第二章 50話『『元』究極メイド、呼び出しの理由を訊く』
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「我は先代国王、アプス・コルネディアの第3子、ネブロ・コルネディア。コルネロ帝国の大臣である」
階段を下りながら髭を蓄えた男は言った。
年齢は見た感じ50歳前後、しかし白い髭を多く蓄えている為、実際にはもう少し老けているかもしれないが、肌の質感からそう感じられる。
王族特有のオーラや服装が、見慣れないアミナの目を疲れさせる。
「よう三男坊、私になんの用だ。言っとくが騎士団に戻る気はねぇぞ」
メイが強気に言った。
その言葉を聞いてアミナは驚く。
いくらそういう性格のメイさんとはいえ、相手は一国の大臣。
しかも先代国王の三男なら王族という事になる。
そんな相手にまでタメ口で偉そうだなんて……これじゃどっちが偉いのか分からないな……。
「ふむ、やはり生きておったかシェンメイよ」
「あぁ、お陰様でな。いい仕事が見つかったから勝手に出てきたってのに、また呼び出されるとは思って無かったけどよ」
メイは態度を変えず、ポケットに手を突っ込んだまま言う。
しかもそれを気にしていないように、ネブロは階段を下り続けた。
そして階段を下り終えたネブロは一行の前へと迫った。
「して、その者達は?」
「私のツレだ。折角なんで来てもらったんだ。どいつもこいつも有能なヤツばっかだ。私が保証するぜ。」
「そうか……ご苦労であったな、カルム」
メイの言葉を聞いたネブロは頷き、その後にカルムへと労いの言葉をかけた。
徒歩でスターターまでの距離を移動し、手紙を届けた彼女には当然の事だった。
……徒歩を選んだのはきっと彼女の早とちりだが。
するとそう言われたカルムは「い、いえ……」となんだか歯切れが悪そうに返した。
まるで不思議そうなものを目の当たりにしているように。
「お主達、名は」
ネブロがアミナ達に訊く。
アミナとカイドウはお互いに顔を見合せ、最初はカイドウが言う、というアイコンタクトをした。
「僕はカイドウ。……特に役職とか仕事をしてる訳じゃ無いけど……一応魔道具の点検や調査、研究なんかをしている」
へぇ、そんな事してたんだ、と思いつつ、次はアミナが自身の事を喋った。
「私はアミナと申します。レリック王国のスターターという街で雑貨屋を営んでおります。今回ご縁ありまして、メイさんに同行させて頂いています。……それと、こちらはフィアレーヌと言います。大人しく賢い猫型の魔物です」
「みゃーう」
アミナに紹介されて仕方無く鳴いた。
面倒臭そうにしている猫の顔が理解出来ない事を祈るばかりだ。
「ほう、魔獣を使役しているのか。若いのにかなりのやり手だな。結構結構…… 」
一通りの自己紹介を終えると、ネブロは後ろを振り返って腕を組んだ。
そして何やらブツブツ言っているようだったが、その声はアミナには聞こえなかった。
その後、突然体を震わせたと思うと、メイが嫌な顔をして「来る」とだけ呟いた。
その言葉が理解出来なかったアミナは「?」と首を傾げた。
その時、ネブロが飛び上がって体を一回転させた。
「よぉぉーーーうこそ来てくれたなぁ!!!!」
あまり唐突な出来事に、アミナは驚いて一歩引いた。
カイドウは「えっ!?」、フィーは「にゃっ!?」、メイは「はぁ……」カルムは「ホッ……」と各々違う反応をそれに見せた。
「いやぁ、本当に来てくれるとは思わなかったぞ!シェンメイ!!しかも友達まで連れてくるとはなぁ!」
ネブロは自身より遥かにデカいメイと肩を組んで嬉しそうに言った。
しかしメイは「ダチじゃねぇし、つか離れろや」と言って圧倒的な腕力で無理矢理引き剥がした。
「いやぁ、すまんすまん。久しぶりに主の顔が見れて嬉しかったんじゃ」
急なジジイ口調。
そして急なハイテンション。
先程の張り詰めた空気はどこへやら、ネブロは次にカルムへと絡んだ。
「ホントすまんかったな。馬車にも乗らずに行ってしまった時は、すぐに他の馬車で追わせたんだが、すっかり見失ってしまってな。徒歩での配達、本当にご苦労じゃった」
「いえいえ、私はメイ様に出会う為に必死だっただけです。……それよりも、ネブロ大臣の言葉遣いが変だった時、少し焦りましたよ。一体どうしてしまったのでしょう、と」
「最初はこのまま出ようと思ったんじゃが……お主等が他の者を連れてくるとは思わんかった。折角じゃし、雰囲気くらいは出してやろうかなぁ、と思ってちょっと真面目振ってたんじゃ」
ネブロのその説明に「成程でございます」とカルムは笑顔で返した。
そして最後に、アミナとカイドウとフィーの所へと絡みに来た。
