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十二属性戦士物語【Ⅱ】――新たな戦い――  作者: YossiDragon
第三章:防げ!魔豪鬼神襲来編
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第十四話「大いなる計画」・1

第三章です。




 照火は夢鏡城の長い廊下を歩いていた。すると、ある衛兵から爪牙が修行の森へ修行に行っているという話を聴き、いよいよ困り果ててしまった。これから大広間にて行われる祝勝会のために十二属性戦士全員が集まらなければならないのに、若干一名が抜けていては意味がない。そのため、雷人に招集係を任された照火は嘆息していた。


「くそ……。よりにもよってこんな時に修行の森なんか行きやがって! まぁいいや……。爪牙は後回しだ。……あっ、そういえば細砂がこの辺の展示物を見てたな」


 ふとその事を思い出し急いで元来た道を戻る。近くにあった階段を駆け下りて下の階へ行く。


「ここだ、細砂ー! どこにいるんだー?」


 声を張り上げて照火が名前を叫ぶと、細砂の声が少し離れた所から聞こえてきた。


「こっちだよぉー!」


 声のする方へ行くと、そこには細砂がガラスケースの中に入っている姿があった。


「お前、何てことしてるんだ!! ただでさえここは立ち入り禁止だってのに……ッ! 一体どうやってガラスケースの中に入ったんだ!?」


 そう言って照火が辺りをよく見てみると、ガラスケースの一部に細砂の体よりも一回り大きめの円形の穴が綺麗に開いていて、そこからガラスケースの中に入れるようになっていた。それを見た照火は、納得が行き理由が分かるや否や半眼の眼差しで細砂に言った。


「さてはお前……盗みの七つ道具を使ったな?」


「別にいいでしょ? 元々私は、トレジャーハンターなんだから……。それに、盗みは十八番みたいなもんだし!!」


 その言葉に照火は大きな溜め息を漏らし言った。


「とりあえずそこから出て来い! 大広間で祝勝会を開くことになった……料理を運ぶのを手伝ってくれ! それと、お前にとっては残念な知らせだが、この後ある祝勝会が終わって風呂に入った後の次の日からは修行の森で二年間修業をすることになる。だから、覚悟しとけよ?」


「ええ~っ!? 私、絶対嫌だからね?」


 子供が駄々をこねるように細砂が眉毛を吊り上げ強気に言う。


「文句を言うな! 元々お前も俺達と同じ十二属性戦士の身なんだ。光と影の封印を解いて、封印されてるやつが蘇って人々を脅かすようなことが二度とないように、俺達が破壊する。それが俺達への王からの使命だろ? 俺達は神王族の力の一部で、神の力を継ぐ者だ……。そんな甘ったれたことを言ったらいけないんだ! 分かってくれよ。俺だって本当は自分の好きなことをやりたくて仕方ないんだ! だが、俺だってそれを我慢してる。確かにお前は俺達よりも若い。だからって、甘やかされると思ったら大間違いだぞ? いいな? 分かったら大人しくそこから出てきて大広間に行け、いいな?」


