1話 魔王城への訪問販売
「つ、着いたぞ魔王城だ」
日本から飛行機を乗り継ぎ数日、ここは中南米のとある場所。
鬱蒼とした森の中、人気なんて生ぬるい、生き物の気配がないそこに城はあった。
今から5年前、この地域に突如として出現した魔王城。
そこから始まった魔族による侵略戦争、しかし2年前ついに人類は魔王と和平交渉を成立させる。
それにより中南米の地域は魔王陣営に譲渡されたが、そこから一気に平和となり今では魔族がタレント化されている現在。
総数2億5千万体の魔族は、人類最大の貿易相手になっていた。
『ゴクッ』
今日の取引はたしか、ウォーターサーバーだったな。
よし頑張ろう。
俺が勤務する対魔族貿易会社では、様々な商品を魔族向けに取り扱っている。
つまり我々の顧客は魔族、そう俺の仕事は魔族へのセールスである。
「あ、相変わらずでっけぇなぁ」
眼前には魔王城へ通ずる巨大な門がある。
一応この門にはインターホンがついており、これを押す事で対人貿易担当の魔族の方と交渉できる。
あ、ちなみにこのインターホンは、半年前に俺が売りました。
『ピンポーン』
『ザザッ、はい魔王城です何奴でしょうか?』
「どうもー、魔貿の高橋ですー」
『あ、高橋様!少々お待ちくだされ、ただいまより係の者が参りますので!』
「はーい、ありがとうございますー」
そうしてインターホンは切れてしまう。
よし、あと数分もすれば対人貿易担当のラルフさんが来るぞ。
気合い入らなきゃな。
ちなみに、魔族に日本語や英語を学んでもらうため、1年前にうちの会社の社長が直々にセールスに訪れ、そこで見事契約を勝ち取っている。
その功績によりうちの会社は対魔族貿易を行うことを世界で唯一認められているのだ。
やっぱ社長はすげぇなぁ、俺も色んなもん魔族に売りつけて有名になってやるぞ!
『ギィィ』
待つ事5分、魔王城の門が開いた。
「やぁ、高橋さん!」
「ど、どうもラルフさん」
門が開くと、身長2.3メートル、体重250キロのラルフさんが出てきた。
ちなみにこの人は素手でミサイルをぺちゃんこにできるらしい。
「今日はどのようなご用件で?」
き、きたぞ。
このワードはラルフさんの交渉開始の合図だ!
よ、よし頑張ってウォーターサーバーの魅力伝えるぞ。




