表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/296

第二章 21話『『現』ランクS+魔物、街を奪還する5』

よろしければブックマークや感想の方よろしくお願いします〜!



最初に動いたのはガーベラだった。

彼が手を振りかざし、一瞬にしてフィーの目の前に現れた。

初めの動作から、空間を削り取って近づいたというのはすぐに分かった。

そして繰り出す拳をフィーの眼前まで持ってくる。


しかしそんな分かりきった攻撃に当たるハズも無く、姿勢を有り得んばかりに低くして拳を回避した。

自身の真上を、拳を外した勢いで飛んでくるガーベラの胴体目掛け、頭を振り上げた。

魔物と人間の骨の強度はどちらが強いかと言うと言わずもがなだ。


それに魔物特有の筋力も働き、パァンと何かが破裂するような音の後、真上にガーベラは吹き飛ばされていった。

風を切るように飛ばされ、ギルドの天井にめり込んだ。

ギルド内の高い天井から瓦礫が落ちてくる。


(これはどうにゃるか……)


フィーは真上を見据える。

今の一撃で倒せた、などと楽観的に考える脳みそを彼は持っていない。

この時重要なのは、まだ明らかになっていないであろうガーベラのスキルの性質を明らかにする事だ。


(来る)


キッと眉間に皺を寄せる。

すると次の瞬間、ガーベラがめり込んでいった天井が轟音を立てて煙を吹いた。

そして更に瓦礫を次々と下方に降らせ、屋根の素材である木片が地面に落ちる音が響く。


「喰らえクソ猫ォォ!!」


ここ数分で聞き慣れた怒号がフィーの耳に入ってくる。

フィーがガーベラの姿を捉えると、彼は天井に激突した地点からズレていた。


にゃるほど、空間の切り取り方は自由か。

さっきまでは最大15メートル四方の立方体の形状にしか切り取れないと思っていたが、そう考えると斜めに移動してんのはおかしい。

……いや何か違うにゃ。

切り取れる形は立方体状で間違いないにゃ。

だが――


「『圧害(あつがい)』!!」


落下してくるガーベラが掌をかざした。

すると突然、フィーの事をとてつもない重さが襲ってきた。

体全体を覆う、押し潰されそうな程の重さと圧力。

さながらそれは、一部分に重力を集中して浴びせられているようだ。


(……これは)


しかしそれから抜け出せないフィーでは無い。

体を瞬間的に巨大化させ、重さを体の全体では無く、一部で受け止める。

そして前に飛び、脱出をした。

その後先程までの体の大きさに戻し、ガーベラを見据える。


(やっぱりにゃ……アイツ、切り取った空間を取り出しているにゃ)


攻撃を喰らった事で完全に理解した。


(今の技、切り取った空間を俺の上に乗せたのにゃ。いきなり空間が無くなって、また現れた。そうすれば空間の行き場所が無くなり、結果的に押し込む事ににゃる。さっき斜め方向に移動していたのは空間を押していたからか。……そうするとアイツの射程は実質15メートル。……いや、連続でスキルを使用すれば実質無限にゃ。これは厄介な相手になりそうだにゃ)


そんな事を考えている間にガーベラは地面に着地した。


「今度は当ててやらぁ……!」


ガーベラがそう呟いて掌を上に向けた。

すると彼の手の上には様々な物体が浮かび上がった。

岩や樹木等の大量の物体が次々に現れた。


「ぶっ潰れろぉ!!」


叫んだ後、その取り出した無数の物質を連続して投げてきた。

いや、投げてきたと言うより、自身が切り取った空間を取り出し、それを投げた方向に設置している、と言った方が正しいかもしれない。


フィーに様々な質量の物質が飛んでくる。

しかしそれを体を小さくして合間を縫うように回避する。

物質が巨大ゆえ、その隙間も大きい。

小さくなったとは言えど、速度は変わらないフィーに圧倒的な有利があった。

岩と樹木の隙間を通り抜け、ガーベラへと接近する。

ガーベラは、足元の小さくなり過ぎたフィーに気がついていない。


その事を見透かしたフィーは一瞬にして巨大化し、強靭な爪でガーベラの胴体を服ごと引き裂いた。

ガーベラは吐血したが、次への攻撃の準備をさせない為に、フィーは更に追い打ちをかける。

もう片方の爪で交差するような傷をつけ、最後に尻尾で腕を折るようにして打ち付け、ギルドの壁に激突させた。


(さぁて、ここでまた無傷なら……)


