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第二章 65話『『元』究極メイド、あるものを見た』

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 謎の黒色のゴーレム3体を斬り捨てたカルム。そしてそれを後ろから見ていた一同は、再び下水道から繋がっていた広すぎる空間の散策を始めた。と言っても散策する程の距離や広さでは無いし障害物も今のところ見えない。見回りの方が言葉として近いかもしれない。


「もう何かが出てくる感じはありませんね」


 安心したアミナは周囲を見回してホッとする。何せ、自分があのゴーレム達を出現させてしまったかもしれないのだ。他にも何かあれば発動させてしまう自身が彼女にはあった。


「クセェ臭いがプンプンしてあんまし感じ取れねぇな……メイの旦那やフィアレーヌ殿もダメか?」


「誰が旦那だ誰が。……まぁけど、私も正常に働いてる感じはしねぇ」


「にゃーう」


 鼻が役に立ちそうな3人はこぞって鼻を動かすが、そのどれも反応していないようだった。こういった索敵を避ける為に下水道をアジトに選んだのだろうか……。

 暗くて目もあまり利かない、下水道の臭いで鼻も大した働きは出来ない。そもそも人気も無いから、誰かが意図的に入ってくるまでバレようがない。下水道は、アジトには地味にいい条件なのだろう。


 そんな事を考えながら、アミナは入口から一番遠い壁まで来た。そこから入口の方を見返すと流石の広さだ。入口付近にだけ明かりがついていて、そこ以外は結構な暗さがあるが、暗闇に目が慣れてきていたアミナ達には十分見えるくらいだった。


 壁に手を伝わせながら歩いていると、ふと手にぬちゃっとした感触がした。それは普段家で過ごしている時に感じたのなら、大した感情は抱かないのだが、ここは魔人会のアジトであり、人目に晒される事の無い隠された部屋だ。

 ――嫌な予感がする。


 アミナはそっと顔を上げて嫌な予感がする方へと目を向ける。心臓の鼓動を必死に抑えながら目の前に現れるであろう光景に向けて覚悟を決める。


「――ッ!!」


 彼女が顔を上げると、そこには巨大な杭で体を打ち付けられた、人間の死体がズラリと並んでいた。アミナの手に付着した血は、彼等から滴り落ちた血液が固まって壁に染み付いたものだったのだろう。


「どうしたアミナさん!!」


 アミナの声にもならない叫び声を聞きつけたフィーとカイドウが一目散に駆けつけ、他の全員もその後にアミナの見た光景を目の当たりにする。


「これは……!!」


「なんて事しやがる……!!」


「あぁ、あまりにも惨過ぎる」


 カイドウが指先に力を込めて息切れしながら「ファイア」と唱えた。そして少し遠ざかって惨たらしく凄惨な現場の全体を照らす。

 すると杭で打ち付けられている人の数は全部で6人、彼等の血液はとある何かを現しているようだった。メイは見て取れる限りのそれを口に出す。


「"いらっしゃい"……か。デカデカと書きやがって」


 書かれた文字を読み上げたメイの横でアミナは握り拳から血が滴り、唇を強く噛んだ。それはどうしようもない怒りと憎悪、そして明確な殺意と敵意からなる必然的な行動だった。


「一体何が目的でこんな事を……!!」


無関係で罪のない人達を利用するだけじゃなくて、こんな道楽じみた事をする為にわざわざ人を殺して何日もここに貼り付けにしておくなんて……。下水道の臭いで血の匂いや腐敗臭にも気づかなかった。どれだけ人をコケにすれば気が済むんだ……!!


「……言っただろう。こいつ等の目的も行動理念も意味不明だって……意味なんてそもそもあるのかすら分からない。だけど、それにしたってこれは胸糞が悪すぎる」


 アミナの言葉に意見を言いつつ、カイドウは同じ感情を抱いていた。


「……我々の行動は筒抜けだ。そう捉えるのが妥当でしょうか」


 カルムが現状を冷静な判断をして口に出す。その考えにはメイやイーリル達も同意したように頷いた。皆がこんな時こそ冷静になろうと落ち着いている中、2人。目の前にある光景に他よりも一段と怒りを感じている人物がいた。


「……許せない」

「……許せねぇ」


 それはアミナとベルリオの2人だった。

 1人はこの大陸に来て人の温かみや人間関係に触れた事で他者を大切に思うようになったメイド、もう1人は帝国随一の鉾で、全てを守る盾となる騎士団長。

 2人の行動理念は違えど目的は同じ。そして今は共通の敵へ同じ怒りを感じて震えが止まらない。


「今すぐ地上に戻りましょう。この事を町長さんや他の人に伝えるんです」


「あぁ同意見だ。さっさと戻って魔人会の連中をブチ殺すぞ」


 アミナは腰の短剣に手を添え、ベルリオは魔道義手の拳で肉体の掌を打ち付けて気合を入れた。2人は入口の方へと向かって歩いた。そんな2人をイーリルは声をかけて止めようとしたが、2人の放っている殺気と敵意に腰が抜けそうになって一歩よろめいた。恐らく、今彼等を止めれば僕が死ぬだろう。イーリルはそう直感した。


 そんな時だった。突然、天井が大きく揺れ始めた。それは小さなものでは無く、日常生活では全く聞く事の無い重く鈍過ぎる音だった。

 天井が大きく揺れる――それが表す事はたった1つしか考えられない。それを察した一同はすぐに出口へ向かって走り出す。

 始まったのだ。魔人会による壊滅作戦が。


「――絶対に……捕まえてやる……!!」


 額に血管、瞳に強い意志を浮かべたアミナは、己が制御できる全速力で下水道の出口を目指して走り出した。

 彼女に続くようにして、他のメンバーもアミナの後ろを彼女と同じ意志を持ちながら走っていたのだった。



最後までお読み頂きありがとうございます!


まさかの惨過ぎる現場を目撃した一同。

そして謎の揺れの正体を確信した彼等彼女等は、地上を目指して走り出したのだった。


それでは次回もお楽しみに!!

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