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一から造るスライム牧場  作者: 白井アレ
第1章 前世と現世
2/72

実験

スライムの性質を調べる実験パート。


 スライムを飼い始めたテトラは一夜明けた後、スライムを金のなる木にすべく実験を進めた。

 まずはスライムに適当な餌を与えて育てると分割を繰り替えさせて4つのグループに分ける。

 それからそれぞれのグループを木の板で隔離して違う飼料を与えた。

 グループ1には砂や石といった無機物を。

 グループ2には庭に生えていた木の葉。

 グループ3には以前父親が狩って残っていた魔獣の肉。

 そしてグループ4には梳いていたら抜けた自分の金色の髪の毛を数本ずつ与えた。

 普通ならスライムには「森の掃除屋」と言う固定観念があり、それ以外の何物でもないと思いんでこのような実験を行おうなどとは考えもしなかっただろう。

 だが今のテトラにとってスライムは金のなる木候補。

 出来ることは何でもする。


 「色が変わった……?」


 餌を与え続ける事数日、スライム達にわずかな変化が見て取れた。

 グループ2から4の色が与えた飼料の色に変わっているのだ。

 一方、無機物を与えたグループ1は干からびてしぼんだ風船のようになっている。

 これから考察されるのは無機物は食べず、取り込んだ有機物の性質によってスライムの性質も変化するという事。


 「と、いう事は……ポーションを与え続ければポーションを作るスライムになる……?」


 恐らくおとぎ話に出てくるようなポーションを生産するスライムと言うのは偶然ポーションを貯蔵している樽にでも入ったスライムが大量のポーションを吸収し、その性質を得たのだろう。

 ポーションもまた魔物の血液などと魔力を混ぜ込んだ有機物。

 その考えは恐らく正解だ。

 もしそんなスライムを作り出せたなら完璧な金の卵を産む鶏になる。

 現実味を帯びてきた夢物語に思わず頬が緩む。


 「けどポーションかぁ……」


 ポーションと言うと擦り傷程度を直す量でも金貨1枚は下らないという。

 それは飼っていた家畜2頭分にも匹敵する金額でありおいそれと手を出せる物ではない。

 しかもそれをスライム一匹の性質が変わるほどと言うととてもじゃないが手に入らない。


 「と、なると別の方法かぁ……んー……」


 ポーションスライムは後回しにしてまずは別の方法で資金を貯めなければならない。

 何せこちとら女の子の一人暮らしだ。

 両親の残した遺産が幾許かあるものの数か月何もせず生きて行けるだけの余裕はない。


 「まぁ実験を続けるか……まずは経過観察からかな」


 テトラは母体となったスライムを撫で繰り回しながら次なる実験の準備を始めた。

 その準備とは実験に使ったグループ2から4のさらなる分割だ。

 そして分割した個体をそれぞれ区切った別室に移して一方には同じ餌を与え、もう一方にはそこへんに落ちていた虫の死骸などを適当に与える。


 「むむ……」


 するとどうだろう。

 餌を与え続けた個体、木の葉を与えたグループ2で例えるなら2-1は色を濃くして緑色に近くなり、餌を変えた2-2はもとの半透明に近くなって行くではないか。


 「と、なるともしポーションスライムを作ってもポーションを与え続けなければならないと……? むしろ収支マイナス……?」


 例えポーションスライムを作り、それからポーションを抽出できたとしても特性を維持するために減った体積の分ポーションを与えねばならないし維持するのにもポーションが必要となる。

 金のなる木どころか金食い虫だ。


 「これが伝説たる所以か……」


 そううまくはいかないなぁとテトラは息を吐いて頭を抱えた。



クスノキには樟脳と呼ばれる防虫成分が含まれているらしいよ!

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