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第二章 37話『『元』究極メイド、そして気が付く』

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「はぁ……はぁ……これで、16体目……」


アミナは手に付着した泥を息切れしながら振り払った。

目の前に広がる泥は、もう16度目の討伐となるクレイゴーレムだったものだ。

彼女が地下通路に入ってから1時間程度が経過した。

最初にクレイゴーレムが現れてから立て続けに同じ魔物が出現し始めた。


「倒しても倒しても湧いてくる魔物に、複雑に入り組み過ぎた地下通路……。これだけ広ければメイさんがいる可能性も十分にありえますが……彼女と巡り会える確率はそれよりも更に低いですね……」


アミナはそうボヤいた。

魔物が大量に出現するだけならまだマシだったのだが、アミナも言った通りこの地下通路はとにかく入り組んでいた。

直線ばかりの通路が続くのだが、とにかく分かれ道が多く、その上一番外側であろう通路は一本道となっているようだった。

一本道になっているのに気が付かずにそこを15分ほどアミナはウロチョロしており、その間にクレイゴーレムを5体程倒していた。


確かに任せろ的な事を言ってしまったが、流石にこの風景にも飽き飽きしてきた。

途中、疲れ過ぎて魔法の火が点いていない通路に進んでしまって真っ暗闇も体験していた。

何があるか分からない地下通路だった事もあり、すぐさま引き返した。


今のアミナは、エルミナ達と潜った時には感じなかった退屈が何故か今はとても感じる。

そのせいもあってか、ララバイの時よりも長く深く潜っている感覚に陥っていた。

するとアミナは3度目となる下への階段を見つけた。


「まだまだ下があるんですか……。はぁ……メイさんはいずこ……」


アミナはがっかりしながら階段を下りる。

壁に手をついてゆっくりと下る。

壁にはやはり魔法の火が灯り、アミナの頭上を照らしている。

しかし一瞬気を抜いた瞬間足がズルっと滑って尻餅をつきそうになった。

あまりの出来事に背筋が凍った。


「……まったく、照らすなら足元にしてくださいよ……」


誰にも見られていなかったとはいえ、少し恥ずかしかったアミナは火に文句を言った。

だがアミナが気を抜くのも仕方が無いのだ。

朝早くからスターターを出発して到着したのが夕暮れ頃。

ライラとネレの手料理を夕食として食べ、待機用の部屋に案内されたのがもう夜遅く。

そして今はそれから更に1時間経過している

良い子はとっくに寝ているような時間である。

しかしアミナはその1時間の間も歩き続け、戦い続けている。

疲労が溜まって気が緩むのも仕方が無い。


「そういえばこの壁……何の文字が彫ってあるのでしょうか……」


アミナは階段を下り終わった時に、壁にある文字に触れた。

規則性があるのか、そもそも意味なんてあるのか。

それすら分からなかったが、何やら言葉を紡いでいるような気がする。


「この文字……所々あの懐中時計と同じものが見受けられますね……」


不思議に思った懐中時計の文字盤の文字。

普通の数字では無く、何やら読めない言葉が刻まれていた。

それとどこか似ているような文字がちらほらとあった。


「ふむ……数字のように規則性が無いのなら、懐中時計のあれは数字では無いのかもしれませんね」


顎に手を当てて歩みを進める。

懐中時計に一体どんな事が書いてあったのか、それが分かればこの屋敷の謎や呪われていると言われていた時計の事がもっと分かるかもしれない。

だがあの言葉を読み解く方法をアミナは知らない。

今は時計が呪われているのかどうか、メイを探して聞く他ない。


「さて……」


アミナは呟いてから歩みを止めた。

それも普段、街で馬車が前を通る時に足を止めるような動作でも無く、家の扉を開ける時に扉の前で立ち止まる時の動作でも無い。

ごく自然に、足音を立てないようにしてそっと気配を消す、そんな足の止め方だった。

そして彼女は曲がり角の先を見た。


そこにいるのは誰だ。

気配を消しているようだが、私には分かる。

魔力の類はあまり感じ取れている実感は無いが、本能的に漏れ出る気位はどうやったって完全に抑える事は不可能だ。

この闘気……メイさんだろうか……。

いや、でもメイさんなら私に気づくだろうし、気づいたら気付いたでこんな駆け引きをするハズが無い。

私がもっとしっかり人の気配を感知できるようになっていればこんな気分にならなくて済んだのに。


アミナは音を立てずに鞘から短剣を取り出した。

刃が擦れるような音も、鞘から引き抜く時の僅かな震えも発生していない。

完全なる無音で刃を露にする事に成功した。

そして次は足音を立てないようにして曲がり角まで歩く。

メイドの時に素早く、しかし靭やかに歩く練習をしていたのが功を奏した。

またしても全くの無音で曲がり角の内側にまで迫る事が出来た。


短剣を顔付近まで持ち上げて逆手に構える。

この曲がり角を出た瞬間、喉元に短剣を突きつける。

それが魔物ならそのまま差し込み、それ以外なら一旦保留。

両極端な思考がアミナの脳を支配し、冷酷な目を浮かび上がらせる。


見えない相手との間合いの取り合いをしていると、遂にアミナは満を持して一歩を踏み出した。

すると目の前に一枚の刃の先端が向けられていた。

アミナが首付近に持ってきたを思っていた短剣は相手の胸元付近までしか無く、あと一歩踏み出していれば完全に目が潰れているところだった。

