表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/296

第二章 51話『『元』究極メイド、犯人の目星をつける』

よろしければブックマークや感想の方よろしくお願いします〜!



「えっと……私達も受けるんですか?」


「いいだろ?別に。どうせ暇なんだからよ」


メイは無責任に言う。

アミナはため息をついて「もういいです」と諦めた。

この人に何かを言って止めさせられた事など一度も無い。

だったらもう受け入れてしまおう。

犯人を見つけるだけだし、そこまで難しい事では無いだろう。


「アミナ殿も請け負ってくれるのか!巻き込んだ形になってしまったのに本当に申し訳ない!感謝する!」


ネブロはまたしても頭を下げた。

そんな彼にアミナは「他国の庶民に王族が軽々しく頭を下げてはいけません。顔を上げて下さい」と言ってネブロに顔を上げさせた。

その様子を見たメイは「律儀だねぇ」と無関心そうに言う。


「それでネブロ大臣、犯人について心当たりは何か?」


カイドウが最初に疑問を投げた。


「うむ。犯人はククルセイの刺客……と思わせて、外部の第三者によって暗殺されてしまったとワシは思うのじゃ」


想定外の言葉にアミナとカイドウは静かに驚く。

しかしカルムは「同感です」と言い、メイも「私もだ」と言った。

何故彼女等が同じ考えをしているのか、アミナには理解が出来なかった。


「り、理由をお訊きしても?」


アミナはネブロにそう思う理由を訊いた。

ネブロは一息置いて説明を始めた。


「ワシが思うに、冷戦状態の相手への攻撃にしては大き過ぎると思うのじゃ。もしワシ等がその証拠を掴めば、全面戦争は避けられん。経済的支援をレリックから受けられるとは言え、レリックは戦争に反対派の温厚な国じゃ。経済面が厳しいククルセイに大金を出すようには思えない。よって、冷戦状態が続いている現在が、ヤツ等にとっても経済を安定できているいい時期であるハズ。にも関わらず、戦争を始めるような口実をわざわざ作るとは思えん」


彼の国を統治する側の人間の意見を聞いたアミナは頷いて「メイさんも同じ考えですか?」と訊いた。

しかしメイは「いや、私はそれとはちと違う理由だ」と言って、ネブロに疑問を投げた。


「おいネブロ。お前の兄貴はどんな風に殺されたんだ?」


「そうじゃな……首筋を縦に斬り裂かれておったわい。口には何かを押し付けられた後があったそうじゃから、声も出せずに一撃で殺されたのじゃろ。……そうじゃった、その時の水晶があるんじゃった。参考になればよいのじゃが」


そう言って映像水晶を取り出した。

メイは早速その中に保存されている画像を空中に映し出した。

画像が映し出されると、そこにはネブロの言った通り首筋を縦に斬り裂かれ、大量に出た血の海の上で横向きに倒れている老人がいた。


「酷い……」


アミナは呟いて手で口をふさぐ。

これ程惨い殺し方をする必要があっただろうか。

声を出せないように喉も斬り裂かれている。

なるべく苦しまずに亡くなった事を祈るばかりだ。

そしてしばらく画像を凝視していたメイは唐突に「違うな」と呟いた。


「やっぱりこいつぁククルセイの連中が殺したんじゃねぇ」


メイは断言した。

すると今度はネブロが「何故お主もそう思うのじゃ?」と訊いた。


「ククルセイは聖騎士で構成された騎士団しかねぇ。人数こそ少ねぇが、その分魔法やら何やらで戦えるのがヤツ等の長所だ。だからそもそも暗殺部隊なんてねぇハズだ。それなのに喉と首を何の躊躇もせずにかっ斬ってやがる。見ろ、こいつの足元。暴れた後どころか、帰りの足跡すらねぇ。こんなのを、綺麗事大好きなあまちゃんの聖騎士に出来るとは思えねぇ。それが私の意見だ」


自身の意見を言い終わったメイはソファに寄りかかった。

様々な戦法や、様々な国を渡り歩いてきたメイ故の視点。

アミナはメイとの初めての戦闘を思い出した。

確かにメイも、歩いた足跡を戻って木の上に登っていた。

暗殺者というのは似たような考え方を必然的にするものなのだろうか。


「してカルムはなんじゃ?」


「はい、僭越ながら意見させて頂きます。私の場合、状況証拠的に犯人を判断した訳では無く、タイミングや犯人の狙い等を考察した結果、ククルセイが犯人では無い、と判断しました。まずタイミングですが、コルネロとククルセイが戦争を始めたのがつい6年前。そして冷戦状態に持ち込まれたのが4年前。今まで続いていた均衡を崩すには、少し遅すぎると思います。ククルセイにはこちらのような兵器はありません。兵器は時間があれば大量に生産する事が出来ます。対するククルセイの武器は人のみです。4年という歳月で鍛錬した人間数万人と、4年という歳月で制作された百万以上の兵器。どちらが勝つかは一目瞭然です」


