第24話 唯の笑顔、勝ち取るのは誰?
今回の話では、唯の心が二人の間で揺れ動きます。哲也と浩平、それぞれのアプローチにも注目です。楽しんでいただけると幸いです!
学校からの帰り道、唯は哲也と浩平のことを考えていた。動物病院で見た哲也の姿が強く印象に残っている。
「浩平くんとの時間も楽しかった。でも、やっぱり哲也くんは特別な存在なんだよね……」
しかし、浩平の優しさと思いやりが心に残っているのも事実だった。唯は自分の気持ちが揺れていることに気づき、少し胸が痛んだ。
そんなとき、スマートフォンが振動し、浩平からのメッセージが届く。
『この間の動物カフェ、楽しかったよ。ありがとう』
唯は少し悩んだ末、スマートフォンを手に取った。
『浩平くん、この間はありがとう。せっかくだから、家に来てお茶でも飲まない?哲也くんはその日バイトだけど、ゆっくり話せる時間が取れそうだし……』
浩平はメッセージを読んで少し驚いたが、すぐに笑顔になった。
『いいの?じゃあ、お邪魔させてもらうよ。サプライズも用意しておくから、楽しみにしてて♪』
唯はそのメッセージを見つめながら、小さく微笑んだ。
「浩平くん、ほんとに優しいな……」
彼女の心は揺れ続ける。その思いの中には、哲也への想いと浩平への感謝が複雑に絡み合っていた。
♦♦♦
唯が浩平と会う約束をしていた日、哲也は動物病院でのバイトを終えた帰り道で浩平と偶然出会った。
「哲也か」
浩平が少し驚いた表情を見せると、哲也も足を止めて彼を見つめた。
「浩平か。こんなところで何してるんだ?」
「唯ちゃんと会うんだよ。サプライズを準備しててさ」
哲也の眉が少し動いた。その態度を見て、浩平は意を決したように口を開く。
「唯ちゃんを幸せにできる自信、あるのか?」
哲也はその言葉に目を見開いたが、すぐに真剣な表情を浮かべた。
「俺は唯ちゃんの夢を支えたい。それが幸せにつながると思ってる」
「それだけでいいのか?唯ちゃんは君の気持ちに気づいてると思うか?」
哲也は答えず、浩平の言葉をじっと受け止めた。そして、彼の胸の中に、唯への思いを改めて自覚する感情が広がっていく。
哲也と浩平、それぞれが唯を支えるための方法を模索しながら、三人の関係はさらに複雑に絡み合っていく。
♦♦♦
唯は浩平を家に招待しており、約束の時間に玄関のチャイムが鳴った。
「唯ちゃん、こんにちは。お邪魔していい?」
浩平が少し照れくさそうに声をかける。唯は微笑みながら彼を迎え入れる。
「もちろん。どうぞ入って。久しぶりに家に人を呼ぶから、ちょっと散らかってるかも」
唯は玄関を開け、浩平をリビングに通した。透が静かに席を立ち、二人きりにするような気遣いを見せる。
浩平は小さな包みを取り出し、慎重に唯の手に渡す。
「これ、唯ちゃんに渡したくてさ」
唯が包みを開けると、中から1冊の本が現れた。表紙には「動物と人の絆を描いた物語」というタイトルが書かれている。さらに、その間には栞が挟まれていた。
「栞?」唯が不思議そうに見ると、浩平が少し照れた表情で答える。
「開けてみてよ」
唯が栞を引き抜き、そのメッセージを目にした。
『唯ちゃんの夢が叶いますように』
その文字は決して華美ではなかったが、力強く、真っ直ぐな気持ちが伝わってきた。唯は一瞬言葉を失い、目を潤ませながら浩平を見つめる。
「浩平くん、ありがとう……こんな風に私の夢を応援してくれるなんて、本当に嬉しい」
唯の笑顔に、浩平も少し赤くなりながら微笑む。
「唯ちゃんが頑張ってるの、いつも見てるからさ。俺にできることがあれば何でもするよ」
その言葉に唯は胸が温かくなり、そっと本を抱きしめた。
♦♦♦
その頃、哲也は唯の家から少し離れた場所で、浩平と唯が話している光景を遠くから見つめていた。唯が笑顔で本を抱きしめ、浩平にお礼を言う姿が視界に入る。
「浩平……唯ちゃんをあんな風に笑顔にできるんだな」
哲也の胸に複雑な感情が込み上げてきた。嫉妬心と、唯が幸せそうであることへの安堵が入り混じっていた。
「でも、唯ちゃんは俺の彼女だ。俺だって……彼女の夢を支える方法を見つけなきゃいけない」
哲也は拳を握りしめ、決意を新たにした。
♦♦♦
学校の休み時間、唯が本を読んでいると、アリサがひょっこりと現れた。
「ねぇ唯さん、昨日浩平くんと何か良いことでもあったの?」
アリサはからかうような口調で唯に話しかける。唯が少し赤くなって否定すると、アリサは意味深な笑みを浮かべた。
「ふーん、でも浩平くん、最近ずいぶん積極的だよね。哲也くん、気をつけた方がいいかもよ?」
唯が動揺している様子を見て、アリサはさらに追い打ちをかけるように言葉を続けた。
「ねぇ、唯。どっちが好きなのかはっきりさせたら?二人の間で揺れてるの、見え見えだよ」
唯はアリサの言葉にドキッとして、本を閉じた。心の中で、改めて自分の気持ちに問いかける。
「私の気持ちって……本当はどうなんだろう」
その問いは唯の胸の中に大きな波紋を広げた。しかしそのとき、唯のスマートフォンが振動した。画面を見ると、哲也と浩平、それぞれから同時にメッセージが届いていた。
『話したいことがあるんだ。少し時間をくれないか?』
唯はそのメッセージを見つめ、心臓がドクンと跳ねた。
「二人とも……どうして今……?」
次の瞬間、校内放送で唯の名前が呼ばれる。予想外の展開に戸惑う中、唯は立ち上がり、重い足取りで廊下へ向かった。
後までお付き合いありがとうございました!唯の選択がどのような未来を呼ぶのか、私自身も大切に描いていきたいと思います。ご感想お待ちしています!




