第二章 14話『『元』究極メイド、収穫祭に参加する5』
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今回も会話パートとなってしまっています……!!
冗長ですみません……!!
気長に読んでいただけると幸いです!!
加筆修正をしました
「はぁっ!?主催者を直接叩く!?」
ローザの驚きの声が荒野の冷たい風に乗って響き渡る。
それはアミナの憶測を聞き、その結果辿り着いた最終的な目的を聞いた事によって飛び出した驚きの声だった。
アミナの考えはこうだ。
今回の収穫祭は運営側が何かしら裏で糸を引いていて、良からぬ事が起ころうとしている。
その良からぬ事が何かは分からないが、それを成功させる為に主催者側が冒険者を方々から雇っている。
リッポルとロクトを殺害してリタイアさせたのを仮に『雇い主』とする。
主催者側、つまりガーベラと雇い主はグルであり、雇い主はガーベラの計画に加担している。
余計な一言を発そうものなら、容赦なくリタイアさせられる。
最悪な事にこれに気がついてもガーベラのスキル内にいる自身では彼に直接手を下す事も出来ない。
だからといってこの空間で自害しても、彼等の悪行が念頭にある以上、元の世界に戻れる確証も信頼も無い。
その為最優先事項は雇い主の撃破、つまり主催者側を叩くという事に繋がる。
「はい、正直このゲームもローザさんの為にクリアしなければならないと思っているのですが、私個人の勝手な心情は雇い主を捕まえないと気がすまないと言っています」
アミナは拳を胸に当て、決心したように言う。
それだけ彼女にとっては重要な出来事だったのだ。
「勝手に利用しておいて勝手に切り離す。私の嫌いな人にそっくりなんです」
アミナはサルバンの事を思い出していた。
今まで散々メイドとして利用しておいて、ぽっと出のお気に入りを守る為にあっさりと捨てる。
リッポルとロクトも同じような扱いを受けたのだ。
そんな人間を、アミナは許せない。
「ま、まぁアミナちゃんの主張は分かったぜ。……俺ぁてっきり、アミナちゃんが怒りすぎて我を失っちまったのかと……。よかった、怒りに飲まれちゃいねぇんだな」
ローザがアミナが正常な事に心底安心したような様子を見せた。
しかし、アミナの心境は違っていた。
「結構ギリギリですけどね……」
何かミリミリ音がすると思いアミナの手を見ると、先ほど技を放った時に余った石片を握りつぶしていた。
今のアミナの言葉に嘘偽りが無いのを、ローザは嫌と言うほど理解させられた。
「おっし、目的は分かった。んじゃ具体的には何すんだ?手伝うぜ。」
「いえ、ローザさんを私の個人的な思いに巻き込む訳にはいきません。これからは別行動です。ローザさんはなるべく冒険者以外の方、冒険者の方でも見た事のある方と行動して下さい。この街の住人ならまだ信用できます」
アミナは合理的だと思う意見を述べた。
それが最善で、他者を巻き込まなくて済む方法だと思ったからだ。
だがその言葉を聞いたローザは「はぁ……」とため息を付いて腰に手を当てた。
「あのよぉ、アミナちゃん。助けてもらってる立場で悪いんだが、アミナちゃんってあれだな。凄くアホだな」
「……私結構真面目な話してるんですけど」
「真面目かどうかの話じゃねぇ、アホかアホじゃないかって話だ。アミナちゃんは真面目だがアホ過ぎる。ドがつく程のアホだ。アホの俺が言うんだから間違いねぇ」
彼は今の一瞬で何回アホと言ったのだろう。
アミナを貶すのと同時に自身も卑下する。
「どうして俺には頼らせてくれんのに、アミナちゃんは俺に頼っちゃくれねぇんだよ」
ローザは何の気無しに言った。
しかしアミナはその言葉に戸惑う。
どうして頼ってくれない。
そう言われも答えは中々出てこない。
