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第二章 52話『『元』究極メイド、帝都を散策してみる』

よろしければブックマークや感想の方よろしくお願いします〜!



「もう、何で勝手に承諾しちゃうんですか」


アミナはコルネロ帝国の帝都、パラディンにある城の一室でメイに向かって言った。

ネブロとの話し合いを終えた一行は、メイへの依頼が終了するまで城に滞在する事になり、それぞれが豪華過ぎる部屋を与えられた。

そして今は今後の計画を立てる為、アミナの部屋へと集合して話し合いをしていた。


「受けちまったモンはしゃーねーだろ」


「しゃーなく無いです!私はともかく、カイドウさんまで巻き込んで……」


「僕は気にしてないから大丈夫だよ。それよりも、今は状況を整理しよう」


この場にいる全員がカイドウの言葉に頷き、先程のアプスとの会話を思い出しながら会話を始めた。


「とりあえず先程の皆さんの考察を統合するに、魔人会の構成員を発見するのが第一目標となりそうですね」


アミナが目先の目標を口にする。

先程の話し合いで出たネブロやメイ、カルムの考察や情報を整理すると、魔人会が一番怪しいと言う事になった。

その為目先の目標が魔人会との接触となる訳だ。


「つってもあいつ等、どこに出るのか、本拠地がどこなのか、それすら分かってねぇ状況なのが困り所だな……」


メイが腕を組んで天井を見上げる。

接触を試みると口で言うのは簡単だったが、試みる相手がどこにいるかを知らない今、それはかなりハードルが高い。


「それにまた自爆されても困るね。情報が聞き出せない」


「彼等が自爆をするのを事前に防げればやりようはあるのでしょうけど……そこは難しいところですね……」


カイドウに続いてカルムが有り得そうな可能性を言う。

アミナ達がコルネロ帝国に来る時に魔人会の人間と接触する機会があった。

しかしその時は皇帝暗殺の事実など知らなかった上に、体内から発光し、爆発して情報を聞き出せずに終わってしまった。


「うーむ……どこが一番目撃例が多いとか無いのですか?」


「分からねぇが、恐らくそんなもんはねぇ。あったらさっさと調査始めてるだろうしよ」


「そうですか……そう言えばコルネロ帝国ってどのような土地なのですか?」


アミナが思いつきで質問した。

もしかしたら土地特有の何かを利用した隠れ方をしてるかもしれない、と考えたからだ。


「別段珍しいモンはねぇぞ。でも強いて言うなら鉄鉱平原だな」


「鉄鉱平原?」


聞き慣れない言葉にそれを繰り返す。


「鉄鉱平原っつーのはそのまんまだ。鉄鉱石が採れる平原だ。鉱山でもなんでもねぇのに鉄が大量に露出してる。それがあるから、コルネロは魔道銃器を大量生産出来るんだ。その鉄やらなんやらを使ってな」


「なるほど……しかしそれでは私の考えは外れてしまっていそうですね……」


部屋の中に沈黙が広がる。

各々が自身の頭の中で思考を巡らせ、ありとあらゆる可能性を考えているのだ。

数分程経過してからだろうか、急にメイが「だぁー!」と大声を上げてソファに横たわってカルムに「枕!」と言って膝枕をしてもらっていた。

そしてそのままアミナとカルムとフィーを指差した。


「お前等、これから自由行動だ。ただし、この件を考えんのは一旦中止だ」


突然言われた事に納得出来ず、「しかし」とアミナは反論する。

だが次にこう言われた。


「今考えたって出てこねぇモンは出てこねぇ。昔言われたろ?10秒考えて出てこなきゃ問題飛ばせってよ。知識がなんもねぇ状態で頭ブン回しても、出てくんのはくだらねぇ考えだけだ。だから気分転換に行ってこい。小休止とでも思ってよ」


