第二章 60話『『元』究極メイド、探索と散策をする』
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ザストルクへと到着したアミナ一行。
彼女達は魔人会がザストルクの壊滅を目論んでいると知り、それぞれが街の方々へ散って魔人会の捜索をしていた。
イーリルとベルリオは東、メイとカルムは南、カイドウとフィーが北へと向かい、アミナは唯1人で西部へと向かった。
街の中を注意深く観察しながら歩みを進める。道中聴き込みをしようかとも思ったのだが、どこで誰が聞いているか分からない以上、不確定な事はやるにやれなかった。
「でもこれじゃ手も足も出ない状態ですね……至って平和なのに、本当に事件など起きるのでしょうか……」
アミナは念の為にと持たされた通信用の水晶をベルトのポケットから取り出す。
その次に反対側のポケットをまさぐってまたしても小さな瓶を取り出してコルクの蓋を開ける。
「えっと……ここの上に水晶を置いてと……」
蓋を外した小瓶の口の上へと水晶を置くと、何やら怪しく推奨が淡く光る。
そうなった瞬間、流石に道端でやる訳にはいかず、アミナはすぐに道の端に寄ってそれを口元へと近づける。
「もしもしこちらアミナです、聞こえていますか?」
『……はい、こちらネール。アミナさん、聞こえていますよ』
少しだけ間が空いてから、水晶から声が返ってきた。その事にアミナは一安心して「ふぅ」と一息ついた。
『良かった。アミナさんでも通信用水晶使えて』
「皆さんの用意してくれた『魔力貯蔵瓶』が無ければ使えませんでしたよ。……私、魔力の感覚なんて分からないものですから通信用の水晶を使いたくても使えなかったんですよね……」
『確か以前もカイドウさんから連絡があった時も、彼からのだけだったんですよね』
アミナは収穫祭の時を思い出す。
ガーベラという収穫祭の主催者側の人間のスキルによって別空間に閉じ込められていた時、謎のカチューシャの調査を頼んだのと一緒に貰った水晶から彼の声がして、外の状況を知る事が出来た。
そして今、彼女が通信用の水晶を使えているのは、兵器開発部門が開発した魔力を瓶の中に閉じ込めておける道具のおかげだ。
アミナは自覚している通り、魔力のコントロールや感知があまりできない。その為、通信用の水晶も一方通行の通信しか出来ないのだ。
しかし今回は兵器開発部門の発明によって、アミナからも通信が出来るようになっていた。今彼女はそれを使用して城に何か異常が無いかを確認していた。
「お城の方はどうですか?何か変わった事などは……」
『いえ、こちらには何も異常ありません。それに、何かあっても僕等で何とかしてみせます。ですのでご安心下さい』
通信用の水晶は相手の姿が見えないのでどんな体勢をしているかは分からないのだが、今のネールはきっとガッツポーズを取っているに違いない。
安心したアミナは「そうですね、いらない心配でした」と微笑んで返した。
「それでは引き続き、お城の方はよろしくお願いします」
『了解。アミナさんもお気を付けて。ご武運を』
それを最後に通信用の水晶の淡い光は消えた。
まだ微笑みが消えないアミナはベルトのポケットへ先程の魔道具達を仕舞って、再び道の方へと戻って街中を進んだ。
西部に到着したアミナは、道中よりも更に注意深く周囲を観察しながら歩いた。
しかし結論から言うと、特に何も無かった。
彼女がそうなってしまうのも必然といえば必然なのだ。なぜなら、当たり前だがアミナはこの街の普段の光景を全く知らない。初めて来た街で、街の違和感を探せなど言われてピタリと当てられる人間など、ほとんど存在しないだろう。
困り果てた彼女は西部の広場らしき所へと来てひと休憩する。
「こんな調子じゃ見つけられませんよ……何かもっと別の手がかりは……」
ため息を付きながらベンチに座るアミナ。すると噴水を挟んだ向こう側から大きな歓声が聞こえた。
なんだろうと疑問に思い、重い腰を上げてそこへ歩む。
噴水の横を通り過ぎて、鳴り止まない歓声の所まで到着すると、そこには太った道化師がいた。
彼の服装はなんだか不思議で、頭には道化師がよく被っている、二股に割れた布の先端にポンポンがついているジェスターハットを着用していたが、服はピッチリとした白い縦線の入った白いスーツを着ている。
道化師が何故このような格好を……?と不思議に思いながらも彼が次にやろうとしている事を見る。
「さぁさぁ、こちらに取り出したるは1つの青い玉。こちらを私の右手に握ります。さてさて、ここからがご注目〜」