それを考えようとすると頭の中に霧がかかる。
答えの無い道を歩かされているような感覚になる。
「ど、どうしてと言われましても……これは私情ですし、ローザさんを巻き込めません……」
「でも変な話じゃねぇか?アミナちゃんは俺の目的の為に動いてくれてる。それって私情にアミナちゃんを巻き込んでる事になるだろ?それなのになんでアミナちゃんは俺を私情に巻き込んでくれねぇんだよ」
またしても「なんで?どうして?」だ。
そう聞かれても困る。
今言ったばかりじゃないか。
誰かを自分の勝手に巻き込みたくない、ただそれだけだ。
「わっ、私は良いんです!私が誰かを手伝えばその人が幸せになる。私も誰かが幸せになっているのが見るのが好きです。それで、それで良いんです。お互いに、良い事しかないじゃないですか……」
言葉を紡ぐ度にアミナの顔は俯いていく。
今まで自信満々に言えていた自身の指針が、正面から問いただされると何が正解なのか分からなくなってくる。
するとローザは一通り離しを終えた雰囲気を感じると「でもよ」と続けた。
「それって寂しくねぇか?」
真顔だが、ローザは真剣そのものな眼差しをアミナに向ける。
彼女にとってその視線はナイフで刺されるよりも痛く感じられる。
「べ、別に……今までもそうでしたし……これからだって……」
アミナは言葉を濁す。
ハッキリと言葉が出てこない。
「親父さんが影響してんのか?」
その言葉にアミナは目を見開いてローザの顔を見る。
しかしすぐに察した。
カマをかけられたのだと。
「洞穴で休んだ時あったろ。そん時、明らかにアミナちゃんのテンションが下がってた。なんかあったんだろ?」
アミナはしばらく黙った。
誰にも言った事の無いその事実を告白する勇気をアミナは持っていなかった。
今まで胸の中に秘めていた言葉達がざわめき始めている。
「あ、あの……」
アミナは無理矢理言葉を振り絞ろうとする。
しかし、それを遮るようにローザは「別に」と言った。
「今言う必要はねぇよ。アミナちゃんの家の事情に俺がどうこう言う資格なんてねぇし。……けどよ、頼られてばっかで誰にも頼らないってのは人生損するだけだぜ。メイド服着てるくらいだし、元々メイドだったんだろうから誰かに頼られるってのはお手の物かもしれねぇ。でも、たまには誰かを頼るってのも悪い話じゃねぇぞ」
その言葉を聞いて、アミナはエルミナ達と過ごした短い間の事を思い出した。
彼女等には何故か頼ってしまっていた。
なんなら日常的にフィーを頼っている。
それなのにエリックの時や今は彼等を優先している。
この差は一体何なのだろうか。
その疑問に対する答えは、アミナの中では既に出ていた。
ただ、その事実に目を背けていただけだった。
「……父は、私が産まれる前からもうどこかに行ってしまっていたらしいです」
アミナは小さく言葉を紡ぎ始めた。
その言葉を聞いたローザは黙っている。
「父だけではありません。祖父も、兄も、皆。私を置いてどこかへ行ってしまう。祖父と父に関して言えば祖母と母も捨てました。近くにいてくれた祖母も母も、つい最近亡くなりました。……多分私は、私と年齢が離れすぎている人に無意識のうちに距離を取ってしまっているんだと思います。その中でも、特に男性は苦手なのだと思います」
彼女の頭の中にギーラの姿とエリックの姿が思い浮かぶ。
ギーラは20代前半で、エリックは30代半ば。
恐らく年齢、または見た目のせいで、頼る、頼られるの優先順位を考えていたのだ。
「確かに俺ぁ30近いしなぁ。アミナちゃんから見れば10個も上だし、トラウマからそうなっちまうのは仕方がねぇな」
ローザは腕を組んで真剣に考えているような仕草をした。
そして悩んだ末に「じゃあよ」とローザは言った。