彼女はそれだけを言って目を閉じた。

メイの勝手な言い分にカルムは困ったように笑い、アミナ達に微笑みかけた。


「メイ様はこんな事仰られてますが、御三方が見たい物がきっとこの街にあるだろう、と考えての発言ですので、どうか怒らないで差し上げて下さい」


カルムの勝手な弁明にメイは目を閉じながら「そんな事思ってねぇし」とだけ呟いて本格的に寝に入った。

アミナとカイドウは顔を見合せ、静かに吹き出すと、2人はフィーを連れて部屋を後にした。


「カイドウさんはどちらへ?」


「僕はポルコさんとネールさんの所に行こうかなと思ってるんだ。折角魔道具見せてもらう約束もさせてもらったしね」


カイドウは嬉しそうに言った。

それも無理は無いだろう。

彼は生粋のドMであるが、それと同時に生粋の魔道具マニアでもあるのだ。

見た事の無い魔道具があれば気になるのは当然だろう。


「それじゃあ僕はここで」


広い城の中の1つの別れ道を右に曲がりながら、カイドウは去って行った。

その背中を後ろから見ていると、横に人……いや獣の気配を感じ取り、アミナは振り向く。


「やぁお客人、この城はどうですか」


アミナが振り向くと、そこには多くの毛を蓄え、大きく尖った耳を立てている獣人がいた。

アミナはその身長の大きさに驚いて思わず見上げる。

軽く2メートルちょいはあるんじゃないだろうか。


「はい、とても快適です。わざわざお部屋を用意して頂き、ありがとうございます」


アミナは軽く頭を下げ、再び目の前の獣人へと目を戻した。

屈強な肉体や顔付きから、かなりの猛者である事を察していた。


「こちらこそ、大臣の依頼を受けて貰って感謝している。……おっと、自己紹介が遅れたな。私はコルネロ帝国武装騎士団総団長『ベルリオ・ナーダ』。見ての通りの獣人だ」


「あぁ、貴方がポルコさんの仰っていた獣人の方でしたか。私はアミナと申します。こちらは猫型魔物のフィアレーヌです。私はフィーちゃんと呼んでいます」


抱き抱えられているフィーは持ち上げられてその顔をベルリオに向けられた。

されるがままなフィーは一言「にゃあお」とだけ言って挨拶する。


「魔獣を使役されているとは驚いた。それでは少し失礼して……」


ベルリオはそう言って姿勢を低くし、「んんっ!」と喉を鳴らした。


「◎▲◆□※△◇→○→■。◆※◆……◎◎△=□?」


突然発せられた意味の分からない言葉にアミナは驚いた。

どうやらフィーに何かを語りかけているというのは伝わるのだが……一体何を喋っているのかは全く理解出来ない。

しかしそれを聞いた後のフィーは、なんだか嬉しそうに「にゃうにゃにゃにゃ」と何かを言っていた。


そんなやり取りがしばらく続くと、ベルリオはニコッと笑った。


「アミナ殿、フィアレーヌ殿はとても凄いな!もう少し彼と話がしたいのだが……彼を借りてしまってもいいだろうか?」


「え、えぇ……構いませんが……先程の言葉は一体?」


「あれは人獣語というものだ。我々人獣はどんな動物の言葉も聞き取れる。それに対応し、相手の言語に合わせる事が幼少期から可能なんだ。これはそれの一部という事になる。簡単に言ってしまえば、人獣独自の言葉みたいなものだな」


