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十二属性戦士物語【Ⅱ】――新たな戦い――  作者: YossiDragon
第一章:スピリット軍対決編
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第九話「基地からの脱出!!」・2

 と、その時、突然地響きが聞こえてきた。


「何だ!?」


 照火がいきなりの地震に驚いた。そして皆は、天井から岩が崩れ落ちてくるのを見て近くの柱にしがみつき、その危機を免れた。しばらくして何とか地震は収まったものの、未だに僅かな揺れが続いているためそのことに、


「くそ、これじゃ動けない!」


 と、爪牙がイラつきながら言った。

 その時、この長い異常な揺れに怪しく思った夢幻が、ふとスピリット軍団のボスの座椅子の裏を覗き込んだ。するとそこには、赤く点滅するライトが見えた。


「これはまさか……爆破スイッチかッ!?」


 目を見開き恐ろしいような表情を浮かべる夢幻。その爆破スイッチという一言を聞いて、雷人が近寄った。


「見せてくれ!!」


 こういう機械系の物がとても好きで、すぐに興味が湧いてそのことだけを考えていると他の事には一切気が行かないという強み、及び弱点がある雷人。さっそくその爆破スイッチを見て、リュックから工具箱を取り出しドライバーを出した。そして、そのドライバーでネジを回し取り外した。


「どうやら、この赤い線と青い線のどっちかを切れば止まるみたいだ!」


 その二つのコードを見て雷人はふと思った。


――最近こういうパターンのスイッチ多いよな……。こんな場合、赤は血を意味し、青は平和ってことを意味するんだよな……。でも、必ずしもそうとは限らないし。



 そんな考えが雷人の頭の中で試行錯誤し、ついに面倒臭くなった彼は周りの意見を一切聴かず、独断で行動に出てしまった。

 結局赤いコードを切ってしまった雷人は、コードを切ると同時に目をつぶり、しばらくして目を開けた。そこに映っていたのは、赤色のコードをニッパーで切っている自分の手だった。


――やばい、切っちまった!



 雷人が今頃になってとんでもないことをしてしまったと気付いたようだ。そんな時、事故は起こった。


「どうしたの、お兄ちゃん?」


 と、突然輝光が肩をポンポンと叩いてきたため、驚いてもう片方の青のコードまで切ってしまったのだ。


「ぬわぁッ!! お、お前……な、何してくれとんじゃぁあああ!! 両方切ってしまったではないか!!」


「あはは~。ごめんね?」


 兄の大声での罵声に対し、妹は小声で謝罪の言葉を述べる。

 二人が言い争っていると、奥の方から爆発音が聞こえてきた。


「まずい! 両方のコードを切ったから爆破スイッチが解除されなかったんだ!! 急いでここから脱出しないと、このアジトはもうすぐ大爆発するぞッ!!」


 暗夜の言葉に一同は慌てた。そんな十二属性戦士の慌てふためく様子を見兼ねた夢幻は、はぁ~と嘆息し手を大きく上げた。そして皆を落ち着かせた。


「静まれぇぇええい!! ええか、お前ら! 少しは冷静になれ!! 見てみぃ、こいつをッ!!」


 そう言って夢幻は楓をビシッと指さした。


「こいつはまったく微動だにせず、動かないでじっとしとるやろが!! 少しはこいつを見習えや!!」


 その言葉に皆が一斉に楓を見てみると、そこには確かに夢幻が言う通り目をまったく瞬きさせずにじっと立ったままでいる楓の姿があった。しかし、それにふと不振感を抱いた爪牙は……、


「ん、待てよ? 夢幻、よく見ろ! こいつ……あまりにものハプニングで固まってやがる」


 と、楓をポンッと軽く後ろに押した。すると、楓はそのまま後ろにバタンと倒れてしまった。


――こ、こいつ……こんな時に本当に気絶してやがる!?



