団子のような心
私は今抱きかかえられていた
その大きすぎる体をひょろっとした先生に
そして気づく私がした過ちを
私が倒れたのと時を同じくしてその人は私が倒れてるところをばっちり見ていたわけだ、そしてこれは急病だと今抱えられて街中をこっぱずかしく走っていた
私は脳内に危険信号が走り回っていた
どうする正体をばらすか、いやそれ以前にこの人は乞食を助ける人なんだとか考えていたがやはり言うか言わないかの問題が先だ
「あっあの」
その人は真剣な顔で私を走りながら覗き込む
「何だ」それはいつもの猫みたいな軟顔ではなく、キリッと眉間にしわを寄せ真剣さが顔に現れる
「すっすいません」私は負けた、自分と言う名の正義心に
これでは何かをつらぬく強さもないではないか
「いやいやいいんだ」先生はいつも通りの笑いを浮かべながら茶店の椅子に座っていた
私は気まずそうにその端に坐る
気まずい沈黙のはずだがこの人だとそれさえも会話のようにその動作一つづつが面白く会話のように思える
「あのーー」私が先生が夜何処に行こうとしているのか聞こうとしたとき
「あおめーだけずりーぞ」柳吉がそんなことを言いながら歩いて来る
いつものへなーとした彼からは想像がつきにくい言葉だがすぐに
彼の後ろからぞろぞろ現れる子供に合点が行く、見つかったのだな
そして彼だと思ったそれは後ろのちびの声を間違えたのだ
先生が頭を隣で抱えている全員に団子でも奢ればかなりの額になるだろう
私は隣に合掌の目を向けた