道化師はそう言うと、二の腕や体の脇腹からうようよと大小様々な腕を生やした。
あまりの事にアミナは「げっ!」と言ってしまったが、急いで口を押さえた。どうやら見物人は道化師に夢中なようで、気づかれてはいなかった。
そしてその生やした腕を数度くねくねと動かした後、「さぁ、この腕の中のどこに、先程の青い玉が入っているでしょうか〜」と観衆に問いかけた。
小さい子供や、大人達が次々と答えているのを嬉しそうに見ている中、「それでは〜」と言って何かを探るような動作をした。
「それでは、そこにいるメイド服を着たお嬢さん!お答え下さい!」
彼が新しく出した手で指を差した。その方向にいてメイド服を着ている女など、この場には1人しか居なかった。
「へっ?私ですか……?」
「はい、お嬢さんですよ」
無駄な確認と答え合わせの問答が起き、アミナは、最初に道化師が掴んだ手を指し示した。
「ファイナルアンサー?」
「ファ、ファイナルアンサー……」
変にねっとりとした口調で訊かれたので、アミナも困惑しながらねっとりした口調で返してしまった。
そして彼は最初に青い玉を握った右の手を開いた。するとそこには青い玉など存在せず、ただ虚無が握られていた。
「ずぁ〜んねん!お嬢さん惜しい!正解はこちらの、二の腕から生えていた手でした〜」
何故?凄い!という感情よりも、ムカつく、という感情が先行する。特に残念の言い方が特筆して。
「今日の演目はここまで、ご視聴ご清聴の程、ありがとうございましたぁ〜」
丸いからだを折り曲げて道化師はお辞儀をした。
観衆は大きな歓声と盛大な拍手をした後にその場を後にした。去っていく彼等は、口々に「楽しかったね」や「どういう仕組みなんだろ?」と声を上げていた。
「あの、すみません」
魔人会の探索に戻ろうとしていたアミナを呼び止める声が聞こえた。振り返ると、そこには先程の丸い体をした道化師がいた。
「はい?なんでしょうか?」
「いやぁ、先程は付き合わせてしまってすみませんでした。初見なのにあんな事を訊いてしまって……」
「あぁ、確かに……先程のうにょうにょ生えてくる手は何だったんですか?」
こう言っては失礼だが、とても奇妙だった手の事をアミナは思い出しながら道化師に訊いた。
すると彼は「あれば私のスキルでございます」と言った後、「あぁ、自己紹介が遅れましたね」と言って再び体を折り曲げてお辞儀をしながらアミナに言う。
「私の名前はヒューリー・パピヨン。見ての通り道化師……いわゆるクラウンというものをやらせて頂いております」
「あぁ、芸人さんでしたか。通りで皆さんお金を置いていってくれたりした訳ですね。……それよりも、先程の手をスキルだと言っていましたが……一体どんなものか訊いても……?」
「えぇえぇ構いません、減るものではありませんし、手品と違って他者に真似できるものでもございやせんしね。あれは私のスキルで『愚者の手』という、至る所から手を出すだけの能力です。最初は冒険者を目指していたのですが……この体型とこのスキルではどうやってもお役に立てず、曲芸師になってみたらあーら不思議、才能が開花したようでしてね。真面目なお仕事を受けるようになってからは、スーツと衣装を両立したこの服を愛用しております」
だからスーツにジェスターハットなのか、とアミナは理解した。いやまぁ、納得出来るかどうかは怪しかったが。
「見たところお嬢さん、この街は初めてだとお見受けします」
「はい、実は右も左も分からない状態でして……」
「それは好都合!実は私、これからこの街を仕切っている方の所へ向かうのですが、ご一緒致しませんか?私はこの街に着いてから2週間ほど滞在しています。少しはお役に立てるのでは無いかと思われます。……いかがですか?」
ヒューリーはウィンクしてアミナに持ちかける。正直ここに来た目的を話さなければ大丈夫だろう、捜索も難航している訳だし、とアミナは思い、「ではお願いします」と言った。
「それではこちらでございます。さぁさぁどうぞ……っと、まだお嬢さんのお名前を伺っておりませんでしたね。よろしければお名前を」
「アミナと申します」
「アミナさんですか、それはそれは美しいお名前で〜」
ヒューリーはいつものクセなのか、人をおだてるような口調をしながらアミナの横を歩き、ザストルクの西部の案内を始めた。
最後までお読み頂きありがとうございます!
早速行き詰った魔人会の捜索!
そんな中でアミナは1人の道化師と出会った!
おいアミナ!何を遊んでいるんだ!!
さっさと目標を探しなさーーーい!!
それでは次回もお楽しみに!!