 爪牙はそう心の中で思った。


「とりあえずこいつは俺が運ぶ! 夢幻、早く脱出経路を教えてくれ!!」


 気絶した楓をおぶりながら爪牙が夢幻に訊く。その言葉に頷き、夢幻は説明を始めた。爆発音はどんどん大きくなり、やがては十二属性戦士が話し合っている近くでも爆発が起き始めた。そして、ようやく夢幻の脱出作戦の説明を全て聞き終えたメンバーは、それぞれの担当の場所に移動した。


――▽▲▽――


 まず雷人と残雪、夢幻の三人はスピリット軍団の核とも言われる指令塔に向かった。


「ここにはたくさんのスピリット軍団以外の情報が詰まっとる。所謂この場所は情報の宝庫や。ええか? わしが案内したるから、お前のハッキング能力を駆使して情報を全てこのフロッピーに移すんや!! そしてそのフロッピーを国王に渡せ! そうすれば、『光と影』についての情報も分かるはずや!」


 夢幻が必死に走りながら言った。


――▽▲▽――


 一方、他のメンバーは脱出する場所を確保していた。


「どうするの? 下に行こうにも、既にスピリット軍団のやつらが破壊しちゃったから入口からは出られないわよ?」


 菫が下に繋がる階段が封鎖されているのを見て言った。

 どうしようかと迷ったその時、時間もないということですぐ近くにあった壁を脱出口に変えようということで、輝光が兄の雷人に念のためにと渡されていた小型爆弾で壁を綺麗な円形に爆破して壊した。そして彼女はヒュンヒュンと丈夫なロープを少し遠くにある地面へ投げた。すると、そのロープの先についていた突起物が地面に引っかかった。それを確認した輝光は、メンバーに合図を送り、輝光から順番にロープウェイのようにシュルシュルと降りて行き、アジトから見事脱出することに成功した。


「どうする? 他のやつらはまだ脱出してないんだろ?」


 照火が未だ尚爆発し続けるアジトを冷や汗を流しながら見つめ言った。そして、また爆発したのを見て咄嗟に残ったメンバーを助けに行くために戻ろうとした。しかし、照火の腕を雫が掴み、真剣な表情で首を横に振った。その顔を見て悔しがりながらも照火はその腕を振り払った。

 照火は、助けに行けないのがとても悔しいのか、唇を噛み締め顔を俯かせる。

 その時、大きな爆発が起き、城のてっぺんが崩れ落ちた。すると、その大きな音に、


「な、何っ!?」


 と、楓が急に目を覚ました。そして、さらに彼女は自分が爪牙におぶられてることに驚きの声を上げた。


「ちょっ! 何であなたが私をおぶってるのよ!!」


 そう言って楓は早く下ろしてと言わんばかりに爪牙に言った。そのことにぶつぶつと文句を言いながら楓を下す爪牙。皆は城が爆発しているのをただ見ているだけだった。


「あ、あれって……!?」


 暗夜がふと遠くの方を指さす。彼らが見てみると、その方向からはスピリット軍団の生き残りの雑魚が大量に現れた。


「くっ、こんな時にっ!!」


 楓は舌打ちし武器を取り出した。しかし、皆スピリット軍団の隊長や副隊長と戦った後のため、相当疲労していた。それにより、一同はなかなか力が出なかった。


「ダメだ! こんな時に雑魚が来やがるなんて……! 普通ならこんな雑魚に負けるわけねぇのに!」


 爪牙が雑魚をハンマーで蹴散らしながら言った。


「このままじゃ埒が明かない!」


 照火が武器を振るいながら体力がどんどん削られていっているのを肌で感じた。


「このままじゃまずい!」


 雫が魔法でバリアを張り何とか耐えているものの、すぐに敵に破壊されてしまう。

 と、その時、大きな爆発音が三度城の方から聞こえてきた。また、それと同時に照火達がついさっき脱出してきた脱出口から人影が姿を現した。


「あ、あれは……お兄ちゃんだ! よかった、無事だったんだ!!」


 輝光が雫の張っているバリアの中で声を張り上げ指さした。しかし、そんな十二属性戦士の周りにはスピリット軍団の雑魚敵がゾロゾロと湧き上がり跳梁跋扈している。その光景をロープウェイで下りながら見ていた雷人や残雪たちが武器を構え戦闘に加勢した。ラグナロクも先程まで手こずっていたが、本調子が出てきたのか、敵に対して優勢に立っている。だが、それでも体力が持たないのか、ラグナロクもとうとう地面に膝をついてしまった。