 照火は強気な口調で言いたいことを全て言い切ると相手からの返答を聞かずに細砂のいる場所を後にした。




 次に照火が訪れた場所、それは変わった組み合わせのメンバーである輝光、夢幻、暗夜の三人のいる所だった。


「今頃何やってんだろ、あの三人……輝光が暗夜といるっていうのが一番心配なんだよな」


 そして照火が輝光の心配をしながら歩いていくうちに目的地に到着した。


「ここか。にしても、人の気配が全くしないな。本当にここにいるのか?」


 誰もいない無人の調理場付近を通っていた照火が辺りを念入りに見渡しながら言う。

 照火は自分の勘を信じて動いていたのに三人が見つからず、だんだんと自分の勘を疑い始めていた。しかし、それでもまだ自分の勘を信じたいのか、さらに奥へと進んでいった。

 すると、勘が当たったのか、はたまた神の情けか、ペラペラと誰かが会話する声が聞こえてきた。その声に照火は少し暗くしていた表情を明るくさせて、


「お~い! 輝光、夢幻、暗夜ー!!」


 と、声を張り上げて三人の名前を呼んだ。

 照火の呼ぶ声が聞こえたのか、輝光の声が遠くから聞こえてきた。


「照火兄ちゃーん! こっちこっち!!」


 輝光の声に反応した照火は急いでその声のする方へ向かった。


「あっ、来た来た! 丁度良かったぁ、照火兄ちゃんも見てみて!!」


「何だよ?」


 手招きする動作を見て照火が面倒くさそうに近づいてみると、暗夜と夢幻が何かをしていた。

 よーく見てみると、それはなんとあろうことか料理だった。


「おぉ丁度ええとこに来たわ。照火、ちょっと手伝ってくれへんか?」


 夢幻の急な頼みに照火は首を傾げた。


「何やってんだ?」


「なーに、さっきまでちょっと三人でいろんなことしよったら腹が減ってきてもうたから、わしがたこ焼きでも御馳走したろ思て、やってみたはええんやけど……輝光は料理など皆無みたいやし、かと言って暗夜もそこまで料理は得意な方やないっちゅうからすんごく困っとったんよ! せやから照火、ちょいと手伝ってくれへんか?」