ベルリオは説明を終えると、アミナからフィーを受け取り、2人はカイドウが進んだ方向とは別の方向へと歩いて行った。

1人になったアミナは広い廊下の中でポツンと放置された。

少し複雑な気分だが、フィーがあれ程までに楽しそうなら別にいいか、と考えた。


「さて!私も街に繰り出しますよ!」


アミナは城の中でそう宣言し、走って城の外へと向かった。


―――


アミナが城門から城の外に出ると、改めて帝都の発展具合に驚かされた。

到着当時も思った通り、やはり建物が大きく、それなのに青空を受け入れ、違和感が無い風景を作り出している。

店も多く出ており、スターターでは見かけない物や人が大量にある。

まさに国の中心地と言うにふさわしい。


「さぁて〜どこから回りましょうかねぇ〜」


アミナは心を躍らせながら街中を歩く。

目に入る物全てが新鮮な気がする。

街の広さもスターターより遥かに広いし、これだけの都市を滞りなく回転出来ているこの国はやはり凄い。


財布を片手に持ったアミナは様々な所を巡った。

食料品店には勿論、魔物の素材や自然の物資、スターターより大きな本屋もあった為、数冊手に取った。

パラディンに来てからまだ一日も経っていないにも関わらず、アミナはかなりの金額を消費していた。


ご機嫌になって街中を歩いていると、ふと通りかかった武器屋から「参ったなぁ……」と声が聞こえてきた。

厄介事には首を突っ込まずにはいられないアミナは、「ちょっとだけ……そう、ちょっとだけ……」と呟いてその武器屋に入っていった。


「らっしゃい……っとすまねぇなお嬢ちゃん。今は武器を売ってやれねぇんだ」


入店早々武器が売れないと言われてしまった。

しかしそんな事は想定内だ。

アミナは動じず、「何があったんですか?」と訊いた。


「いや実はな。ここパラディンの近くにある街に武器を届けなきゃならねぇんだが……その納期がめちゃくちゃでよ。ショートソード10本にロングソード10本。そいつらを明日までに届けろっていわれてるんだが……」


店主は後ろを振り返った。

アミナもその方に目を向けるが、どう見たってショートソードが2本、ロングソードが1本しかあるように見えない。


「納期は延ばしてもらえないのですか?」


「無理だな……。向こうは毎回無茶な依頼をしてくるからよ。前回もそれで納期を延ばしてもらって何とかしたから、今回は出来ねぇと思う。……いやぁ、どうしたもんかねぇ……」


店主は頭をかきながら「そういう事だからよ、悪ぃな」と言って店の奥へと戻って行った。

だが、アミナは思う。

こんな時の為の、私のスキルではないか、と。


「店主さん。武器の素材は揃っていますか?」


「え?なんだよ急に。まぁそりゃな」


店主は不審かったが答えた。

それに対してアミナは「そうですか」と呟き、「失礼します」と言って許可無く奥へと入った。

そして壁に飾られているショートソードに触れ、近くにあった鉄塊にも触れた。


「何する気だ嬢ちゃん?」


店主は怒る素振りも無く、腕を組んでアミナを見下ろしていた。

するとアミナは「試してみたい事があるんです」と言った。

アミナはスキルを発動させ、いつもとは少し違う感覚を掌や頭に広げる。


「……『複製創造(レディメイド)』」


アミナがそう呟くと、アミナの片手にあった鉄塊が光り輝いた。

そしてみるみる形を変え、そして数秒後にはもう片方の手で持っていたショートソードと同じ物が出来上がっていた。


「なっ!?」


店主は驚き、開いた口が塞がらないといった具合だった。

アミナは次々に鉄塊を手に取り、ショートソードを量産しながら言った。


「今のが私のスキルです。本来は知識とイメージが重要なんですけど、ここ1ヶ月近くスキルを多用していたおかげで、少しだけ進化したみたいなんです」


複製創造(レディメイド)

それはアミナがこの大陸に来てからスキルを多様した事でスキルの経験値が大幅に上昇し、新たに手に入れた技だった。

その内容は、既に完成している物質に触れる事で、素材を消費すればイメージや知識など問わずに、全く同じ物が作れるというものだ。

それを利用し、今大量に剣を量産しているという訳だ。


そして最後のロングソードを作り終え、アミナは店員に全て見せた。


「これで納期に間に合いますかね」


目の前にズラリと並べられたショートソード10本、ロングソード10本を店主は唖然としながら見つめていたが、ふと我に返って頭を振るった。


「助かったぜ嬢ちゃん!これで間に合う!すまねぇが今から手続きすっからよ、礼はまた今度改めてさせてもらうぜ!!」


店主はとても嬉しそうに店の奥の扉へ向かった。

扉に入る直前振り返り、「期待してろよー!」と手を振って扉の中に消えた。

それを見届けて「フフ」と笑ったアミナは「よかった、上手くいって」と呟いて武器屋から出、興味のそそられる他の店へと足を運んだ。




最後までお読み頂きありがとうございます!


今回は考えるのはナシっ!の回でしたね。

各々が自由行動をする感じのお話でした。

それとすみませんでした!

ネブロの名前をアプスにしたまま変えるのを忘れていました!

現在は変更しましたので、そちらが正しい表記となります!!

ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!!


それでは次回をお楽しみに!!

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