「何やっとるんや、お前ら! こんな雑魚相手に後れを取るんやないで!!」


 夢幻の言葉に照火が文句を言った。


「そういうお前達だって情報は手に入れて来たんだろうな?」


 照火の言葉に雷人が頭上にフロッピーを掲げた。それを見ると、


「よっしゃ! 早く脱出するぞ!! 急がないとそろそろ漆黒の門も閉まっちまう!!」


「どういうこと?」


「あの門は、鎖が壊れて自動的に開いてたんじゃ……!?」


「せや! けど、わし達がそれを直した……せやからもう閉まるんや。はよぅせんと、この空間から永久に抜け出せなくなるで!!」


「じゃあ早くしないと!!」




 スピリット軍団の雑魚敵から逃げてしばらくすると、ようやく十二属性戦士は、七色に光り輝く丸い円が広がっている異次元空間の扉がある場所へ辿り着いた。そこに向かって一同が精一杯体力の続く限り走って行く中、夢幻とラグナロクがその場に残り、雑魚敵と戦っていた。


「何やってるんだ二人とも! 急がないと門が閉まるぞ?」


 雷人の言葉に夢幻が振り向いて言った。


「悪いな、雷人。わしはこいつらを倒さへんと今までの悪い事を水に流すことが出来へんような気がしてならへんねん!!」


 その決意を聞いて雷人は黙った。するとラグナロクも口を開く。


「俺も……いや、私も雫やお前達には貸しがあるからな。ここで活躍すればせめてもの恩返しになるだろ?」


 その言葉に雷人は何かを言おうと口を開けたが、その言葉を跳ね返すぐらいの大声で夢幻が言った。


「はよ行けッ! わしらの行為を無にすんなや!! お前らは絶対に誰一人として欠けることなく夢鏡城に戻らなあかんのや!! ええな? 他の十二属性戦士にはお前がごまかしといてくれや!」


 雷人に背を向け剣を構える夢幻。その背中を見て雷人はフロッピーを持っている手を強く握りしめた。だが、あまりにも強く握りすぎたらフロッピーが壊れてしまうと思い、力むのを止めた。


「ほんのしばらくの間やったけど、世話んなったな……」


 まるで二度と会えないような言葉を残し、掛け声を上げて夢幻はウジャウジャいる雑魚敵に向かって突っ込んで行った。ラグナロクも無言でその後に続く。

 雷人は急いで門の方へ向かった。


――▽▲▽――


 その頃他の十二属性戦士達は暗黒街の漆黒の門で残りの三人が帰ってくるのを静かに見守っていた。誰もが一言も喋らず冷や汗を流しながら三人を信じ、ただひたすら待ち続ける。

 その時、門から一つの手が見えた。それを見た瞬間、十二属性戦士全員が急いで手を差し伸べ、その手をグイッと一気に引っ張った。そこから姿を現したのは、三人ではなく雷人一人のみだった。それに気づいたメンバーの疑問を代表して、輝光が地面に膝と手をつき息を乱しながら義兄に質問する。


「お兄ちゃん、あの二人は?」


「あの二人は……スピリット軍団の雑魚敵から私達を守るためにあの場所に残って戦ってくれている」


 義妹である輝光に雷人が悔しそうな顔つきで答える。その言葉に何も出来ない自分を呪うかの様に唇を噛み締めた照火は、武器を顕現させ門へ歩を進めた。


「待て、照火。どこに行くつもりだ?」


「このままじゃ二人が殺られてしまう!! だから俺が助けに行く!!」


 雷人の言葉に照火が絶叫めいた大声をあげる。そして門に近づき入ろうとしたその時、その腕を再び雫が掴んだ。


「何だよ! また俺を止めるのか?」


 雫は真剣な眼差しで照火の目を見る。しばらくの間、ずっと二人が見つめ合ってるのを見て楓は慌てて二人の間に分け入り文句を言おうと口を開いた。


「気持ち悪いって!! 何やってんのよ、あなた達! 照火……雫の気持ちも分かってやって? 雫は幼馴染であるラグナロクがまだあのアジトにいるとしても彼女を信じてあそこに乗り込まずにいるんだから。雫も必死なの、だからとりあえず落ち着こう?」


 楓が照火のイライラしている心を抑える姿を見て、雷人はボ~ッとしながら思った。


――あいつ、何だかんだで照火のイライラを抑えてるよなぁ。だが、そんなしっかり者の楓でも、時には先程の時の様な失態を犯す……なんだかなぁ。



 そんな事を想いながら雷人はリュックからジュースを取り出した。

 その時、門から大きな音が聞こえてきた。まるで何かが近づいて来ている様な音だった。そして、その音の正体が一体何なのかいち早く気が付いた雷人は、皆に聞こえるように腹いっぱいに力を込め大声で叫んだ。


