うはないなかあ
帰り道
私は今日、中学を卒業した。
あんなに辛かった部活も、嫌だった勉強も、もう中学でする事はない。
あまりにもあっという間だったから、
由紀「早かったなぁ」
なんて呟いたりしちゃう。
桜「そうだね…」
そして、隣にいるのは親友の桜。
桜とは別々の高校に行くことになったから、今はちょっと落ち込み中。
桜「そう言えば今日バーベキューするんだよね?楽しみだなぁ…」
そう言えばそうだった。
卒業式の日の夜に学校でみんなが集まってバーベキューするんだっけ。
由紀「そうだね。待ち合わせして一緒に行こっか。」
桜「うん!」
そうして私達は家に帰った後、夜に再会し、学校に向かった。
教室に入ると、みんながいた。
みんなと言っても同級生は8人しか居らず、教室もそう広くはない。
ここで、みんなの紹介をしようと思う。
女子
私、相川由紀
親友の中城桜
委員長の橋機蓮
天然の中西桃
男子
中心的存在の天城白
アホの石田融資
よくわからない存在の赤井空
イケメンの海馬雅敏
とまぁ、だいたいこんな感じである。
みんな仲良しです!本当に
先生は臼井柑菜という名前で、怒ると怖いけど、いつもは優しくて可愛い先生。
さてさて、話を教室に入るところに戻そうと思う。
私は、教室に入った。
みんなそれぞれの席に座って話しながら先生が来るのを待っていた。
私は自分の席に座り、隣の席の白に話しかけてみた。
由紀「ねぇ白、先生まだなの?」
白「あぁ、まだみたいだな。さっき先生が用意をしてくるからここで待っててって言ったっきり帰ってこねぇんだ。」
由紀「え?今日ってバーベキューだよね?」
白「そうだけど…それがどうしたんだ?」
由紀「いや、バーベキューだったら普通、用意は外でするでしょ?でもさっき外には誰もいなかったわ。」
白「まじか!柑菜先生どこ行ったんだろ…」
由紀「ちょっと探しに行かない?」
白「そうだな。」
こうして私達はみんなに先生を探してくることを言い残して教室を去った。
白「やっぱりここじゃねぇの?」
そう言って白が指を刺したのは、女子トイレだった。
白「時間から考えて、大分溜まってたとしか…」
由紀「失礼ね!デリカシーって言葉が分からないの⁉︎」
白「すまん。調子に乗ってた。」
由紀「もぅ…」
まぁ、私もここで間違いないと思ったんだけど…
そんなことはさておき、私は女子トイレのドアに手を掛けた。
由紀「み、見たらダメよ!」
白「はいはい。分かってるよ〜」
女子トイレのドアを開ける。
由紀「っ‼︎」
私が見たものは、あまりにも残酷だった。
地面いっぱいに広がる血、その先には柑菜先生と思われる顔があり、手足、首、胴体がバラバラになっていて、小腸と大腸がうどんの様に地面に流れている。
由紀「うっっおえぇぇぇ…」
私は思わず吐いてしまった。
バタン‼︎
いきなりトイレのドアが閉まった。
地面に手をついてしまったせいで、手が血と汚物でいっぱいになる。
由紀「た、たすけて…」
とっさに出た言葉も、小さすぎて声にならない。
白「どうだ〜いたか〜?」
由紀「い、いた…いたから…早く来て…」
ダメだ…全く声が出ない。
私は頑張ってドアを開けようとするが、足がすくんで転んでしまった。
すると、その衝撃で柑菜先生の顔が私の顔に向かって転がってくる。
必死に起き上がろうとするが、全く顔が持ち上がらない。
そして…
由紀「んっっ‼︎」
コツン……
これが私のファーストキスだった
私は気を失った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
教室
目を覚ますと、みんなが黙って下を向いていた。
私は体操服に着替えさせられており、血や汚物などは綺麗になっていた。
由紀「ね、ねぇ…一体何があったの?」
私は白に問いかける。
白「分かんねぇ…何がなんだかさっぱりだ…」
白がそう受け答えした後、一息してから蓮が喋りだした。
蓮「さて、由紀も起きたことだし、一旦この状況を整理しましょう。」
いつもみんなをまとめてくれる委員長の蓮は、こんな時でも役に立つようだ。
蓮「柑菜先生の様子を見に行った白と由紀が女子トイレで柑菜先生の死体を発見した。柑菜先生は無惨な殺され方をしており、誰が殺したのかは不明…でもそんなことより…」
蓮が突然黙り出した。何があったのだろう?
