第4話 バイト先で芽生える恋心
初めてのバイトに挑戦する、元ノラ猫x高校生哲也。緊張しながらも、温かい店長や仲間たちの支えで成長していく彼の日々。そして、女子高生・唯との関係が、少しずつ変わっていく――そんな物語です。どうぞお楽しみください。
翌日、補習を終えた俺は、早速喫茶店に向かった。着いた先は、レンガ造りの趣のある建物で、入口の上には古いデザインの看板がかかっている。どうやら静かな雰囲気の店らしい。俺は深呼吸をしてから、店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ!」
中に入ると、店の奥から店長らしき男性が出迎えてくれた。優しそうな笑顔の中年の男性で、雰囲気からして、どうやら気さくな人のようだ。
「君が今日から働く子か。紹介してもらってるよ、よろしくな」
「はい、よろしくお願いします!」
「まずは店のルールや簡単な接客の流れを教えるから、肩の力を抜いてやってみよう」
初バイトで緊張していたけれど、店長の気さくな態度のおかげで、少しだけ気が楽になった。接客の基本的なマナーやレジの使い方を一通り教えてもらい、試しに簡単な注文を取ってみることになった。
数時間後、仕事がひと段落ついた頃、店長が俺に声をかけてきた。
「よくやってくれて助かるよ。初めてにしては堂々としてるな」
「い、いえ、緊張して手汗がすごいことになってます……」
「ははっ、まあ最初はそんなもんだ。次第に慣れるから、安心して続けてくれよ」
そう言われて少し自信がついた。これならなんとかやっていけそうだ。店を後にしてアパートに戻ると、疲れはあったけど妙に清々しい気分だった。補習もあって忙しい毎日になるけど、この生活も悪くないかもしれない。
翌朝、学校ではさっそく唯が近づいてきた。
「哲也くん、昨日バイトだったの?」
「(うおっ!?唯ちゃんから話し掛けてくれるの嬉しい!)うん、接客初めてで緊張したけど、なんとかやりきったよ」
「すごいじゃない! じゃあ今度その喫茶店に行ってみようかな?」
「えっ!? そ、それは……(マジか!すっげぇ緊張する!)」
唯が店に来るなんて想像していなかった俺は、顔が赤くなってしまった。
「ふふっ、冗談だよ。でも頑張ってるの、応援してるからね」
唯の優しい笑顔に、俺は心の中で小さく拳を握りしめた。
「ありがとう。頑張るよ、いろいろと……!」
バイトも学校も、そして唯との関係も少しずつ前に進んでいる気がした。
その日の放課後も、補習を終えた後、俺は喫茶店へと向かった。昨日は初日ということで張りつめていたけど、今日は少し落ち着いて仕事ができそうだ。
店に着くと、すでに店長が待っていて、「いらっしゃい!」と気さくに迎えてくれた。
「おっ、来たな。昨日の初日で帰った後、具合でも悪くならなかったか?」
「大丈夫です! 緊張しましたけど、なんとかやり切れました」
「よし、じゃあ今日は少し仕事を広げるぞ。奥の厨房の手伝いもやってもらうけど大丈夫か?」
「はい、お願いします!」
厨房に入り、軽い調理補助や食器の洗い方なども教わりながら、忙しい夕方の時間帯を過ごしていく。来客が増えて注文が増えると、初めは戸惑ったが、次第に作業に慣れてきた。なんとか店長の指示に従って、スムーズにこなせるようになってきた頃、ふいにドアのベルが鳴った。
「いらっしゃいませ!」
顔を上げると、そこに立っていたのは――唯だった。
「唯ちゃん!?」
「やっぱりここで働いてたんだ。昨日言ってた通り、来ちゃった」
唯はニコニコしながら、ふわりと店内に入り、席についてメニューを広げている。ドキドキしながらも、俺は彼女のテーブルに向かって接客を始めた。
「唯ちゃん、何にする?」
「おすすめは何かな? 哲也くんが作ってくれるものなら、何でも嬉しいけど」
心臓が爆発しそうになるのをこらえながら、俺は厨房でおすすめのホットコーヒーと、軽食のクロックムッシュを準備した。料理をお盆にのせ、唯のテーブルへと運ぶと、彼女は嬉しそうに「ありがとう」と微笑んでくれた。
「すごく美味しそう! やっぱり来てよかった」
「そ、そうか。よかった、気に入ってもらえて」
唯がコーヒーを一口飲み、「おいしい!」と感想を口にしてくれる。その嬉しそうな表情を見て、俺も心の底から安心した。
「(良かった……嬉しそうな唯ちゃんも可愛いなぁ)」
「哲也くん、忙しいと思うけど、こうして一緒にいるのも楽しいね」
唯の言葉にドキッとしながら、俺も思わず笑顔がこぼれてしまう。仕事で疲れていたはずなのに、不思議と唯と話しているだけで疲れが吹き飛んでいく気がした。
その夜、仕事を終えてアパートに帰った俺は、唯と過ごした時間のことを思い返し、嬉しい気持ちに包まれていた。
「唯ちゃんが応援してくれるなら、バイトも補習も頑張れるかもな」
自分でも驚くくらいの前向きな気持ちが湧き上がってくる。少しずつだけど、今の生活を精一杯楽しみながら進んでいこうと決めた。
この物語を読んでいただき、ありがとうございました。哲也のバイトや補習、そして唯との関係の進展を通じて、彼の成長と日常の楽しさを感じていただけたでしょうか?
次回作では、さらに多くの冒険と感動が待っていますので、どうぞお楽しみに。応援よろしくお願いいたします。