「改めてようこそ来てくれたのお客人。シェンメイが人を連れてくるなぞ滅多に無くてな。大したもてなしは出来んが、シェンメイの用事が済むまでこの城でゆっくりしていってくれ」
そう言ってカイドウとアミナの手を握った。
こう見るとただの気のいいおじいちゃんにしか見えない。
すると固まっているアミナにネブロが「どうかしたかの?」と訊いてきた。
「い、いえ。帝国と聞いていましたからもう少しお堅い方なのかと思いまして……」
「あぁ、よく言われるよく言われる。でもワシってあんまり独りよがりなの好きじゃ無いんじゃ」
「けっ、よく言うぜたぬきじじい。そのくせ手紙にはさんざ書いてあったぜ」
メイが横から口を挟んだ。
それにアミナは、確かに、と思った。
手紙には国に来いという内容の他にも罵倒の言葉が書いてあった。
だが目の前の老人の口から出ている言葉のようには思えなかった。
「だってあれくらいしないとお主来ないじゃろ!内容考えるの結構大変だったんじゃからな!」
ネブロはアミナ達の手を離し、指差してメイに言う。
横で話を聞いていたカイドウは小声で「なんだか大丈夫そうだね」とアミナに呟き、「そうみたいですね」とアミナも返した。
すると「コホン」と誰かが言った。
それはアミナ達の横に立っていた案内係の人だった。
「ネブロ様。それより早く本題に移られては」
彼はそう急かし、メイに腕ひしぎ十字固めされているネブロは「あっ、そうじゃった」と言ってメイに開放された。
「まぁ、ここではなんじゃ。奥で話そうぞ」
ネブロは顔で奥を指し示し、アミナ達についてくるようアピールした。
ようやく本題か、と不思議な空間から脱出できると安心したアミナはついて行き、その横をメイとカルムが、その後ろをカイドウと案内係がついて歩いた。
―――
「紅茶でございます」
奥に案内されたアミナは淹れてもらった紅茶を一口飲んでその美味しさに驚いた。
「凄い……とても美味しいです」
「そうじゃろ美味いじゃろ。これはワシのお気に入りの茶葉でな。今度アミナ殿にも送るとしよう」
突然の好意に断るのを忘れ、反射的に「ありがとうございます」と答えてしまった。
「んで?御託はいいんだよ。私を呼びつけた要件ってのぁなんだ?」
メイのその一言で、場の空気がガラッと変わった。
先程までいい香りの紅茶の匂いが鼻の中を通り抜けていっていたのに、今はなんだか空気が淀み、地面に這いつくばっているようだった。
「うむ……今ワシ等が隣国の『ククルセイ』と冷戦状態なのは知っているな」
「あ?あぁ、確かレリックの子分的な国とやり合ってんだろ?聞いたよ」
メイは言った。
その言葉にアミナとカイドウは「えっ」と身構えたが、誤解を解くようにネブロが「だからと言ってアミナ殿達に危害を加える気は無い。我々の敵はあくまでククルセイなのだからな」と言った。
公私をしっかりと分けられる人で助かった、とアミナ達は胸を撫で下ろす。
「冷戦状態のある日……我が兄、皇帝リプス・コルネディアが……何者かによって暗殺された」
メイとカルム以外が声を挙げずに驚愕した。
ここまで平和そうなのに戦争中というのですら驚きなのに、皇帝まで暗殺されているなんて……
「幸いこの事はまだ限られた者しか知っておらぬ。今は突発的な病により療養中として、もう1人の兄であるノプス・コルネディアに政権を任せておる」
しかも誰にも知られない程の暗殺の技術。
これは只事では無さそうだ……。
「後生の頼みだ!我が兄を殺した人物を見つけ出し、その者をここへと連れてきてはくれないか……!!報酬はいくらでも出そう!」
「……なんで私に頼むんだよ。お前兄貴達と仲良くなかっただろ」
ズバッとメイが言い切る。
頭を勢いよく下げたネブロは顔を上げて「確かに……」と呟いた。
「確かに、兄達に比べ文才も剣才も無かったワシは優しい兄達に甘えるのが嫌で遠ざけてきた……しかし!この非常事態に乗じて不意打ちをしかけ、ましてや兄を殺した者をワシは許す事が出来ん!ワシはどうしても、その者の真意を問いただしたいのじゃ!!」
気迫のある声と覇気でネブロは言い切った。
その言葉を受けたメイは「……そうかい」とだけ呟き、ニヤリといつも通りのニヒルな笑いを浮かべた。
「……よし、分かった。この依頼、ラウ・シェンメイと、その愉快な仲間達が請け負った!!」
唐突な彼女の発言に、アミナとカイドウとフィーは巻き込まれるとは思っておらず、「えぇぇ!!??」「にゃぁぁぁ!?」と驚きの声を上げた。
驚いた3人を他所にメイは、ネブロの顔だけを見、ただただニヤリと笑って口角をあげていた。
最後までお読み頂きありがとうございます!
なんとメイが呼ばれたのは現皇帝が殺されてしまったからだった!
そしてその謎を解決する為、アミナとカイドウとフィーは巻き込まれる事に!
それでは次回をお楽しみに!!