「俺の目的はクリアする事からアミナちゃんの手助けをする事に変更する。俺はその目的を達成する為にアミナちゃんを頼る。だから、アミナちゃんはその俺を手伝ってくれ」
トンチの効いたような、屁理屈なような事をローザは言った。
その言葉にアミナはポカンとしていた。
「だってそうだろ?俺がやりたい事は手伝ってくれんなら、これも俺のやりてぇ事だ。だから手伝ってくれ」
アミナはまたしても、真剣な話をしている、と言おうとしたが、ローザの目を見たらそんな気も失せ、笑いが込み上げてきた。
「プッ……!!」
「あ?何か変な事言ったか?俺」
何故アミナが笑ったのか、ローザには理解できなかった。
しかし、目の前の少女が笑ってくれたならそれでいい、とローザは考えていた。
「いえ……すみません」
「そこは、ありがとう、なんだろ?」
ローザは片目を閉じてウィンクした。
アミナは顔を上げ、笑顔で言った。
「ローザさん、ありがとうございます」
「へへ、良いって事よ」
少女に向けられた笑顔が少し恥ずかしかったのか、鼻の下を指で擦って返した。
2人がそんな雰囲気になっていると、どこからか声が聞こえてきた。
『――ゃ』
声は掠れてよく聞こえない。
2人は周囲を見回した。
しかし何も無い。
『――ナち――ゃ――!――ミナちゃん!!アミナちゃん!!』
掠れていた声がはっきりと聞こえ始める。
アミナは自身のベルトの中をまさぐった。
すると、魔水晶の一種である通話水晶が淡く光っていた。
「その声はカイドウさん!?」
『あぁ良かった!!実は、街に来てみたら住人の人達が眠らされていたんだ!!』
その言葉にアミナとローザは目を見開く。
「まさか……」
アミナは初めてこの街に来た時の事を思い出す。
街の住人の他愛もない立ち話。
当時はそう思っていた会話が呼び起こされる。
『ねぇ聞いた?最近街から人が忽然と消えるんですって』
『やだぁおっかなーい』
彼等の目的はもしかして……”空間内に実力者を閉じ込めている間に街の住人を誘拐する事”……!!
冒険者のような実力者が参加するような催しを長年に渡って計画し、信頼を得てから、空間に閉じ込める。
その隙に街から人を攫って、人が街から消える。
雇った冒険者は監視役……もしくは厄介だと警戒されていた人達の可能性がある。
あの立ち話の事を考えると、最近になって計画が動き始めた事になる……!!
「くそっ、何でそんな事を……!!」
アミナはそう嘆くが、大体の見当はつく。
それは、他国に奴隷として売り払うのだ。
各国から冒険者や商人を招集できる程の商業ギルドだ。
裏のルートでも根強く繋がっているハズだ。
「今、カイドウさんはどうしていますか!?何故街に!?」
アミナがそう訊くと、カイドウは心做しか口角を上げたような声に聞こえた。
『実は、とある子に連れてこられちゃったんだ……!!』
そういえば確かに今、カイドウの周辺では風が流れているようなゴウゴウとした音が聞こえる。
これは走っていなければ出る事の無い音だ。
「ある子って……?」
とある期待を込めながら、アミナは言った。
するとカイドウは『ニシッ』と笑った。
『君の頼りになる……”相棒”さ!!』
それはアミナの唯一無二の親友であり頼れる相棒。
毛並みの美しい四本脚の獣。
力強い腕から放たれる斬撃には如何なるものも立つ事は出来ない。
その絶対的咆哮は何人も恐れずにはいられない。
異名を『恐怖しない者』。
本名をフィアレーヌ・ラピセリア・グランシエル・ノヴァリス・エテルナ。
アミナにとっての――勇敢な騎士だ。
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次回!フィー視点です!!多分!!
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