そして、目の前の相手に驚愕と安心をした。


「……って、アミナじゃねぇか」


「この憎たらしい体と声は……メイさん!」


お互い、相手に向けていた刃を引っ込めると、メイは何故かがっかりした様子を見せ、アミナは安堵したように彼女に顔を向けた。


「よかった……!!突然消えられてしまって心配してたんですよ!!」


「あぁ、その件についちゃ悪かったな。起きたらアミナがいねぇからよ」


2人は驚く程早い気持ちの切り替えをし、メイが先導し、その後ろをアミナが歩き出した。

アミナに至っては、心配していた、と言っていたが、正直そのうち帰ってくるんじゃないだろうかと本心では思っていた。

しかし実際に言ったら面倒臭い事になるだろうと瞬時に判断し、心配していた、と言った。

あまり感動的ではない再開だ。


「メイさんはどうやってここに?」


「あ?あぁ、起きたらお前いなかったろ?それだから起きてもずっと暇だったんだよ。部屋に鍵もかかってたから壊したらまたアミナに小言言われるから壊さずに部屋を黙々と調べてたんだ。そしたら驚け。なんと部屋には隠し通路があるじゃねぇか」


「え?隠し通路?」


「おぉ。お前が使ってた机あんだろ。あれの横に本棚あったろ。あそこの本動かしてみたら本棚が動きやがったんだ。んで、隣の部屋まで続いてるみてぇだから隣の部屋行ってみようってした時、当然だが分厚い壁の間を歩く訳だ。そしたら床が急に開きやがってよ。それでこの有り様。そのままここに落下したって訳だ」


メイは事の全てを説明した。

確かに思い返せば本棚の下に引いてあったカーペットにシワがあったように思える。

広い屋敷だ、あれくらいの事は普通にあるだろうと見過ごしていた。


「しっかし、アミナお前よ。気配消すの上手くなったんじゃねぇか?」


「え?そうですか?」


メイに突然そう言われたアミナは実感が湧かないが、その先が気になるので聞き返した。


「あぁ。誰かが曲がり角の先にいるってのは分かってたんだが、それが魔物なのか人なのか。どっちにしろ強そうな気配が一瞬で消えたから強いヤツと戦えると思ったんだが……」


「そうか、だから私を見た時ちょっとガッカリしてたんですね」


「ちょっとじゃねぇ、大分だな」


「もう、貴女という人は……」


アミナがそう呆れてメイの後ろを歩いている時ふと「ーーで」と続けた。


「私達は今どこに向かっているんですか?何か道が分かるように進んでいますけど……」


周囲を見渡しながらアミナは呟く。

もうメイを見つけたから帰ってもいいかな、と思っていたアミナに、当の迷子本人は「おもしれぇモンがあったから見せてやる」と言った。

疑問に思いながらも、アミナはついて歩く。


―――


そこから数分程経過し、2人は階段を下りていた。

その階段以外に道は無く、どうやら終着点らしい。

こうやって長い階段を下りていると、なんだかエルミナ達と潜った迷宮遺跡・ララバイを思い出す。


「さ、ここだ」


メイはアミナを手招きして、階段を下りた先の広い部屋の中に入れた。

そこは本当に広く、そして長年放置されていたとは思えない程綺麗だった。

そして何より、そこの構造がララバイの最奥とよく酷似していた。

唯一似ていないとすれば、あの強力な魔物がいない事位だ。


円形に広がるその部屋を、魔法の火が照らしている。

壁には通路にあったものと同じ文字が至る所に刻まれており、不規則に思わせるような並びをしていた。

そして部屋の中央には丸い岩で出来た台座のような物があり、真ん中には穴が空いている。


「凄い……素人目にも分かる位、精巧で緻密な造形をしている……これもライラさんのお祖父様が……?」


アミナはその部屋に圧倒されていた。

魔力をあまり感じれないアミナにも、強く感じれる程の膨大な魔力達。

部屋の至る所に刻まれた謎の文字は寸分の狂いも無い程同じ形状をしている。


「な?すげぇだろ」


「……はい、正直驚きました。メイさんが言うからにはどうせくだらない物……良くて魔物のフンだと思っていましたが……」


アミナの言葉に高速で「おい」とツッコんだ。

しかし感動を飲み込んでアミナは真面目な顔をした。


「しかし大変勿体無いのですが、今は呪われている品が本当に呪われているのか、メイさんに確かめて貰う必要があります。一度外に出ましょう、皆さんも待っているでしょうし」


「ちぇ、折角見つけたのに何もしねぇのかよ」


メイは地面に落ちている小石を軽く蹴った。

するとその小石は吹き飛ぶ前に木っ端微塵に砕かれ、砂と化した。

そんな様子を横目に見ながら、アミナは自身が下りて来たルートをメモしたメモ帳を見て、帰り道を逆算する。


相変わらず変な形をした地下通路だったけれど、それもこれで終わりだ。

早く帰ってライラさん達に鑑定結果を知らせなければ――


メモ帳をペラペラとめくっているアミナの手が止まった。

そして何やら目を見開いている。

その様子を見たメイが「どうした?」と訊くが、アミナは答えずに顎に手を当てた。

そしておもむろに中央にあった穴の空いた台座を見て、ニヤリと笑った。

メイは「マジでどうした、気持ち悪いなお前」と引く中、アミナは彼女に向かう事も無く、低く、しかし大きく呟く。


「そういう事だったのか……!!」



最後までお読み頂きありがとうございます!


アミナは一体何に気がついたのか!

そしてメイがアミナに良く見せるのは魔物のフンだと判明!


それでは次回をお楽しみに!!

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