
「スゥは!? スゥはどうなった?」
「見ての通りっすけど……」
「ああ……あぁ……」
そこにいたのは無残にもぐずぐずに溶けてしまったスゥの変わり果てた姿だった。
「スゥ!」
急いで駆け寄るがもはやそこにはスライムと呼べる物の残骸すら残っていなかった。
ただの肉細胞の塊が存在するだけである。
「……いや、そう簡単にくたばるはずない!」
テトラとスゥは一心同体だった。
それ故スゥの生命力の強さは見に染みてわかっていた。
そしてこれまでの同化によりスゥの献身的な気持ちも伝わってきていた。
だから自分だけが助かるなんて不公平だ。
魔獣を騙ったスゥと言う友人は救われなければならない。
「あっ……」
魔力の流れと自身の感を信じて探していると塊の下に半壊した人形のスライムがいた。
それは街中で人型をとったときのスゥの姿に酷似していた。
(いや、スゥそのものだ)
テトラは確信した。
根拠もなく。
「スゥ……」
そして優しく話しかけた。
「やど……ぬし……?」
そんな慈しむような呼び掛けにスゥは弱々しく答えた。
むいむい。
大掃除の時間です。