彼女の言葉にカイドウは「遠くからあの兵器で大量に狙われれば、コルネロが勝つ……」と呟き、カルムはそれに頷いた。


「しかもコルネロは経済的余裕があり、他国に頼らなくても利益が出ます。しかしククルセイは大国レリックの経済的支援に甘えている部分があります。そんな国が突然均衡を崩すとは考えにくいです」


カルムは喋っている最中に紅茶を一口飲み、ティーカップの中にある半量の紅茶の波紋を見ながら続きを話す。


「次に目的です。私の中で様々な目的の可能性を考えてみました。一つ一つ浮かび上がる可能性を消してった結果、1つの考えに辿り着きました。……犯人の目的は恐らく、この現状なのでしょう」


「この……現状とな?」


「はい。犯人にとって価値があるのは、皇帝を殺害する事自体では無く、その余波が生み出した現状の"混乱"だと思います。先ほど申し上げた通り、均衡を崩すには遅すぎる。つまり、他の第三者が混乱を招き、その間に何かを成す。あわよくば、コルネロとククルセイが戦争をする事で更に混乱を招く事が出来る。……そう考えたら辻褄が合うと思いました。私からは以上です」


カルムは残りの紅茶を飲み干して机の上にティーカップを置いた。

そして一同は改めて考えた。

本当にククルセイの仕業では無いのか、第三者とは一体なんだろうか。

しばらくの間、沈黙が城内の一室を支配した。


するとアミナの頭の中に、不確かだが可能性としては有り得そうなものが思い浮かんだ。

しかしそれを口にする程、アミナは軽率にはなれなかった。

ここでの自身の発言がどれだけの効力を持つか、それを理解していたからだ。

自身の考えを言うか躊躇していると、隣りに座っていたメイがニヤリと口角を上げてニヒルな笑顔を見せた。


「いるじゃねぇか……有り得そうなのが」


「ほ、本当か!?」


メイもティーカップに波々残った紅茶を一気に飲み干し、問いかけてきたアプスや、他の全員に向かって言った。


「犯人の目的は恐らく混乱、そんでもってククルセイには無い技術で殺されている。あわよくば戦争が起きて嬉しい第三者……ピッタリの連中がいるじゃねぇかよ」


メイはアミナの方を向く。

どうやら彼女は自身と同じ考えのようだ。

だがしかし確信が持てない以上、まだ言うべきでは無い。


「そんな混乱が大好きで暗躍が得意で殺しも躊躇しない集団に心当たりがあるじゃねぇか」


「まさか……!!」


カイドウが何かに気がついたようにハッとして顔を上げた。


「あぁ、そのまさかだ。混乱に乗じて何かしらデケェ事を巻き起こそうとしてる馬鹿野郎の正体は―――『魔人会』!!ヤツ等の仕業に間違いねぇ!!」


飲みきったティーカップを勢い良く机に叩きつけ、カップは粉々に粉砕され、机にも大きな亀裂が入った。

アミナは自身の考えがドンピシャで当たり、改めて身構えた。


「魔人会……ってあの犯罪者集団のか!」


「それ以外ねぇだろ三男坊。ヤツ等はコルネロ帝国のどっかで暗躍しながら意味もわからねぇ事を実行しようとしている。だが隠れるには藪が必要だ。その藪が今回の混乱だ。だから絶対ヤツ等は近い内に姿を表す……」


「という事は……」


「あぁ、これから私達は魔人会のボスを引っ張り出して――直接叩く!!」


メイは握り拳を作り出し、亀裂の入ったテーブルをそれで叩き割った。

これが己の意思の現れだ、と言わんばかりに拳を握り締め、砕き割った机の残骸の上で、ネブロをニヒルな笑顔で見つめていた。

まるでこれから行われるであろうゴタゴタを楽しみにしているかのように。



最後までお読み頂きありがとうございます!


なんともう犯人の目星が!?

彼等彼女等はちょっと感が良すぎますね。

君のような感の良いカキはフライだよ、と言った調子でしょうか


それでは次回もお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