表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/296

第二章 23話『『元』究極メイド、収穫祭に参加する8』

よろしければブックマークや感想の方よろしくお願いします〜!

ちょっと長文久しぶりで読みづらいかもしれません!!

すみません!!



「その舐め腐った態度、二度と取れないようにしてやる」


「真厉害!!」


岩壁に蹴り込まれ、頭部から血を流しているシェンメイはその血をペロリと舐めながら呟く。

そして瓦礫をどかしながらめり込んだ岩壁から立ち上がる。

首をゴキゴキと鳴らし、ニヤリと笑う。


「くぅ、今の蹴りもハンパね――」


シェンメイが言おうとする。

しかし次の瞬間には眼前に拳が振るわれている。

すんでの所でそれを回避したシェンメイは自身も攻撃の体勢を取ろうとする。

だがそんな隙をアミナが許す訳も無く、次の攻撃がシェンメイを襲う。


上方から肩目掛けて短剣が振り下ろされるが、刃の側面を殴る事でその狙いを逸らした。

今もあの蹴り以外攻撃は当たっていないが、シェンメイは感じていた。

アミナの動きが先程の何倍も速いという事を。


面白ぇ……

面白ぇぞアミナ……!!

さっきと何も変わってねぇクセに動きがずっと速ぇ。

様々な意識が向けられている私の身体能力と同等に動けるヤツなんて今までいなかった。

こんなの……いつまでも戦りたくなっちまうな!!


気持ち悪い程に口角を上げ、シェンメイはニヤける。

そして大剣・鮫釈を握り直し、アミナの腹部を蹴る。

そのまま蹴り飛ばしてもう一度戦闘態勢を取り直す、シェンメイはそう考えていた。

だがしかし、アミナの腹部に打ち込んだ蹴りはアミナの手によって受け止められた。


なっ……


どれだけ力を入れても押し返す事は出来ず、メキメキと背中が音を立てていた。

アミナは後ろ足で踏ん張るように前に進み、シェンメイは蹴りで押し返そうと背中と尻で踏ん張る。

すると背中の岩壁が押してくるアミナの力で砕け、岩壁を破壊しながら段々押し込まれていった。


なんつー力だ……!

速さだけじゃ無くて力まで増してやがる……!

マジでなんて野郎だ。

――が。


壁の中を押し潰されながら進んでいるシェンメイは、後ろ足で踏ん張るのを止め、地面に足を、岩壁に鮫釈を突き刺した。

すると途端に押されるシェンメイは停止し、アミナは少しだけ困惑し、再び押そうとした。

しかしもう動きそうになく、ハッとして顔を上げた。


顔を上げた瞬間、シェンメイの大きな手が伸びてきた。

そしてアミナの顔を鷲掴みにすると、岩壁に叩きつけて壁を破壊した。

先程自身がやられていた事を今度はアミナにやり返すように、アミナの顔で岩壁を破壊しながら前進する。

ガラガラと音を鳴らして岩が砕け、岩の礫が細々と飛びる。


「ぶっ潰れろ……!!」


シェンメイがそう呟くと、岩壁の隙間から光が漏れ出し、それが目を刺した。

眩い光で目が眩み、アミナは一瞬目を瞑る。

岩壁を通り抜けて外に飛び出したようだ。

外に出ると鷲掴みにされた頭を投げ飛ばされ、顔面から樹木に向かって投げ飛ばされる。

しかし体を翻して足で着地し、激突を防ぐ。


「へぇ」


樹木に着地した事で足がバネのように折りたたまれ、反動を利用して蹴って戻る。

その速度ですら、岩壁を蹴った時よりも遥かに速い。

岩壁を蹴った時と同様、アミナは短剣を構えて斬撃を繰り出す。

すると今度はその速度にシェンメイが対応できず、彼女の右腕の二の腕を斬り裂き、血液が飛び散った。


「――ッ」


攻撃を喰らった事で一瞬戸惑いが漏れてしまったシェンメイは、その隙を後悔する事となる。

岩壁を破壊し、森林の中に飛び出した2人は沢山の木々に囲まれている。

シェンメイの二の腕を斬り裂いた後のアミナは反対側にある樹木に足を着き、またシェンメイ目掛けて飛び出し、斬撃を繰り出す。

その斬撃は今度はシェンメイの太ももを斬り裂く。

ダボダボのズボンから血に塗れた生足が露出する。


その後またしてもその対角線上にある樹木に着地して飛び出し、斬撃を繰り出す。

そして次は脇腹付近を斬る。

アミナはそれを何回も繰り返し、シェンメイを翻弄しながら攻撃の速度を上げていく。

木々の間を飛び回り斬撃を繰り出す彼女の様子はまるで跳弾し続ける弾丸。

方々から飛んでくる攻撃に、シェンメイは中々対応できずに、様々な箇所に斬り傷を負った。


こいつ……木一本一本を逃さず捉えてやがる。

しかも一度も同じ木に飛び移らないから、反射の軌道も読めやしねぇ……。本当になんつー適応能力してんだ。これは経験値によるものじゃねぇ、圧倒的なセンスと感覚。ここまで戦闘センスが高ぇヤツぁ、同業者にもそう多くはいねぇ。あぁ……この実力者――