由紀「そんなことより…どうしたの?」
白「学校の外に出れないんだ…携帯もつながらねぇ。」
由紀「え?」
うそでしょ…?そんな、ホラー映画じゃあるまいし…
その時、
ギギッガッガゴッ
奇妙な音と同時に教室のドアが開く
桜「なっ…なに⁉︎」
そこに現れたのは、中年のおっさんだった。
黒板の真ん中までスタスタ歩いたそのおっさんは、いきなりチョークを握り、黒板に何かを書き始めた。
<この暗号を解読せよ。>
[うはないなかあ]
おっさんはそう書いた後、教室から出て行った。
しばらく沈黙が流れるが、それはすぐに終わった。
白「なんだ…これ?」
蓮「見てわからないの?暗号よ。」
白「それはわかるけど…」
きっと白はそんなことを聞きたかった訳ではないのだろう。
蓮「誰か、この暗号に心当たりはない?」
蓮がみんなにそう問いかけるが、みんなはうつむいたまま、何も話そうとはしない。
今ここで冷静になっているのは蓮だけだった。
蓮「誰も知らないのね。」
ここで、今まで一言も喋らなかった石田が話し出した。
石田「な、なぁ、こんな時に言うのもなんだけどさぁ…俺、今まで何も食ってねぇから腹減ったんだけど…」
本当に空気の読めない奴である。
てか、よく柑菜先生の死体を見た後にご飯を食べたいなんて思ったな…
蓮「そう。まぁ私も何も食べてないし、家庭科室に行って何か探してみましょうか。」
するとここで、昔寝ぼけてパジャマのまま登校した事のある桃が喋り出した。
桃「そうだ‼︎家庭科室の冷蔵庫に私が作ったケーキがあるよ〜」
この人達、危機感ないなぁ。
こうして私達は家庭科室に行く事にした。
家庭科室
中に入ると、そこには冷蔵庫なんてなかった。
さらに言えば、机もキッチンもなかった。
ただそこにあるのは、人が5人は入れそうな巨大ミキサーと、それに続く階段、そして少し広めのスペースだけである。
巨大ミキサーに手紙のような物が貼ってある。
その手紙にはこう書いてあった。
[生贄を2人用意せよ]
それを見て私達みんなが恐怖した。
すると、後ろからまたおっさんが現れた。
白「う、嘘だろ…⁉︎」
ひとまずみんながミキサーの後ろに隠れる。
白「どうするんだ⁉︎生贄が2人なんだろ⁉︎」
蓮「分かってるわよ。だから…」
蓮はこの時、躊躇っていた。
本当は蓮も怖いのだろう。助けて欲しいのだろう。逃げ出したいのだろう。
でも…
蓮「私が生贄になるわ。」
桜「ちょっとまって!そんな…別の方法を考えようよ…」
蓮「ありがとう桜。ごめんね。」
蓮はそう言い残しておっさんの方に歩き出した。
蓮がおっさんに担がれてミキサーの前の階段を上っている。
私達は黙ってそれを見ていることしか出来なかった。
そしてついに、蓮がミキサーに放り込まれた。
ドサッ…
ミキサーの中には鉄の巨大扇風機みたいな物があり、入っただけでも蓮は右足が切れていた。
蓮「あぐっ、いだいよぉぉ‼︎」
さっきまでの蓮とはまるで別人の声がした。
おっさんがスイッチのような物の前に立つ。
蓮「や、やめて‼︎」
おっさんはためらうことなくそのスイッチを押した。
蓮「ぎゃぁぁぁぁぁあ‼︎」
蓮の叫びと共に扇風機は動き出す。だが、蓮のお腹の中間辺りで扇風機の動きが止まる。
どうやら蓮のお腹が硬かったらしく、一思いに切れなかったらしい。
蓮「ぎやぁぁぁぁぁ‼︎は、早く殺してぇぇ‼︎いだいよぉぉ‼︎」
スパンッと、音がした気がした。蓮の体は一気にぐちゃぐちゃになり、ジュースみたいになっていた。
ミキサーに蓋をしていないものだから、内臓の一部やら肺の一部やら大腸やらが飛んで来る。
クソがつく程まずかった。
と、その時、学校に間違えてランドセルで来てしまった事がある桃が急に叫び出した。
桃「あははっ‼︎傑作だったわ!次は誰がこうなるのかしら⁉︎」
完全に気が狂っていた。
おっさんがまたこっちにやって来る。
みんなは同じ姿勢のまま固まっていた。
桃「さぁ、誰を選ぶのかしら?」
このままいけば、1番前にいるのは石田だ。石田が捕まるはず…
ところがおっさんは石田をスルーし、桃を捕まえた。
桃「きゃっ!どうして⁉︎なんで石田じゃないの⁉︎」
石田はうつむいたままだった。
桃「そうだ、石田!この前私に告白して来たわよね!あ、あれ考えてあげても良いわよ!だから私を助けなさい!」
石田はビクとも動かない。ただ泣いていただけだった。
桃「私がここまで言ってあげてるのよ⁉︎そうだ!おまけに後で私がなんでもしてあげる!だから早く助けてっ……………助けろっつってんだよ聞こえねぇのか‼︎お前らブスのくせに調子乗ってんじゃねぇぞ‼︎」
ドサッ…桃がミキサーの中に投げ込まれた。
桃「ぎやぁぁぁぁぁぁ‼︎お、お前ら絶対許さないからな‼︎絶対に殺してやる‼︎殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」
またおっさんがスイッチに手をかけようとしたその時、
石田「待て!」
そう言っておっさんの前に立ち塞がった。
桃「そ、そうよ!やればできるじゃない!さあ早く私と代わりなさい!今なら許してあげても良いわ!」
石田はおっさんに話しかけた。
石田「おっさん、ちょっとどいて貰えるか?」
おっさんはなぜかこの時、石田の言うことを聞いた。
桃「何をしているの⁉︎早く私を助けなさいよ‼︎」
石田「桃、残念だよ。君はブスだった。」
桃「はぁ⁉︎何言って…」
キュイィィンガガガッ
石田がスイッチを押した。
桃の体は弱かったのか、一瞬にして真っ赤なジュースになった。
またいろんなものが飛び散る。
人間が2人もジュースになると、かなりの量だった。
おっさんが家庭科室から退場した。
私は吐き気を通り越して涙しか出なかった。
石田「ごめん…1人にしてくれ…」
石田はそう言ってここから出て行った。
私達は教室に戻った。