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初夏の夢

作者: 雷稀

珍しく幸せで思わずほっこりしそうな物語を書いてみました。

短めですが丁度良いんじゃないかと思います。


それでは、どうぞ。

付き合って間もない私達は、初夏の涼しい風に吹かれながら近くの土手を散歩していた。

上流の緩やかに流れる川は透き通っていて、時折魚が顔を覗かせる。これが下流に行ったら汚れているなんて、誰が想像できるだろう。

斜面に生える青々とした草達は、さわさわと風に身を任せ、昼下がりのまどろみを楽しんでいるようだった。

青空に浮かぶ雲もまた柔らかな夢に包まれながら、空を旅している。

手を繋いでゆっくりと歩幅を合わせながら、会話もなく歩いていた。

楽しくないわけではない。むしろ逆だ。

話さなくても、何となくお互いの気持ちが分かっていた。今は都会の喧騒から離れたわずかな自然を、体で感じている。それは私もあなたも同じだった。


土手の途中、川縁に降りるとわずかな広場になっているところがある。

大木と呼べる程の一本の銀杏があり、そのまわりにスペースが作られている感じだ。

広場といっても四メートルほどしか幅はないが、散歩の休憩には恰好の場所だった。

地元の私達はその穴場を知っており、どちらからでもなくそこへ向かった。


川に足をつけながら、二人並んで横になる。

銀杏が作る日陰は、適度に木漏れ日と風を運んでくれて、思わず寝てしまいそうなほど心地が良い。

横を見ると、たくさんのクローバー越しに、あなたの気持ちよさそうな顔が見えた。

視線に気付いたのか、あなたも私の方を見て、眠そうに微笑んだ。

大きな手が優しく私の頭や頬を撫でる。横になったままだからすこしぎこちないが、その優しい手が私は大好きだ。

やがて手が止まると、幸せいっぱいの笑顔を見せてくれる。大人に向かい始めたその顔は、やっぱり笑うとまだ幼い。

私の大好きなその笑顔は、きっとずっと、四葉のクローバーよりも幸せを運んでくれるのだろう。

そんな空想に思わず口元が緩みつつ、銀杏の空を仰いだ。

秋に備えて太陽をいっぱい浴びている葉達も、気持ちよさそうにその体を伸ばしている。


柔らかい陽だまりに眠気を誘われながら、いつの間に寝たのか、あなたの無垢な寝顔を眺める。

その寝顔がたまらなく愛しくて、起こさないように気を配りながら、優しく抱き締めた。

私の腕にすっぽりと収まり、微かに動く頭。二人分の呼吸が風に溶けていく。


たとえあなたと離れても、今日のように銀杏の木が揺れる日は、あなたの事を思いだそう。

耳に残るあなたの声と、瞳に残る素敵な笑顔をずっと覚えていよう。

川のせせらぎと木の揺れる音を子守唄にしながら、少しばかりの幸せな夢に身を任せた。

読んでくださり、ありがとうございます。


今回は会話無し、女の子目線の「思い」と情景描写だけで書き上げてみました。


こんな風景憧れますよね。近くにこんな素敵な場所はないですが、気持ち良い日は散歩したくなったり。

私はどこかに遊びに行くよりもこうやってまったりする方が大好きです。

だから作者の夢物語でもあったり。

叶わない幸せな夢を、小説に書いてみた感じです。

自己満足作品かもしれません^^;



感想・アドバイス等ありましたら、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 上手に描写が書けててすごいなと思いました。 僕は描写下手だからww [一言] 読むの遅れてすいませんでした。 これからも執筆頑張ってください。
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