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  作者: 莉央奈
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【守るべきもの、戦う意味】

 クラスの教壇にリズが立つ、いつものように本を広げている、しかしいつもとは違った本を持っていた。

「今日は魔物について詳しく話しましょう。」

 魔物についてならとっくに教えられている、異常な繁殖力を持つ異形の生物、それを魔物と呼び、それらの王こそが魔王と呼ばれる者である

「既に知っていると思いますが、魔物は人間の人体改造の失敗作です。我々適性者は様々に進化または退化しました。ですがそうでない者達は進化も退化もしなかったか或いは人間ならざる姿へと変貌しました。本能のままに略奪や殺戮を行い、知能は人間よりいくらか低いのですが、体力や運動能力は高く、人の手に負えません。そこでこれらの排除に使われたのが天使です。古い言葉で“Angel Necessary God Enhance Logic”その意味は幾つかありますが、“天使に必要な神の強化された理論”と言われています。」

 リズは淡々と説明を続けていく、ここにいる生徒達のどれだけが理解しているだろう、この古い言葉...神話時代の言葉を...

 天使とは何なのだろう、フィリアをジッと見る、高位の天使とは何かが違う気がする。

「レリア?どうしたの?」

 リズに名前を呼ばれてビクッとした。別に何をしていたわけでもない。

「すみません...」

「体調が悪いなら医務室に行ってきてもいいわよ?」

「大丈夫です」

「そう、ならしっかり聞いててね。」

「はい」

 再びリズが説明を始めるが、それらの言葉は頭に入ってこない、どうしたんだろう...

 この講義はいつまで続くんだろう、外は相変わらず青い空...


カーンカーン...


 警鐘が鳴り響く、行かなくてはいけないのだろうか...、フィリアが腕を掴む、リズも早く行くように促す。

 どうして私が行かなくてはいけないのだろう、メリルとエリルも席を立った。

「己が使命を果たせ」

 リズの言葉に席を立つ...

 剣を抜いて窓を破り外へと出た。まるで何かから逃げるように...


 黒い翼を広げて地上を疾走するレリアの後をフィリア達が追跡する、目的地はわかっているのだろうか、レリアが民家の屋根の上に飛び乗り右折する、その先に魔物の一団がいるのが見えた。


「堕ちた人間ども!死にたくなければ消え失せろ!」

 レリアの声に魔物の一団が方向を変えた。レリアの方へとむかって...、その数は数百、これまでにない数だった。

「銀色の剣を血に染めて...」

 剣で敵を薙ぎ払い...

「我握るは嫉妬の(やいば)...」

 敵の中に入って周囲の異形を薙ぎ払う。

 フィリア達も異形の魔物と戦い始める...


 リズの講義は続く...

「天使は生きるべき人と死すべき人を選別して世界に死を振りまきました。どれだけ優れた武器も彼女達の持つ剣の前では無力でした。

 それまで七十億と言われた人間の数は五千万人程度まで減ったのです。これはテルスの生まれる前、この世界がガイアと呼ばれていた時代、そして種族が多様化する前の話です。そしてアールヴ、エルフ、有翼人などの種族が生まれたように魔物達も生まれました。これは人間が天使と戦うための生体兵器を作る時にできた副産物にすぎません。そして未だに天使を倒すことはできていません。」


 レリアはいつもと違って力だけで押しているように見える、敵陣に入っては周囲の敵を切り刻んでいた。

「レリア!やめて!」

 フィリアの叫び声も聞こえないのか、狂ったように敵を切っている、このままでは壊れる、フィリアはそう感じていた。


「魔物の目的は“本来あるべき姿へ返ること”であり、その目的のためなら本能のままに人を襲います。その根底にあるのは嫉妬と憎悪です。」

 リズが本をパタンと閉じる。

「では、レリアとフィリアの種族について話しましょう。

 天使は二種類存在します、最初に作られた十二人の大天使、それから兵として量産された下級天使、どちらも基本能力は個体差がありますが大きな違いはありません、特殊な能力があるかないか、そのくらいです。それら天使のいきすぎた行動を止める為に、レリアのような堕天使が生まれました。自ら堕ちたといいますが、実際は監視者として、また実行者として天使の行動を抑制し、時には協力して事態に対処します。そして世界は今彼らのものになっていますが...」


 レリアを追うフィリア達は敵に囲まれて身動きが取れなくなっていた。そこへレリアが上空から舞い降りた。

「私のフィリアに手を出すな」

 レリアが周囲の敵を切り刻む、すっかり血に染まっているがレリアは構わず切り続けた。

 フィリアが魔法で彼女の傷を癒していく...

「メリルさん!救援を!」

 四人で対処するにはあまりにも敵が多すぎる、自警団や守備隊も対処しきれていない、各所で爆煙が上がり、その下では戦闘が繰り広げられているのだ。

「次から次へと...」

「一気に攻めます」


 リズは窓の外を見てつぶやく

「今日はいつにも増して騒がしいわね」

 扉が急に開き一人の男性教師が息を切らせながら告げた。

「直ちに全員戦闘配置!これは戦争だ!」

 学園の戦力はあの戦争で半分以下、三分の一にも満たないくらいまで減ってるというのに...

 学園の生徒達は命令に従って学園都市の防衛にあたった。そんな中でフィリア達には『撤退』の命令が出される...

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