 夢幻は両手を合わせ必死に照火に頼み込んできた。その懇願に仕方なく大きな溜め息をつくと、照火は袖を捲ってさっそく準備に取り掛かった。


「こんなところじゃなくて調理場に行けば早いのに……。しかもこの後、第二の封印の祝勝会ってことで料理食べるんだぞ? 入るのか?」


 照火が水道で手を洗いながら訊いた。


「大丈夫だよ! 私、朝から何も食べてないし!」


 輝光が屈託のない満面の笑みを浮かべて言う。


「い、いや……そう言う問題じゃなくて」


「俺は今日、朝の三時に起きたから大丈夫だ」


「――ッ!? ……朝の三時!? よく起きれたな……」


 驚愕の表情を浮かべつつ感心する照火。


「わ~ったわ。じゃあ先にたこ焼きを作りに調理場へ行こか! そこで作って、もしもあまったら他のやつらにやりゃあええし……。それでええな?」


 夢幻が腕を頭の後ろに回し、調理場の方向を確かめながら照火に提案する。


「分かった」


 このまま意地を張ってもあまり意味はないと思ったのか、照火は仕方なく頷いて先に調理場へ向かった。

 照火が調理場に着くと、そこには既に彼よりも後から出発したはずの夢幻を含めた三人が到着していた。


「は、早ッ!!?」


 あまりにもの動作の速さに照火は驚きを隠せないでいた。


「どないしたん? はよぅ作ってくれや!」


 首を傾げながら夢幻が照火の様子を窺い腹部を手で押さえながら訴える。


「分かったよ。輝光、ちょっとそこのやつ取ってくれ」


「はいっ!!」


 照火に頼まれた輝光は、明るく手渡した。


「よく分かったな」


「えっ? これじゃないの!?」


 心配そうな表情を浮かべて輝光が照火に訊く。


「あ、ああ……いやまあ、これなんだけど」


 照火は内心で“それ”とだけ言って理解出来ている輝光に驚いた。そして、三十分が経過したところでようやくたこ焼きが完成した。


「ほら、出来たぞ!」


 皿いっぱいに乗ったたこ焼きを両手に持ち、それをすぐ近くのテーブルに並べる照火。


「おぉー! さっすが照火やわ!! なかなかいい出来やでぇ? せや! 鰹節ってどこにある?」


 夢幻がたこ焼きの上に足らないものがあることを思い出し、それを口にする。その鰹節という言葉を聴いて、暗夜は少し大きめの袋に入った鰹節をバッグから取り出し


「そらよ」


 と、夢幻に投げ渡した。


「食べ物投げたらバチ当たるで?」


 夢幻はそう言いながらも袋を両手で抱きかかえるように受け止めた。




 それからたこ焼きを作った本人である照火を含めた輝光、暗夜、夢幻の四人がたこ焼きをペロリと平らげた。


「さてと、そろそろ祝勝会の時間だ。そういえば、爪牙ちゃんと戻ってきてるよな?」


 照火が某人物を心配しつつ、調味料を戻したり汚れた皿を洗ったりしながら独り言を呟く。

 皿を洗い終わると、照火は捲っていた袖を元に戻し、少し膨れている腹部を優しくさする三人の元へ行き、三人を連れて祝勝会の開かれる大広間へ向かった。

 その道中、暗夜は夢幻の隣を歩きながらふとその口元に目がいった。


「なぁ夢幻……。口の横、青のりがついてるぞ?」


 夢幻の口にベットリついている青のりを見て、暗夜が平然とした顔と口調で言った。


「おお! 危なかったわ! ありがとな、暗夜」


 夢幻は暗夜にお礼を言って青のりをティッシュで拭き取った。


「これでええか?」


「ああ、もう取れた」


 暗夜に確認を取る夢幻。そしてようやく四人は大広間の扉の前に辿り着いた。


ゴゴゴ……。


 という地響きを立て大広間の扉が開く。

 扉を開けた先に広がっていたのは長い長机が一つと、その机の四方を取り囲むように十四個の高級そうな装飾の施された椅子で、その十四個の内の九席に照火が散々苦労して集めた十二属性戦士が座っていた。また、その長机の上には様々な料理が並べられ、所々にはロウソクに火が灯っている燭台も置かれていた。


「ほら、あなた達も早く座りなさい」


 入口付近に立っている四人から一番遠い奥の席に座っている楓が、ぼ~っとその場に立ちつくしている照火達四人に開いている席へ座る様に促す。


「輝光、お前はここだ」


 雷人が自分の隣の空いている席をトントンと叩いて場所を示す。


「夢幻達の席もちゃんとあるわよ!」


 菫が暗夜と夢幻に空いている席を教えた。


「おう、今行く!」


 夢幻達も自分の席に座り、これで全員が揃ったと思いながら全席を照火が確認していると、楓から一番遠く離れた向かい側の座席が空いていることに気づいた。


「? ……十四。楓、人数を数え間違えてないか?」


「えっ、何のこと?」


 シラを切る様に楓が言う。


「だって、今いるメンバーで揃ってるだろ?」


「いいえ揃ってないわ。だって、まだ白夜が来てないでしょ?」


 その言葉に夢幻が


「ゴクッ、あー。あいつも来るんかいな」


 と、夢幻が目の前にある透明で美味しそうな水を飲みながら言う。


「でも、いつの間に連絡を取ったんだ?」


 照火が楓にそう訊くと、代わりに雫が答えた。


「さっき照火に大広間へ来るように言われた時に、ついでに十二属性戦士である白夜も誘ったんだ。どうせ何か大事な話があるんだろうと思ってね」


 雫の言葉に、今度は溢れ出る汗をタオルで拭いながら少し遅れてやってきた爪牙が言った。


「それで、雷人。大事な話があるんならとっととしてくれねぇか? 俺は修行をしてたんだが」


「それなら心配しなくていいぞ、爪牙。これから二年間、私達十二属性戦士一同は修行の森に篭り、みっちり修行を積むことになったからな」


 刹那――。ええ~っ!? と、不満な声を上げる数名の戦士達。すると、雷人が先程言った言葉を確認していた楓が言った。


「確かに、今の状況では三つ目の封印から先を解くことは少し困難になるかもしれないわね……。第一、また暗夜や残雪みたいに他の敵に襲われて操られたりなんかもする可能性だってありえる。王様も言ってたけど、第三の封印から先は私達六代目十二属性戦士が再結成されてからちょうど三年が経たないといけないらしいし……。そうなんでしょ、雷人?」


「ああ」


 コクリと雷人が首肯する。


「皆はどうする?」


 楓は皆に意見を求めた。


「俺は……いいと思う」


 照火は顔を俯かせながらも意見に賛成した。


「俺も別に構わねぇぜ?」


 爪牙も腕組みをして賛成する。それから次々と他のメンバーも各々の意見を述べ、結果十三対零で修行の森に篭って修行を積むことになった。無論、最初は嫌がっていた細砂も含めている。


「残るは白夜の事だな……」


「それなら案ずることはねぇよ、兄貴」


 暗夜が静かな声で呟くと、いきなり白夜の席から声が聞こえてきた。


『えっ!?』


 その声に十二属性戦士全員が驚愕する。


「何皆してビビッてんだ。俺はさっきからここにいたぜ? 意見の話をしてたな……訂正しろ。十四対零だ。俺も修行の森とやらで修行してやるッ!!」


 白夜が上から目線で言い握りこぶしを作る。

 こうして、六代目十二属性戦士全員が今、この大広間に揃ったのだった。


「よし、これで意見は揃ったな。そして、これから話す事について……皆よーく聞いておいてくれ」


 雷人がパソコンを起動し、カタカタとキーボードを叩きスクリーンに映写機を通してスライドショーを映した。


「今からこれで説明する。まず、第三の封印はさっきも言ったように後二年経たないと解かれない特殊な仕掛けが施されている。そして、スピリット軍団の機密情報にあった内容によると、“二年の時を経て丁度漆黒の闇夜に長き針と短き針が重なる時、時を刻みし爆弾に寄り惑星ウロボロスの衛星ヘプタゴンが粉塵と化し、巨大な光がウロボロスを包む”と書いてあるのだが、気になるのがその続きだ……“巨大な光は人々を混沌の災いへと誘い、真逆の姿を移す物から魔豪鬼神が万物の力を所有し出現し世界を破滅へと導かん”という部分だ。この魔豪鬼神とは誰の事なのか。誰か心当たりのあるやつはいるか?」


