プロローグ
数ヶ月前。僕がまだ中学生だったときにこんな会話があった。
「なあ栄輝、高校どこ行くんだっけ?」
「永山高校だよ」
そう言うと辺りはシーンと静まり返った。なにか変なことを言ってしまったのかと考えていると1人のクラスメイトが口を開いた。
「何を考えているんだよ」
「え?」
「永山って言ったら、隣町の伝説の番長たちが治めていない学校のひとつなんだよ」
「何言ってるんだよ。だから平和でいいじゃないか。それに僕は頭が良くないし、みんなみたいに地元の高校を選べるわけではないんだよ」
「平和?何言ってるんだよ。治めてないって事は、いつかは狙われる高校なんだよ。」
「え?」
頭の中は真っ白だった。
「番長たちは喧嘩することを楽しみ、暇つぶしにひとつひとつ高校を治めてると言われてるんだよ。」
僕は大が付くほどの馬鹿だった。そして、大大が付くほどの弱虫だった。
幼い頃は泣いてばかりだった。親はそんな僕を強くしようと祖父が開いている空手の流派に入れた。でもそんなことで泣き虫が治るわけでもなく、長続きはしなかった。
そんなこんなで泣き虫な僕は周りの友人にも恵まれ守られながら生きてきた。そんな僕が1人で隣町の高校に行くなんて後先不安だらけだった。。