ガーベラの激突した壁を注意深く観察する。

先程のような攻撃に当たらない事は絶対的な条件として、まだ情報が足りない。

先程壁に突撃させた時の傷が全く無いのはおかしい。

考えられる可能性として最も高いのは――


「ちくしよー!!またぶっ飛ばしやがったな!!」


瓦礫を吹き飛ばしながらガーベラがイライラした表情で現れる。

彼の体には先程刻まれたハズのフィーの爪による傷が無くなっていた。


(これも当たりにゃ。傷すら別空間に飛ばしてるにゃ。それを考えると、自分の体の部位なら一部分だけ飛ばす事も可能なのかにゃ)


しかし妙だった。

傷が無くなっているのにガーベラは息切れを起こしている。

これほどスキルを多様する人間がこんなすぐにバテるとは到底思えなかった。


(傷が無くなるなら、飛ばせなくなるまで浴びせるまでにゃ……!!)


フィーの右腕の爪にどす黒い魔力が込められる。

その強大な魔力を感じ取ったのか、ガーベラは憤りを沈め、冷静な表情に変わった。


(『魔斬爪(まぎづめ)』!!)


鋭い爪から黒い斬撃が地面を這うようにしてふるわれ、解き放たれる。

地面を抉りとり、ギルドの床をバリバリと裂きながら前進する。


「『圧害』!!」


ガーベラは空間を障壁とする事で、フィーの斬撃が自身に届くのを防いだ。

しかし、それをする彼の表情に余裕は無かった。


「チィ……!なんつー力だ……!!」


拮抗していた斬撃と空間の押し合いだったが、次第に空間が切り裂け始め、ガーベラに斬撃が直撃する。

魔力を帯びた黒い斬撃はガーベラの体を引き裂き、傷跡は粗くズタズタになっている。

大量の血液が宙を舞い、噴水の如き勢いで吹き出す。


「ガハッ!!」


口からも大量の血液を吐き出し、膝をついて倒れる。

今の一撃は流石にこたえたのか、うずくまってプルプル震えている。

当分はまともに戦えないにゃろ、と見切りをつけフィーはカイドウの所へ向かおうと背中を見せた時だった。


ガーベラは地面を這いながらもスキルを使用し、ギルドの入口まで向かっていた。


(逃げる気かにゃ。往生際の悪いヤツにゃ)


フィーはゆっくりと近づく。

その間もガーベラはスキルを発動してギルドの入口まで近づく。

その時の彼は「はぁ……はぁ……」と息切れしていたが、何故か聞こえてくる声色は嬉しそうだった。

そしてギルドの扉さえも切り取って別空間に飛ばす。

完全に外が見えた時、ガーベラは血を撒き散らしながら立ち上がり、外へと駆けていく。


(逃がさないにゃ……)


フィーがひと飛びでギルドの入口まで接近し、そこから少しだけ小さくなりギルドの外へと出た。

しかし、ガーベラの姿はどこにも無かった。

それどころか新しい血痕すら見当たらない。


「上だよクソ猫!」


フィーはその声に上を向く。

すると傷が完全に消え去り、余裕そうな表情を浮かべているガーベラがそこにはいた。

先程の死にそうな状態は完全に演技だったという事のようだ。


「俺ぁ、こんなトコで負ける訳にゃいかねぇ。だから決めた。もう……この街ごと、てめぇ等全員ぶっ潰す!!」


そう宣言し、ガーベラは両手を大きく左右に広げる。

気合を入れるように唸り声をあげると、地面が大きく揺れだした。

そして、次々と周辺の民家が消失していった。


「もう商品もどうでもい!!命あっての物種だ!全員潰して俺だけ生き残りゃ問題ねぇ!!」


周辺の民家を一通り消し去った後、ガーベラはパンと大きな音を響かせて合掌した。

すると彼の周りに先程消失させた民家が次々に現れ、他の民家とくっつき始めた。

ガンッ、メキッ、ボキッ、巨大な物質同士がぶつかり合い、そんな音がそこら中に響き渡る。

そして最終的にこの街にある3割程の民家が犠牲になり、数百個の巨大な瓦礫の塊を形成した。


それら全てを意のままに操れるガーベラは息切れを起こしながら、フィーを見下ろして叫ぶ。


「さぁ、こいつら全部阻止出来るか!?クソ猫がぁ!!」


スターターに今、巨大な瓦礫の雨が降り注ごうとしていた。



最後までお読み頂きありがとうございます!


これで多分ガーベラの能力の全容が明らかになりましたね!

次回は割とガッツリ書くと思います!

色々入れたいパートがあるので

次もフィーのパートかと思われます!


それでは次回もお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