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第二章 33話『『元』究極メイド、呪いの遺品を目の当たりにする』

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静寂が広がる屋敷の一室に、コンコンと音が鳴り響く。

しかし誰もその音には反応を示さない。

しばらく経って、もう一度コンコンと鳴った。

すると今度はその音だけで無く、声も聞こえてきた。


「アミナさん、メイさん。いらっしゃいますか?」


ライラの声だ。

深い眠りに落ちていたアミナだったが、彼女の声に虚ろ虚ろしながらも起き上がった。


「はぁい……いますよぉ……」


ウトウトした声でアミナは答えた。

返事をしたアミナは窓の外を見てみた。

外の景色はあまり変化していない……というか、すっかり暗くなっていた為どれくらい経過したかは分からなかった。

だが大した時間は経って無さそうだった。

そして、部屋の扉を開けて外に出た。


「あら、すみません。就寝中でしたか?」


「いえいえ、こちらこそ申し訳無いです。仕事をしに来ているのに寝てしまって……」


「まぁ明け方に出発して到着したのは夕暮れ時でしたもんね。お疲れになっていても当然です。こちらで遺品の用意ができました。どうぞ食堂まで」


ライラはそう言ってアミナについてくるように促した。

しかしアミナは部屋の中を振り返った。

何故ならメイが爆睡をかましているからだ。

だが不本意でついてきて貰ったので起こすのも忍びなく、「まぁ私でも大丈夫か」と呟いた。


一応念の為、部屋には鍵をかけておいた。

内側から開けられるから、起きたらきっと探しに来るだろう。

それを済ませたアミナは、ライラについて行き、食堂へと向かった。


―――


ライラについて先ほど食事を取った食堂に向かうと、そこにはジグとネレもいた。

2人もその遺品を私が見る場に立ち会うようだ。

食堂に設置されているテーブルには古ぼけた木箱が置いていあった。

その中に例の遺品があるのだろうと、大体の予測は出来た。


「どうぞアミナさん。こちらが祖父の遺品で、我が家の誰もその存在を知らなかった物となります」


ライラは木箱を指し示した。

やはりあの中に呪われてるかもしれない遺品が。

だが決して呪われていると確定したわけでは無い。

この中に入っている物が普通の壊れた物ならば、それを直して帰るだけだ。


「それでは、失礼します」


アミナは木箱に手をかける。

その彼女に向かってライラは「気をつけて下さい。本体に触れる時は布越しの方が安心出来ます」と言って手袋を渡してきた。

それを受け取り、アミナは手に装着する。

そして再び木箱の蓋に手を伸ばす。


木箱は触れた瞬間、ミシッと音を立てた。

その音に一瞬躊躇するが、慎重に蓋を持ち上げる。

木屑がポロポロと落ちて小さな粉塵を作る。

相当年季の入った入れ物なのだと感じさせられた。


アミナが蓋を完全に持ち上げた時、それは現れた。


「これは、時計……?」


それは少し錆びているが比較的小綺麗な銀の懐中時計だった。

風防に大きな亀裂が一つ入っているのがが良く目立つ。

しかしそれと同時に、違和感も沢山感じられた。

まず文字盤に刻まれている、本来数字が入るべき場所には見慣れぬ文字が刻まれている。

だがこれが第三大陸からの贈り物だとしたら、知らない文字があっても無理はない。

その辺はメイさんのたまに出る意味の分からない言葉から可能性としてはあり得た。


そして次にまたしても文字盤の違和感だが、その懐中時計には時を刻むハズの長針と短針が無かった。

使用している最中に取れてしまったのだとしても、時計の中に針は見当たらない。

しかし取り出した形跡も見受けられえない。

ライラさんが壊れていると言ったのはこの事だったのだろうか。


そして最後の違和感だ。

それは錆びている物質が銀の懐中時計だという事だ。

銀は通常錆びにくい金属だ。

硫化して変色する事はあるが、今回のはどうも違うように感じられる。

しかし銀は余程の高温……少なくとも数百度で熱しなければ酸化しない。

それなのにこの銀時計はリューズからベゼルにかけて少しだけ錆びている。

何故一部分だけ錆びているのか、疑問が残る不思議な状態だ。


続いてアミナは背面を確認する。

背面は動かしていないからなのか、さらされる事が少ないのか。

とても綺麗で、小さな傷が見られる程度だった。

それを考えるに、やはりこの懐中時計は銀で作られており、疑問に確実性が帯びる。


「どうでしょう……?やはり呪いの品なのでしょうか……?」


ジグがオドオドしながら聞いてきた。

アミナの答えを、3人が待っていた。


「……多少の違和感は感じられます。しかし、やはり私では呪いに関する知識が足りません。一度私と同行してきたメイに見せようと思うのですが、よろしいですか?」


ライラ、ジグ、そしてネレ。

3人はお互いに顔を見合わせて頷き、代表してライラが「構いません」と言った。

「ありがとうございます」とお礼を一つ返して、アミナは懐中時計を木箱にそっと戻し、それを持って自身の部屋へと戻った。


アミナが部屋に戻る時、3人もついて来た。

本当に呪われているのかどうか、この人達も早くハッキリさせたいハズだ、とアミナもその行動に納得していた。

部屋の前に到着すると、アミナは片手で木箱を持ってもう片方の手で扉をノックした。


「メイさん、起きてますか?」


言葉は返ってこない。

最初にライラがノックをした時、アミナも眠っていた。

きっとこんな感じだったのだろう。

そして「入りますよ」と言ってアミナは部屋の扉を開けようとドアノブを回した。

しかし、扉は開かなかった。


「まさか、まだ寝てるのですか……」


アミナは呆れて鍵を取り出して鍵穴に差し込む。

メイは鍵を持っていない。

その為、鍵がかかっているという事はまだ彼女は部屋の中にいるという事になる。

まぁそちらの方が探す手間が省けていいですけどね、と心の中で呟いた。


そして今度こそ入る為にドアノブを捻った。

しかしその瞬間、アミナをとてつもない悪寒が襲った。

部屋の扉を開けると、そこには誰もおらず、もぬけの殻だった。


「えっ……」


アミナは固まる。

彼女の後ろに立っている3人も、アミナの肩越しに中の様子を伺い、「嘘っ……」と絶句した。


「メイさんが……消えた……」



最後までお読み頂きありがとうございます!


メイがいなくなってしまったぁぁ!!

厄介な居候め一体どこへ!!


それでは次回もお楽しみに!!

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