誤解
ほら、やっすいゴムの玩具で壁に叩きつけたらべたぁってなってくっつくアレです。
「いやービックリしたっす!」
元の形に戻ったミューは「たはは」と後ろ頭をかいて笑った。
「まさか全身スライムになるとは……一瞬叩き潰されてぐちゃぐちゃになったのかと思ったっすもん!」
「そうなってたらもう一度全身治療コースだったね」
「そ、それは勘弁してほしいっす……」
ミューは最初に受けた死ぬほどの痛みを伴う治療を思いだして身震いした。
助けられたことには感謝しているがあの終わらない地獄のような苦しみは二度と味わいたくないものであった。
「うっ……私は……」
「あ、目ぇ覚めたっすか?」
「はっ!?」
思ったよりも早く目を覚ました獣人は目を覚ますなり慌てて自分の状況を確認した。
「くっ! 殺せ!」
そして負けて捕らえられたと認識するや否や腹を見せてそう言った。
「いや、殺しゃあしないけど……」
「私は何も喋らんぞ!」
「取り合えず話を……」
「殺すなら殺せ!」
「話が通じねぇ……」
手足を縛られた状態の獣人は死ぬ覚悟ならできていると言わんばかりの迫真の表情で目を閉じて叫ぶ。
このような興奮状態ではとても落ち着いて話もできず誤解が解けない。
「ご主人、ここは一つ黙らせてから説明してあげましょう」
「そうだね……えいっ」
「もごぉ!」
テトラは拳をスライム化させると獣人の口に突っ込んで切り離した。
「もがもごぉ!」
「さて、まずはどこから話しましょうかね……」
突然口の中に広がる気持ち悪い感触に思わず跳ね起き、必死に何か叫んでいる獣人は放っておいて誤解を解くための話を始めた。
ここにはクトリカから人探しに来たこと。
偉い立場にいる可能性が高いので潜入の練習をしていたこと。
自分達は元々人間であり、害意はなかったこと。
「――と言ったところです。理解してくれましたか?」
「……」
「何か言ったらどうです?」
テトラが問い詰めるが獣人は下を向いて黙り込んだまま動かない。
「あのー……ご主人?」
「ん? 何?」
どうしたものかと考えているとミューが口をはさんできた。
獣人を納得させる何か良い方法でも思い付いたのか。
「それ……窒息してないっすか?」
「え? ……あっ」
言われて彼女の頬をつかんで持ち上げると目が上を向いて焦点があっておらず、顔色がよろしくなかった。
控えめにいってヤバい。
「ドラゴンブロォォォォォ!!」
「ぶっふぉぉ!?」
テトラは本日二度目となるドラゴンブローを獣人の腹にぶちこんだ。
もはやドラゴンでもトカゲでもないただの筋肉式蘇生術は獣人の腹にめり込み、なんとか口からスライムを吐き出させる事に成功した。
ドラゴンブロォって昇竜k




