表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノラ猫と女子高生の恋  作者: 藍瀬 七
第1章 猫と少女の奇妙な日常
4/29

第4話 バイト先で芽生える恋心

初めてのバイトに挑戦する、元ノラ猫x高校生哲也。緊張しながらも、温かい店長や仲間たちの支えで成長していく彼の日々。そして、女子高生・唯との関係が、少しずつ変わっていく――そんな物語です。どうぞお楽しみください。

 翌日、補習を終えた俺は、早速喫茶店に向かった。着いた先は、レンガ造りの趣のある建物で、入口の上には古いデザインの看板がかかっている。どうやら静かな雰囲気の店らしい。俺は深呼吸をしてから、店のドアを開けた。


「いらっしゃいませ!」


 中に入ると、店の奥から店長らしき男性が出迎えてくれた。優しそうな笑顔の中年の男性で、雰囲気からして、どうやら気さくな人のようだ。


「君が今日から働く子か。紹介してもらってるよ、よろしくな」


「はい、よろしくお願いします!」


「まずは店のルールや簡単な接客の流れを教えるから、肩の力を抜いてやってみよう」


 初バイトで緊張していたけれど、店長の気さくな態度のおかげで、少しだけ気が楽になった。接客の基本的なマナーやレジの使い方を一通り教えてもらい、試しに簡単な注文を取ってみることになった。


 数時間後、仕事がひと段落ついた頃、店長が俺に声をかけてきた。


「よくやってくれて助かるよ。初めてにしては堂々としてるな」


「い、いえ、緊張して手汗がすごいことになってます……」


「ははっ、まあ最初はそんなもんだ。次第に慣れるから、安心して続けてくれよ」


 そう言われて少し自信がついた。これならなんとかやっていけそうだ。店を後にしてアパートに戻ると、疲れはあったけど妙に清々しい気分だった。補習もあって忙しい毎日になるけど、この生活も悪くないかもしれない。


 翌朝、学校ではさっそく唯が近づいてきた。


「哲也くん、昨日バイトだったの?」


「(うおっ!?唯ちゃんから話し掛けてくれるの嬉しい!)うん、接客初めてで緊張したけど、なんとかやりきったよ」


「すごいじゃない! じゃあ今度その喫茶店に行ってみようかな?」


「えっ!? そ、それは……(マジか!すっげぇ緊張する!)」


 唯が店に来るなんて想像していなかった俺は、顔が赤くなってしまった。


「ふふっ、冗談だよ。でも頑張ってるの、応援してるからね」


 唯の優しい笑顔に、俺は心の中で小さく拳を握りしめた。


「ありがとう。頑張るよ、いろいろと……!」


 バイトも学校も、そして唯との関係も少しずつ前に進んでいる気がした。


 

 その日の放課後も、補習を終えた後、俺は喫茶店へと向かった。昨日は初日ということで張りつめていたけど、今日は少し落ち着いて仕事ができそうだ。


 店に着くと、すでに店長が待っていて、「いらっしゃい!」と気さくに迎えてくれた。


「おっ、来たな。昨日の初日で帰った後、具合でも悪くならなかったか?」


「大丈夫です! 緊張しましたけど、なんとかやり切れました」


「よし、じゃあ今日は少し仕事を広げるぞ。奥の厨房の手伝いもやってもらうけど大丈夫か?」


「はい、お願いします!」


 厨房に入り、軽い調理補助や食器の洗い方なども教わりながら、忙しい夕方の時間帯を過ごしていく。来客が増えて注文が増えると、初めは戸惑ったが、次第に作業に慣れてきた。なんとか店長の指示に従って、スムーズにこなせるようになってきた頃、ふいにドアのベルが鳴った。


「いらっしゃいませ!」


 顔を上げると、そこに立っていたのは――唯だった。


「唯ちゃん!?」


「やっぱりここで働いてたんだ。昨日言ってた通り、来ちゃった」


 唯はニコニコしながら、ふわりと店内に入り、席についてメニューを広げている。ドキドキしながらも、俺は彼女のテーブルに向かって接客を始めた。


「唯ちゃん、何にする?」


「おすすめは何かな? 哲也くんが作ってくれるものなら、何でも嬉しいけど」


 心臓が爆発しそうになるのをこらえながら、俺は厨房でおすすめのホットコーヒーと、軽食のクロックムッシュを準備した。料理をお盆にのせ、唯のテーブルへと運ぶと、彼女は嬉しそうに「ありがとう」と微笑んでくれた。


「すごく美味しそう! やっぱり来てよかった」


「そ、そうか。よかった、気に入ってもらえて」


 唯がコーヒーを一口飲み、「おいしい!」と感想を口にしてくれる。その嬉しそうな表情を見て、俺も心の底から安心した。


「(良かった……嬉しそうな唯ちゃんも可愛いなぁ)」


「哲也くん、忙しいと思うけど、こうして一緒にいるのも楽しいね」


 唯の言葉にドキッとしながら、俺も思わず笑顔がこぼれてしまう。仕事で疲れていたはずなのに、不思議と唯と話しているだけで疲れが吹き飛んでいく気がした。


 その夜、仕事を終えてアパートに帰った俺は、唯と過ごした時間のことを思い返し、嬉しい気持ちに包まれていた。


「唯ちゃんが応援してくれるなら、バイトも補習も頑張れるかもな」


 自分でも驚くくらいの前向きな気持ちが湧き上がってくる。少しずつだけど、今の生活を精一杯楽しみながら進んでいこうと決めた。

この物語を読んでいただき、ありがとうございました。哲也のバイトや補習、そして唯との関係の進展を通じて、彼の成長と日常の楽しさを感じていただけたでしょうか?


次回作では、さらに多くの冒険と感動が待っていますので、どうぞお楽しみに。応援よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