青に濡れた、欠片
僕には何もなかった
通り過ぎていく風になりたかった
心というモノを捨てたかった
世界がタダの景色に見える
モノクロの世界が僕を侵食していくけれど
何故か、空虚の心に小さな青が落ちる
それはあまりに唐突で
何も理解出来ずに仰いだ
何かが弾け飛んで
止められずに、ただ仰いで
止めどなく溢れるソレが
温かく僕を濡らす
僕の空虚は青に濡れて
全てを落とした感覚がした
なんだか視界が輝いて
隔てた向こうからの橙を背景に
羽が舞い、鳥が舞い上がる
からり、と空を切って落ちた銀の音と
曇天が完全に晴れたのは
ほぼ同時だった