シェンメイは身構えるのを止め、立ち尽くした。

そして地面に鮫釈を突き刺し、ネックレスを胸元から取り出した。


「閉じろ二門」


すると鮫釈がポンと消え去った。

次に彼女は呟く。


「開け五門」


そう呟くと、六角形のネックレスの一つが開き、何かが飛び出す。

その小さな何かをシェンメイが宙に投げると、一瞬にしてそれは巨大化し、持ち手の部分が1メートル以上ある巨大なメイスとなった。


――殺してぇ……。


巨大なメイスの柄頭を地面にドンと突き立て、その後クルクルと回して腰を低く落とす。

シェンメイはその体勢を取ると目を閉じて意識を耳に集中させた。

反射してくるアミナの軌道、樹木を蹴る音、風を切る音、それら全てを耳で判断する。

目の情報より耳から入る情報の方が速く脳へと伝わる事を、彼女は知っていた。


――――――捉えた。


樹木が軋む音を耳で捉え、シェンメイはメイスを遠心力を利用して振りかざす。

ハンマーのように扱われるそれは、シェンメイの元へと無防備にも飛んでくるアミナの腹部に直撃した。


「かはっ……!!」


アミナにメイスの先端が触れても躊躇う事無く、シェンメイは思い切り振り抜く。

殴り飛ばされたアミナは樹木を何本も薙ぎ倒しながら吹き飛ぶ。

薙ぎ倒した木の数は十数本はくだらない。

飛んでいくアミナを追うようにして木々の間をすり抜けて走ったシェンメイはアミナに追いつき、更に腹部へと一発、蹴りを入れた。

その一撃では吹き飛ばず、地面へと転がり、背中に当たった木で勢いが死ぬ。


「こいつは『帝鎚矛(ジリオンメイス)』全長2メートル50センチ。ハンマーにもなるし私の腕力さえあればメイスとしても申し分ない威力を発揮する。どうだ、可愛い威力してんだろ?」