「伏せろッ!」


 叫び声に一同は慌てて頭に手を当てて地面に伏せた。

 刹那――、同時に凄まじい爆音と共に漆黒の門が大爆発した。


「何が起こったんだ!?」


 爪牙が煙が舞い上がる門の方を向くと、そこには二つの人影があった。


「まさか……!?」


 時音が驚きながら息を呑み、煙が晴れるのを待つ。すると、風と共に吹き飛んだ煙の中から姿を現したのは、先程までアジトの中で戦っていた夢幻とラグナロクの二人だった。


「どうやら、無事に脱出出来たみたいやな!」


 夢幻の言葉に照火はあまりにもの驚きで口をポカンと開けて目をオロオロさせながら、その場に固まって立ち尽くしている。


「おい大丈夫か? 何や、その顔の表情からしてわし達があのスピリット軍団の軍勢の中、戻って来た事が相当驚きやったようやのぅ?」


 恐ろしいくらい的確な推測に一同も驚きを隠せない。そんな中、一人だけ冷静に目を半開きにして、胡坐をかいてジュースを飲んでいる人物がいた。

 雷人である。


「何や、雷人だけまったく驚いてないみたいやないか。 それに、何やその眼差しは! まるで別に帰って来なくても良かったのに……と言わんばかりの表情やないか!!」


 その役になりきるような役者ぶった口調で言う夢幻。さすがにこの考えまでは読めないだろうと高をくくっていた雷人の考えを、あっさり夢幻に読まれてしまったことに、平然を保っていた雷人もさすがに驚いた。


「ところで、これからどうするんや? とりあえず夢鏡城に戻るんやろ?」


 夢幻の言葉に再開の喜びをしていた十二属性戦士は我に返り真剣な面持ちとなる。


「だけど、ラグナロク達はどうするの?」


 雫の言葉にラグナロクは静かな声で言った。


「私は夢鏡城には行かないぞ? これから私はとりあえず鎧一族の砦に帰るつもりだ……。目的もちゃんと果たしたしな」


 彼女の“私”という言葉に雫は少し嬉しくなったのか、明るい表情で微笑んだ。その姿に気付いたのか、ラグナロクは少し照れたように頬を赤らめる。すると、いきなり雫が静かにラグナロクの側に歩み寄り、ボソッと耳打ちした。


「やっぱり、君にはそれが似合うよ!」


挿絵(By みてみん)


 雫の言葉にラグナロクは慌てて咳払いをし、ブツブツ文句を言いながらさっさと行ってしまった。


「別れも告げずに行っちゃったッスね」


 残雪が雫の背後からいきなり声を張り上げて言ってきたので、思わず雫は驚いて飛び跳ねた。


「うわっ! 何だよ、残雪。驚かさないでよ!」


 高鳴る心臓の鼓動を鎮めるように胸に手を当て少し不機嫌な表情をとる雫。


「い、いや……ちょっとリラックスさせようと思って」


 残雪のフォローの言葉に、文句を言いながらも雫は内心で少し嬉しくなった。




 それから、白夜は暗夜が悪いわけではないことが夢幻とのやりとりで分かったので闇の都に帰還し、夢幻は何でも夢鏡城に用事があるらしいので十二属性戦士についていくことになった。

 こうして、十二属性戦士は合計十三人で夢鏡城に帰ることになったのだった……。

というわけで、無事にスピリット軍団のアジトから脱出することに成功した十二属性戦士。漆黒の門は大爆発してもう使用不可能。なので、もう二度と別の空間に形成された夜の街とも呼ばれた漆黒の門の向こう側へは行けません。

また、仕掛けられた爆弾の解除法……赤と青の二つのコードのどちらかを切る、はい典型的なパターンですね。まぁ、義妹の輝光に邪魔されて両方やっちゃいましたが。

次の話では十二属性戦士が夢鏡王国に帰還して成果を報告したり今後の事について話します。一章はこの話で終わりと思います。

予告としては次からは二番目の鍵を探しに砂の都へ行きます。Ⅰの時に細砂を仲間にした以来ですね。

では、次回をお楽しみに。

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