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第二章 74話『『現』ランクS+魔物、思考を巡らす』

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 暗く、そして破壊された街の中を颯爽と駆け抜けているフワフワの毛玉がいる。

 その毛並みはサラサラすべすべで、一度体験すればそこから抜け出すのは間違いなく困難を極める……なんて、冗談染みた事を今は言っている場合では無かった。


(本当にメイは人使いが荒いにゃ……あ、人じゃにゃくて魔物使いにゃか)


 そんな事を呟きながら、フィーは瓦礫を避けて魔人会がいるであろう方向へと足を進める。


(大分近づいてきたにゃ。この距離なら聞こえる音で大体の位置が分かるにゃ)


 フィーは周囲の音を聞こうと耳を立てて音を集める。走っている最中というのもあって風の音がうるさいが、それと人が発する音を聞き間違うほど、衰えてはいない。

 聴覚に意識を集中する彼の耳に、様々な音が入り込んで雑音と化す。しかし自らが欲しい音をしっかりと捉え、フィーは確信して顔を上げる。


(……やっぱり城壁の中。きっとイーリル達もそうやって探し当てるだろうにゃ。ベルリオが獣人だからきっとオレと同じ事も出来るハズにゃ)


 2人の英雄への信頼と期待を呟いて、フィーは足を早める。もう西部の城壁は目に目に映っており、すぐそこだった。


(魔人会……一体何を企んでるのにゃ……)


 走っている最中、フィーはなんとなく考えた。よくよく考えればこの街の壊滅が目的ならさっさとやればいいのに、地下の隠し部屋の状態を見るに、少なくとも一週間程度はそのチャンスがあった。

 にも関わらず、魔人会は何故か作戦を実行しなかった。そして実行した今も住人を追い回すだけというのも変だ。壊滅させたいのならさっさと殺してしまえばいいものを謎に生かしている。追い回しているのは自分達だ、と優越感に浸っているのかもしれない。


 それに帝都での騒ぎもおかしな話だ。これから大きな犯罪行為をしようって時に、わざわざ帝都で何か事件を起こす必要性は皆無。

 いつぞやの、魔人会のやっている事に意味なんて無い、という言葉を鵜呑みにするか、何か意味や理由を無理やりにでも考えて紐づけるか。そこが魔人会の厄介な所だ。


 考えなければならないのに、こちらは解釈を深めようとすればする程沼にハマっていく感覚に陥る。

 何がしたくて何をさせたいのか。結局最初も最後もこの疑問しか出てこない。本当に憎たらしい程面倒臭い連中だ。


(それにしても……アミナから"ゴブウン"っていうのをメイが断ったせいで貰えなかったにゃ。後でそれがなんだったのか訊きたいにゃが……言葉が通じにゃいのが一番面倒だにゃぁ。……まぁ、その時はベルリオに翻訳してもらうとするにゃ)


 フィーはそんな事を考えつつ、帰ったらアミナに褒めてもらうにゃ、とこの戦いが終わった後の楽しみを心の中で立てながら西の城壁まで走る。


 本庁舎から走って数分。近いからと余裕を持って走っていたら、そこそこ時間がかかってしまった。

 アミナの店にいる時の経験からして、この事がメイにバレたらイジられるのは確定する。そう思ったフィーは、誰に何を聞かれても、数十秒で到着した、と答える事にしよう。そう心の中で誓った。


(はてさて……魔人会の連中はたまにオレの住んでた森にも出没してたにゃが、何もしてこないから放っておいてたにゃ。そしたらアミナの手を煩わせるクソ肉になりやがったにゃ。それはとりあえず許さにゃいとして――)


 フィーは大きな街の城壁を見上げて考える。どうやっておびき出してやろうか、と。

 別に何も考えずに特攻したって構わなかった。実力から言って負ける気もしないし、フィーを相手にして魔人会が勝てるビジョンが見えない。

 だが、城壁内部で戦うのは少々狭すぎる。フィーの基本的な戦闘スタイルは巨大化からの肉弾戦だ。別段小さいままでも戦えない訳では無いが、体が大きいほうが戦いやすいのは明々白々だった。

 しかし、狭い城壁内で体を大きくすればフィーの体に押し負けて城壁は破壊されてしまうだろう。

 そして街を壊そうものならアミナにきっと叱られる。褒められたい身としてはそれは避けたい所だ。かと言ってスキルで威圧したら逆に出てこなくなりそうだ。


(むむむ……難しいにゃあ……)


 実際には組めないが、前足を組むようなイメージをしながら頭の中で色々思考する。

 少しづつ可能性の有りそうなものを探って脳内で検証する。

 どれも建物を壊したり街の物に被害が出る作戦ばかりだった。


 そんな中1つ。とりあえずの案が思い浮かぶ。

 それは特に危険なものでは無かったが、あまり気乗りしない。そんなタイプの作戦だった。


(あー……まぁでもこれしかにゃい感じかにゃあ)


 フィーは一度頭をフルフルと振って切り替える。


(仕方にゃいにゃ)


 そう呟いて体を子猫程のサイズに小さくしたフィーは、その可愛らしく短い足で西部の城壁内部へと侵入していった。


 恐らく、これからザストルク内で始まる3つの戦闘の中で、最も締まらない始まり方をしたであろう西部城壁攻略戦。

 トテトテと短い足で歩く小動物の足音と小さな背中が、この戦いの開戦の合図となるのだった。



 

最後までお読み頂きありがとうございます!


はい、という訳で今回少し短めでした!

次回はフィー以外の視点で始まりますので、よろしくお願いします!


それでは次回もお楽しみに!!

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