第3話 -迷宮 その1-
さぁ、ついにダンジョン攻略!ボッチでね!
長いので分割しての投稿となります。
この世界におけるダンジョンの定義は「魔力濃度が通常の4倍以上のエリア」である。魔力濃度が大きくなる原理は解明されていないが、魔力濃度が大きいことによってモンスターが大量発生する。
ダンジョンの最奥部には魔力によって生み出された財宝が眠っており、それを強大なモンスターが守っている。年間かなりの犠牲者がでるにもかかわらず、一攫千金を狙う者からコツコツ稼ぐ者にも人気な稼ぎ場である。
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迷宮【シュピネスト】は平原の南端にある、初心者向けの迷宮である。初心者向けといってもモンスターの強さの話で、大きさは2㎞×3㎞の5層構造と大きい。どんなに熟練した冒険者でも5日はかかるようだ。
まぁ、地図を買ってきたから大丈夫だと思うが。
一連のサバイバルグッズを入れてパンパンになったバックを見ながら記念すべき初ダンジョンへ挑む。
「さぁ、行くぞ!」
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【シュピネスト】1Fはいわゆる「迷路」のようなエリアである。通路が入り組み、大小さまざまな部屋がある。部屋の中には安全地帯と呼ばれる、モンスターが入ってこない部屋もあるようだ。
とりあえず、1Fの中心近くにある安全地帯に向かうことにする。
入口の部屋から500メートルほど。突き当たりを左に曲がると、部屋の入り口が見えた。
「【オスクラーニャ】が一匹か。」
光輝魔法【光収束】を応用して光を屈折させ、部屋の中を偵察する。偵察魔法には音波を利用した風雲魔法の【超音波探知】があるのだが、こちらの方が消費魔力が少ない。まだまだ魔力には余裕があるが、消費魔力は抑えた方がいいだろう。
【オスクラーニャ】は体長3メートルほどの蜘蛛である。攻撃は噛みつき攻撃のみだが、尻尾から粘着質な糸を飛ばして行動を阻害してくる。この階層のメインモンスターだ。
「【レーザー】!!」
部屋に入った瞬間に【レーザー】を放つ。
「キシャァアッッ!?」
白の光線は【オスクラーニャ】の頭部を吹き飛ばし、絶命した。すぐに魔力に還り、素材である糸が残る。
……。
一撃で仕留められるとは。
さすが最も簡単なダンジョンだな。一層はサクッと終わらせられそうだ。
その後も、【オスクラーニャ】をひたすらレーザーで吹き飛ばし、一層中央部の広い安全地帯にたどり着いた。
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それから2時間が経過した。
とにかく【オスクラーニャ】を狩りまくり、実戦経験をつんでいく。
もうそろそろこの層のボスに挑戦してもいい頃だと思う。
「この先か」
ボス部屋の手前にある小さな安全地帯で装備や緊急時用のアイテムなどを確認する。
よし、大丈夫だ。
この世界に来てから最初のボス戦が始まる。
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この層のボス、【アーゴ・ヴェレーノ】は紫色の硬い殻に覆われた、体長3メートルほどのサソリである。攻撃は噛みつきと毒針発射がメインで、サソリのクセに糸も飛ばしてくるらしい。
どうなってるんだか。
ゴンッッッ……
ボス部屋の入り口の扉を開ける。
「ハアアアァァァァッッ!!」
と、同時に【身体強化】を足に施し、部屋の中に跳びこむ。
部屋は半径500メートルのドーム状になっている。その中心で【アーゴ・ヴェレーノ】はこちらを睨んでいた。
いや、睨んでいるかはわからないけどね。
「キシャァァアッッ!」
瞬時に100メートルを駆け抜けるが、そこでヴェレーノの攻撃が始まった。
バシュッ
粘着質な糸がヴェレーノの口から発射される。
「遅いな」
サイドステップで軽く回避する。ヴェレーノとの距離は残り100メートルほど。
パパパパパパパパッッ
尻尾から1発の針が射出される。針は空中で数十もの小針となり、こちらに降り注ぐ。
今度はこちらの番だ。
「【ガトリングレーザーガン】!!」
ビビビビビビッッ
6つ光球が回転しながらレーザーを撃ちまくる。しかし、
「あんまり効いてないなぁ…………」
確かにダメージはあるようだが、せいぜい殻をへこませるくらいだ。
さすがボス。雑魚とは一味違う。
「シャァァアアァアッッ!!」
再び降り注ぐ針。
難なく全て躱した。さて、次は……
「【光刃爆焼】!!」
光の刃が金属質な殻に突き刺さり、爆発。
「キッ――――――」
ドォォォンッッ
傷口が大きく抉れ、緑色の体液が吹きだす。
今放ったのは光の刃を突き刺し、傷口を爆散させる光輝火炎混合魔法だ。
「はぁぁぁっっ!!」
光を纏った剣がのけ反ったヴェレーノの頭部を真っ二つにした。
こうして、人生初のボス戦は幕を閉じた。
それにしてもわりとあっさり倒せたな……。さすが最低難易度の迷宮。
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ビビビビビビッッ
数十発の【レーザー】が乱れ飛び、【オスクラーニャ】が宙を舞う。
ここはB2Fの大広間。250×1000メートルの細長い部屋で、横の通路から次々と【オスクラーニャ】が現れる。すぐに数百の【オスクラーニャ】に囲まれた。
なんかここ難易度高め?
と思ったが、普通迷宮は複数人でパーティーを組んで攻略するということを思い出した。
ぼっちでも寂しくなんか無い。無いったら無い。
「それにしてもきりが無い」
倒しても倒してもまだ増える。まだ200メートルも進んでないのに。
体の周囲をグルグルと回るファ○ネル、もとい光球が【レーザー】を撃ちまくっているが殲滅力が足りない。
「【ビーム】に変更するか」
【レーザー】の上位魔法にあたるのが【ビーム】だ。
【レーザー】は1発の長さが決まっているのに対して、【ビーム】は魔力を注ぎ込む間ずっと放ち続けることが出来る。
光球から放つのを【ビーム】に変更。光球が俺の体の周りをグルグルと回り、【オスクラーニャ】を片っ端から焼いていく。
もう糸を拾うのが面倒くさい。
というより敵の数が減らん。
こういうときこそ創意工夫だ。
腰のあたりに光輪を出現させる。フラフープみたいだ。
強度重視で物理干渉力を持たせる。
そして光輪をすさまじい速度で広げる。
ゴバッッッ
自分の近くにいる【オスクラーニャ】から頭部を粉砕されて吹き飛んでいく。爆心地にいる気分である。俺が爆弾だが。
うーん、でもこれは棒状にして敵を串刺しにした方が使えそうだ。かなり強度はあるみたいだし。
叩き潰すという力技はあまり良いとは言えない。
次は光輪に【光刃】を追加する。これで光に触れると切れるはずだ。
シュパッ
予想通り、【オスクラーニャ】が2枚にスライスされていく。
緑色の体液があちこちに飛び散る。
うん、自分でやっといてなんだけどグロい。
これ、手の上に作って飛ばせば気○斬じゃね?
飛ばして単体攻撃もできそうじゃね?
それにしてもキリがない。あれだけ倒しても減る気配すらない。
まぁ、魔力には余裕があるから大丈夫か。
まだ魔力切れになったことがないんだけどね?
戦闘描写楽しい(←得意なわけではない)
話進まないからさっさと攻略してほしいのですが。