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第二章 34話『『元』究極メイド、相方の行方を探る』

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「メイさんが……消えた……」


誰も居なくなった部屋を見てアミナは言葉を失う。

彼女は頭の中で目の前の状況を整理しようと脳みそを最大限稼働させた。


何でだ、何でメイさんがいない。

部屋には鍵がかかっていたハズだ。

だがメイさんはこの部屋の鍵を持っていない。

つまり起きて外に出たのだったら部屋の鍵はかかっているままという事になる。

それにトイレの鍵ですら面倒臭がってかけない人だ。

もし仮に鍵を持っていたとしても逐一かけて部屋を出ていくハズがない。

しかし部屋の状態に違和感は無い。

掛け布団は雑に退かされており、彼女が起きた事だけは確かだ。

一体何故……一体どこへ……


「アミナさん……大丈夫ですか?」


考えている事がブツブツと小さく口から漏れているアミナに、ネレが呼びかける。

無論、大丈夫なハズが無く、冷静に物事を考えようと振る舞っているが、実際には何が起きたか全く把握できずに焦っている。

しかしそれを悟られて更に不安がらせてはもっと良くない状況となってしまう。

そう考えたアミナは出来る限り冷静で、それでいて優しく言うように心がけた。


「はい、ひとまずは。しかし彼女がどこかへ行ってしまったのは事実です。……少し部屋の中をじっくり見てみます。お時間を下さい」


アミナはそう言って部屋の中央まで歩いていく。

そして部屋を出た時と何か違う場所がないか、じっくりと観察した。

まず最初に机の上を見た。

そこには先程自身で描いたランタンのスケッチがあっただけで、特に何の変化も見られない。


次に目をやったのは彼女が寝ていたベッドだ。

そこにはや掛け布団がぐしゃぐしゃになって置かれていた。

アミナの家でもそういった置き方をする為、やはりメイが起きてどこかに行ったのは間違いなかった。

しかしその周囲には変わった様子は無い。

メイの行為としてはいつもどおりと言わざるを得ないだろう。


最後に部屋全体を見回す。

机の横にはアミナが持ってきた鞄が立てかけてあり、何かされた形跡はない。

近くの本棚も、上着をかけるためのラックぬも変化は無い。

メイが荷物を持ってきていれば、それがあるか無いかで彼女の意思でいなくなったのか、それともそうでは無いのかを判断できたが、彼女は手ぶらでここまで来た。

強いて言えばいつも通りネックレスをしていたくらいだ。

だがネックレスを外していた様子も無かった為、それが彼女へのヒントになる訳が無かった。


アミナは記憶を必死に辿るが、それでも中々違いが見当たらない。

一通り部屋の観察が終わると、アミナは部屋の外で待機している3人の方に振り返って言った。


「……一度、食堂へ戻りましょう。根拠は少ないですが、この屋敷は何かがおかしいです。この部屋に全員で固まっていると悪い空気が溜まってしまいます。なのでここより広い食堂で話し合いをしましょう」


アミナはそう言って部屋から出た。

彼女の話を聞いたジグは先頭を歩き、食堂までの道を先導した。

木箱を持って部屋の扉を締めた後、最後尾を歩いているアミナは扉を閉めきるまでの数秒、部屋の中を睨み続け、再び部屋の鍵を締めた。


―――


「少し、状況を整理したいと思います」


食堂に無事到着したアミナは椅子に座っている3人に向かって言った。

3人は無言で頷いた。


「私はライラさんに呼ばれた時、確実に鍵をかけました。しかしその部屋の鍵は内側から開けられるようになっています。つまり、部屋の中にメイさんがいなかったのなら、鍵を持っていない彼女が外に出た場合、部屋の鍵は開いている状態でなければなりません。……しかし実際の所、部屋の鍵はかかったまま、名産だけが消えていました」


端的に起きた出来事をまとめた。

銀の懐中時計の事と言いメイの失踪と言い、この屋敷はやはり何かが変だ。

続けてアミナは「何か御三方に心当たりはありませんか?」と聞いた。

この屋敷に住んでいるのなら、何かしらの可能性を期待してもいいだろう。

だがしかし、ライラとジグは「さぁ……」と顔を見合わせて何も無いだろうと言いたげな表情をした。


「長年住んでいますが、今回のような事はあまり……」とライラ。

「私も同じくです。妻程長くはありませんが、結婚してからそこそこ住んでいましたがこれと言った事は無かったかと……」とジグ。


2人とも本当に心当たりは無さそうだった。

だがそれも仕方が無い。

何せ、誰も知らない呪われているかもしれない遺品が出てくる屋敷だ。

まだ彼等の知らない何かがあってもおかしくはない。


むしろ彼等が知っている屋敷内の情報よりも、彼等が知らない屋敷の秘密が出た方がありがたい。

何故なら、一見無関係かもしれない事が思わぬ事実へと繋がり、更にそれがメイの捜索に繋がるかもしれないからだ。

その為、全くとまでは言わないが、既存の情報はあまり使い物にならないと考えても良いかもしれない。


「むむ……しかし手がかりは無い、か。それはそれで困るな。これじゃ探しようがないし……」


アミナは顎に手を当てて考えた。


まぁ、最悪あの人なら自力で帰って来れそうではあるんだよなぁ……。

帰巣本能強そうだし、何よりスキルで五感とかそういった感覚が研ぎ澄まされてるから、もし仮にこつ然とどこかへ消えてもフラッと帰ってくるんじゃなかろうか。

正直心配する要素はあんまり無い。

だが今回の仕事としては非常に困る。

何故なら本当に銀の懐中時計が呪われているのか、それを判断できるかもしれないのは彼女だけなのだから。


そんな風に考えていると突然、「あのっ……!」とそこそこ大きな声で呼ばれた。

その声の主は2人の娘であるネレだった。

急な呼びかけに少しだけ驚いたが、「どうしたのですか?」とアミナは訊いた。

するとネレは顔を上げてアミナの方を見た。


「私、一つだけあります。心当たり……」


少しだけ躊躇し、オドオドとした様子でネレは言った。

彼女のその言葉にアミナはいつになく真剣な表情へと瞬間的に変化し、「詳しく」と低く言った。



最後までお読み頂きありがとうございます!


ネレちゃんの心当たりとは何なのだろう……

そしてまだ明かされない銀時計の謎!

少しだけホラーテイストになってきた?


それでは次回もお楽しみに!!

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