アミナは咳を込み続けて返答出来ずにいた。

口からは潰れた内臓から出続ける血液が吐き出される。

胃の内容物と思しき物体まで飛び出すが、その瞬間を見せたのは僅かで、アミナはすぐに立ち上がって距離を取った。


その距離はおよそ8メートル、どうやってもすぐには攻撃を仕掛けられない。

ましてやここは草木の生い茂る森林、3メートル近い棍棒を持っている彼女がそれをくぐり抜けて攻撃を仕掛けるのは簡単ではないハズだ。

アミナはそう考えていた。

しかし、シェンメイはニヤリと笑う。


「距離取んのはいい考えだったが……それは相手が飛び道具を持ってねぇ時だけやった方が良いぜ」


彼女がそう呟くと、シェンメイは持っている帝鎚矛の先端をアミナの方に向けた。

その時アミナは思い出した。

彼女がリッポルとロクトを"撃ち抜いた"事を。

咄嗟に回避の姿勢を取るが、もう遅い。

シェンメイの武器の先端から、小さな魔力の塊がとてつもない速度で撃ち出される。

それはアミナの右掌を貫通し、短剣を弾き飛ばした。


「ぐぅっ――!!」


「これであの厄介な技は使えねぇな」


シェンメイは笑いながら言う。

そう、アミナのスキルである『究極創造(ウルティメイド)』は、両手で物質を触れる事で発動する。

分解だけで止める破壊創造(テラーメイド)ならば片手でも発動できるのだが、物質を作るのは両の手が必要不可欠なのだ。

シェンメイはこの短時間でアミナのスキルの発動条件を完全に見破っていたのだ。

アミナは地面に落としてしまった短剣を拾い、左手で持った。

もはや右手は使い物にならないだろう。


「さて、お次は――」


次にシェンメイは、帝鎚矛の持ち手に力を込めた。

すると、甲冑の関節部のように割れ、中には巨大な一本の鎖が入っていた。

持ち手の端を持って、先端付近をブンブンと音が鳴るまで振り回す。

そして力が十分に加わったのを確認すると、鎖で繋がれている先端付近を、アミナ目掛けて投げつけた。


遠心力とメイスの役割を果たす先端付近の合わさった威力は言わずもがな。

障害物となる木々をものともせず、8メートル離れているアミナにも軽々と攻撃が届く。

幸い、その攻撃を見切る事の出来たアミナは、上方に跳ぶ事で回避に成功した。


「フレイルか……!!」


「御名答〜」


息切れをしながら言うアミナに、余裕な表情で武器を振り回すシェンメイ。

かつてアミナがここまで劣勢になる時があっただろうか。

速度も膂力も負け、自慢のスキルも使えない。

しかし彼女に勝たなければ現実世界に帰る事は出来ない。

やらなければならないのに達成出来ないもどかしさったらない。


どうする……認めたくないけど、この人は間違いなく私より強い。

全てにおいて私の上を行く。

今までまともな戦いをしてこなかった私の弊害。

圧倒的な経験値不足。

しかも対人戦なんて、エルミナさんの時以来やった事が無い。

どうしたらこの場を切り抜けられる……


アミナは思考を巡らせる。

今この場を逃げ切る算段は、数十通りはあった。

しかしどれもどこかで彼女に仕留められる不確定で不完全な作戦だ。

確実に、そして勝つ為の逃げ口を探さなくては意味が無い。

そう、意味が―――


「閉じろ五門――開け一門」


ゆっくり思考を巡らせている時間は無かった。

アミナが考えている間にも、シェンメイは攻撃の手を緩めない。

巨大なメイスを仕舞った後、彼女は最初に使っていた両刃の剣を取り出し、アミナに斬り掛かってきた。

慣れない左手で持つ短剣でアミナは応戦するが、腹部への攻撃の反動で、力が入らず、あっさりと剣を弾かれてしまった。

こうなったら――と地面に落ちていた岩を鷲掴みにし、投げやり気味にシェンメイに殴りかかる。

その様子を見たシェンメイは笑顔から一変し、暗く曇った表情をした。


「ヤケクソかよ……残念だ」


――その瞬間、アミナの目の前には左手が浮いていた。

下方から振り上げられる両刃の剣が、自身の腕を通り過ぎているように見える。

真っ赤な液体が飛び散り、視界を塞ぐ。

アミナの左腕は、前腕部全てが切り離され、上空へと吹っ飛んでいき、落下時に広葉樹の葉を揺らした。


「―――ッ!!!」


一瞬、何が起きたのか分からなかった。

視界が揺れ、空気が張り詰める。

ただ、それまで確かにそこにあったものが、突如として失われた感覚――。


次の瞬間、激痛が襲いかかる。

それは鋭利な刃物が肉を裂いた痛みではない。

当然それもあるのだろうが、それ以上に「自分の一部がなくなった」という感覚が、理性を蝕む。


左前腕部が、まるで感覚の空白になったかのようだった。

あるはずのものがない。

腕を動かそうとしても、そこには何もない。

ただ、切り口から生々しく肉が抉れ、血が噴き出すのが見えた。

真紅の液体が飛び散り、熱を持った鉄のよな匂いが鼻腔を満たす。


遅れて、猛烈な激痛が脳を焼いた。


 「――ッ!!」


声にならない声が喉の奥で引き裂かれる。

熱した針を無数に突き立てられたような鋭い痛みと、内側から焼けるような鈍い痛みが混ざり合い、全身が悲鳴を上げた。

心臓が異常な速さで脈打ち、頭の中で鐘が鳴るような耳鳴りがする。


視界がぐらつく。

息が荒くなる。

だが、吸っても吸っても酸素が足りない。

脳が酸欠に陥っているのか、指先が痺れ、震えが止まらない。

いや――指先など、もうないのだ。


血の気が引いていく。

冷や汗が背筋を伝い、全身が震える。

傷口から溢れ続ける血が、服を、地面を真紅に染め上げていく。

熱いはずなのに、体の芯は凍りついたように冷たかった。


「興覚めだ。ヤケクソになって岩で殴ろうとするなんて。さっきの輝きが嘘みてぇだ。ホント――残念だよ」


絶望に満ちた表情、そして冷徹に任務を遂行する態度になって、シェンメイは接近してくる。

先程の楽しげな声色や顔はどこへやら、今はただ人を殺そうとするいち暗殺者と化している。

そんな彼女の表情を、アミナは片腕を穴の空いた手で抑えながら、見ている事しか出来ないのだった。



最後までお読み頂きありがとうございます!


アミナピーンチ!

どうなるのでしょう。

それは私にも分かりません。

嘘です、結構決めてあります。


それでは次回もお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