第二章 11話『『元』究極メイド、収穫祭に参加する2』
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今回ちょっと下らない下ネタがあります
不愉快に感じさせてしまうかもしれませんので、その時はローザを怒って下さい
「おっ、これは『コング草』です。食べると力が湧いてくる食用の草です。よく力を増強させる薬にも使われますよ」
アミナがコング草を摘みながら言う。
その説明にローザが「ほへぇ」と感心する。
しかしその説明は多分頭に入っていない。
「それにこちらは『エイトマッシュ』です。大きさの割にお腹に溜まる美味しいキノコです」
すると今度は「おっ、これは見たことあるぜ。これ食ってから夜ヤると結構長持ちすんだぜ」と言う。
その言葉にアミナはジトッとした目でローザを見つめる。
それは軽蔑と苛立ちと嫌悪の瞳だった。
しかし、ローザがハッとしてその目に気がついた頃には時既に遅かった。
アミナは顔を反らしてそのまま立ち上がり、スタスタと歩き始めた。
「わ、悪かったって!!俺が悪かったから口利いてくれよ!!」
アミナは口を利かずに歩く。
一般人のローザでは追いつけない速度でただスタスタと歩く。
そしてたった一瞬でローザの視界から消え去り、ローザは「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」と掠れた叫び声を上げた。
「あぁ……どうして俺はいっつもこうなんだ……折角アミナちゃんが協力してくれるってのに変な事ばっか言っちまって……」
ローザは俯いて項垂れた。
自身の今までの行動すべてを思い返しながら後悔した。
思えば、自身の伴侶ともこんな感じの対応をしてしまっている時があったのではないか、もっと言ってあげるべき言葉があったのではないか。
……いつか、こんな感じで妻と子供が出ていってしまうのではないのか。
そんな自責の念と最悪の想像が今押し寄せる。
絶え間なく溢れてくる言葉に飲まれそうになり「はぁ」と一つため息を付く。
すると――
「あぁいうのは、その……娘さんが産まれた時に嫌がられますから、止めておいたほうが良いですよ」
耳元でそう囁かれた。
驚きのあまり、思わず「ひやぁぁぁ!!!」と今度は情けない叫び声を上げた。
「ア、アミナちゃん!!俺に呆れてどっか行っちまったんじゃねぇのか!?」
「こんな所に置いて行く訳無いじゃないですか。……さっきの言葉で嫌な気持ちになったのは本当ですけど……」
アミナが少しだけ頬を赤らめて言うと、ローザは再び頭を下げた。
「あれはホントにすまねぇ!!もうあんな事言いやしねぇから!!」
「もう、いいですってば。私の父もそんな人でしたので」
アミナは少しだけ表情を曇らせた。
しかしローザがそれに気が付く事は無い。
「そ、そうだったのか……。アミナちゃんの親父さんが俺みたいな人で助かったぜ……って、俺よりは甲斐性ありそうだな。なんせアミナちゃんの親父さんだしよ」
その言葉にアミナは「そんな事無いですよ」とだけ言って前を向いた。
少しだけ不審に思ったローザは「アミナちゃん……」と呟いた。
「さぁ進みましょう。食用の植物があるという事は、これは長期戦を想定したものになっていると思います。明るい内に拠点となる場所を決めておきましょう」
ローザにそう言い、アミナは先導して歩いた。
「お、おう」と返事をしてローザはその後ろをついて歩く。
アミナの足取りは、心做しかなんだか速くなっているように感じられた。
―――
「キシャー!!」
「――!!」
飛びかかってくる魔物をアミナは短剣で斬り裂く。
血潮が飛び散り、短剣に付着した血液を振り払って鞘の中に仕舞う。
「ローザさんは……」
アミナが戦闘を終え、ローザの姿を探した。
すると彼は魔物とまだ追いかけっこをしていた。
「ぬぉぉぉ!!!」
最初は追いかけていたハズなのに、今や追いかけられている。
そして少しずつ距離を詰められている。
どうやらローザは投げキャラのようだ。
「今お助けします!!」
アミナは瞬時に魔物に走って近づき、鞘から短剣を引き抜いて首を斬り取った。
飛び散る血液に触れないようにローザを抱きかかえ、すぐさま飛び退く。
「大丈夫ですか?」
「す、すまねぇ……あれくらいなら俺でもいけるかと思ってよ……」
アミナとローザが相手していたのは危険度ランクDの『ラットハウンド』。
特筆した攻撃性能は無く、ただ足が速いというだけの小型魔物。
しかも足が速いと言っても人で追いつけない速度ではない。
その為初心者の冒険者でも狩りやすく、初心者の始めての討伐に選ばれやすい。
「とりあえずあれを食料として確保しておきましょうか。日も暮れてしまいましたし、先程見つけた洞穴に戻りましょう」
「お、おう!わかったぜ。あれを持つんだな!力仕事なら任せとけ!」
ローザがそう言って魔物を持とうとするが、それよりも前にアミナが魔物2匹を担いで先頭を歩いていた。
「あっ」と悲しそうな声を上げた後、アミナに「どうされましたか?」と聞かれ「いや、別に……」と言って、アミナの後ろを歩いた。
2人は先程見つけておいた拠点となる洞穴へと辿り着き、魔物の下処理と、採取した植物を鞄から出し始めた。