 長い雷人の語りを聞き終え、質問を受けたメンバーは互いに顔を見つめ合い閉口した。すると、雷人の座っている椅子の背後からハンセム博士が姿を現し口を開いた。


「それはもしかすると、オドゥルヴィア博士かもしれないな」


「誰だ? そのオドゥ……なんとか博士というのは」


 雷人の言葉に驚愕するハンセム博士。何よりも、その“オドゥルヴィア博士”という名前を知らないという事に驚いたのだ。しかし、記憶を失っている十二属性戦士にとってそのオドゥルヴィア博士という名前は全く持って皆無に等しい。


「お前知らないのか? あのどんな不可能なことでもやり遂げてみせる発明のプロフェッショナル『オドゥルヴィア=オルカルト=ベラス』博士を。現在その人は行方不明になっているが、あの人のことだ。もしかすると、タイムマシンやいろんな時空を飛び回る発明品を開発して何かよからぬことを企んでいるのかもと思ってな……。実は彼――オドゥルヴィア博士は私の父の師匠なのだ。昔、父が師匠に習った際に作った発明品もいくつかあるんだ。この城の中にあるシステムも、殆どオドゥルヴィア博士協力の元、父が作ったものが多いからな」


 悲しそうな顔を浮かべるハンセム博士。


「でも、どうしてその博士が魔豪鬼神だって思うの?」


 不思議そうな顔を浮かべ首を傾げる雫の質問に、ハンセム博士は少しの間沈黙を続けていたが、その末口を開き喋り始めた。


「私も会ったことはないから確信的証拠はないが。随分前のこと……私がお前達くらいの年の時、父が私を飲みに連れて行ってくれたんだ。無論、私はまだ二十歳を超えていなかったから飲み物は烏龍茶だったが。そして、父が酔った際に私に教えてくれたんだ」


《……ゴクゴク。ハンセム、お前に特別な話をしてやろう。実はな、おれはお前が産まれる前、秘密結社クロノスに勤めていた。お前の生まれた場所でもある。お前は優れた能力を持っている故に、その才能を狙われることも多々あった。だが、そのクロノスにもある信じがたい本当の話があるのだ! あれは三代目十二属性戦士が健在の時代だった。おれはクロノスで発明や研究をこなす仕事に就いていた。それからしばらくして、突如謎の四人が現れた。見た目的には四人の内の三人は少し若く、残りの一人は老人だった。後に分かったことだが、彼らこそかの有名な世界四大神の内の三人と大神だったんだ。そして、大神が密かに進めていた計画に記されている兵器。それが、『ラスプロジェクト』に出てくる謎の兵器『ウェナベカル=ワルムガント=ウィリヴェラス』……通称『WWW(スリーダブル)』と言われる物だ……》


「じゃあ、光と影計画の首謀者は元々大神なのっ!?」


 時音があまりにもの驚きに話の途中でその話を遮る。

というわけで、いよいよ物語の確信的な部分に迫ってきた今回の話。第三章へ突入です。ようやくWWWのフルネームが晒されましたね。自分でも名前つけてて思いましたが、すんごく言いにくいです。流暢な口ぶりでなければ噛んでしまいそうなほどに……。

そして、ラスプロジェクトに関わる人物にして、予言的なものに出てくる魔豪鬼神……。さて、皆さんこの「魔豪鬼神」どこかで見覚えありませんか?

そう、ラグナロクが昔話で言っていた七体の魔豪鬼神を一人の巫女が霊力を用いて七個の結晶にして封印したという例のアレです!

その人物こそ、ハンセム博士の父親であるティリマン博士の師匠にあたるオドゥルヴィア博士なんです。この人物これから先あちこちに出てきますから要チェックです!

というわけで後半をどうぞ。

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