「こちらのラットハウンドは少し硬いお肉ですのでお鍋で煮込もうと思います……と言いたい所なのですが、如何せん鉄が無いのでお鍋が作れません。という事で私のスキルを使ってコラーゲンを切ってゼラチン質にしてその手間を省こうと思います。魔物の血から塩も作ったので、その後はシンプルに焼いて食べましょう」
アミナはそう言って魔物の処理を即席のまな板の上で始めた。
ローザは手持ち無沙汰な様子でソワソワしている。
黙々と魔物の肉の処理をしているアミナに向かって、ローザが言った。
「あのーアミナちゃん。俺に何かやれる事ってねぇか?」
肉の処理を完全に終えたアミナはスキルを使用しながら答えた。
「それでは焚き火に薪を焚べておいて下さい」
この後肉を焼くのに使うのに加え、長い夜を過ごすのにも欠かせない火の世話をアミナは頼んだ。
その指示に「がってん!」と自信満々に言ってローザは次々と薪を焚べていった。
それはもう火が消えるほどに次々と。
火が消えてしまった事でローザは「あっ」と声を漏らした。
明かりが消えた事でその事実に気がついたアミナはローザの方を向いた。
「ローザさん、火が……」
「す、すまねぇ……一気に薪入れ過ぎちまった……」
そう言われたアミナは、多過ぎる木を退け、最初に火を着けた時と同様、弓切り式の火起こし棒を使って再び火を起こした。
凄まじい速度で動かされる腕をローザは見ているしか出来なかった。
「一度に多く木を入れてしまうと、火が消えてしまいますので気をつけてくださいね」
優しくアミナに言われ、ローザは「おう……すまねぇ……」と落ち込みながら言った。
アミナのスキルもあり、肉は柔らかくなり、シンプルに塩を振って焼いただけでも、それなりのご馳走となった。
「それでは食べましょう。いただきます」
「……いただきます」
2人は合掌してから肉を口へと運んだ。
魔物の肉は想像を遥かに上回る程に柔らかく味わい深かった。
「――ん!!うめぇ!!これ本当に危険度ランクDの魔物かよ。柔けぇのに脂がしつこい訳でも無ぇ……!!」
「それはスキルでコラーゲンを切ってゼラチン質に変えたからですね。お塩でも全然食べれて美味しいですね」
アミナは笑顔でローザに語りかける。
するとその笑顔を見たローザは口の近くに持ってきていた肉の刺さった串を口から離し、「はぁ」とため息を付いた。
そして「すまねぇ……」と呟いた。
「なんかずっとやる気が空回りしてばっかでよ。折角アミナちゃんが協力してくれるから気合い入れてみたんだが……全部失敗しちまってる。アミナちゃんがあまりにも簡単そうにやるから俺にも出来るんじゃねぇかなって……勘違いしてた。アミナちゃんがそんなに上手く出来るのは全部今までの経験があってこそだもんな。そんな努力家のアミナちゃんがやっている事を、俺が簡単にできる訳ねぇよな……。本当……役立たずでごめんな」
言いたい事は言い切った。
そんな雰囲気をローザは醸し出していた。
自身が家でもどこでも足手まといになってしまっている、そんな事は理解していた。
理解していたのに、目を背けていた、幻想を見ていた。
その結果が今、アミナに迷惑をかけてしまっている。
アミナちゃんが寝たらその隙に何処かへ行こう、そうローザは考えていた。
――しかし、アミナの口からは想像打にしない言葉が出てきた。
「何でですか?」
「……え?」
「何で私が迷惑に思っていると思っているんですか?」
意味がわからない。
あれだけ醜態を晒しておいて、この目の前の少女は「何故」と聞く。
「やってくれようとしているのに、その結果の失敗を咎める理由なんて無いじゃないですか。それに、私は失敗した事も、代わりに私がやった事も、謝ってほしくてやっている訳じゃ無いですよ?」
「で、でも……あれだけ迷惑かけて……」
「だから、それが間違っています。私は迷惑には思ってません。……確かに、ちょっとエッチなお話は困りますけど……。私は貴方にやってあげたくて、何かをしてあげたくてローザさんに代わってやっているんです。その思いはローザさんも一緒でしょう?でなければ、失敗したら私に申し訳無く思うハズがありませんから」
アミナは笑顔で言う。
その少女の笑顔に、ローザは自然に涙が溢れてきた。
それに気がついた瞬間、顔をアミナから背けて涙を隠した。
こんな思いは初めてだった。
家では妻の尻に敷かれ、息子の自慢にすらなれない。
そんな自分が嫌だった。
だけれど、この少女は違う。
いくら失敗しても、誰かを思う気持ちがあればそれを迷惑には思わない、と言う。
「でも、わざと失敗はしないで下さいね?流石の私も怒りますよ」
ローザは涙を振り払ってアミナの方を向いた。
そして「あぁ……すまねぇ」と思わず言ってしまい「あっ」と声を漏らした。
それにアミナはプッ、と吹き出し、「こういう時はありがとう、ですよ」と冗談交じりで言った。
また何かが込み上げてくるのを堪え、ローザは言う。
「アミナちゃん――ありがとうよ」
「はい、どういたしまして、です」
アミナは再び、笑顔で返したのだった。
それを見るローザの面構えも、心做しか立派になっているように見えた。
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