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ノラ猫と女子高生の恋  作者: 藍瀬 七
第2章 唯の揺れる想い
22/29

第22話 哲也、聞いて! 浩平くんとデートするってば!

「哲也、聞いて! 浩平くんとデートするってば!」

唯がデートに誘われた!?哲也の嫉妬心と、唯の揺れる想いが交錯するストーリーです。

笑いあり、ドキドキありのラブコメをお楽しみください!

「唯ちゃん、昨日の話覚えてる?」浩平が照れくさそうに後頭部を掻きながら、少し視線をそらして尋ねた。


「え? あ、浩平くんと出かける話?」唯が驚いた表情で問い返す。


「ああ。映画とか、カフェとか、唯ちゃんが好きなところに行ければと思ってさ」


 その言葉に唯は少し戸惑いながらも、頬を染めて微笑んだ。


「うん、哲也くんには悪いけど、浩平くんにいろいろ話を聞いてもらいたいから、行ってみようかな。でも、哲也くんを信じてないわけじゃないんだよ。ただ……他の人の意見を聞いてみるのも大事かなって思ったの」


 近くでその会話を聞いていた哲也は、驚きのあまり物陰から飛び出しそうになり、慌てて隠れ直した。


(な、なんだと!?唯ちゃんが浩平とデート!?いやいや、どういうことだよ!?)


 唯がその様子に気づき、浩平に向き直った。


「ごめん、ちょっと待ってて。哲也くんと話してくる」


「え? 哲也くん?」浩平が目を丸くしたが、唯は軽く笑って手を振り、哲也の元へ向かった。


 物陰で頭を抱える哲也に、唯が声をかける。


「哲也くん、隠れてないで出てきて」


 哲也は仕方なく顔を出し、困惑した表情で唯を見つめた。


「えっと、唯ちゃん、本当に浩平と……デート、行くの?」


 唯は苦笑いしながら答えた。


「うん、哲也くんには悪いけど、浩平くんにいろいろ話を聞いてもらいたいの」


「俺に話してくれればいいじゃん!」哲也は思わず声を荒げたが、唯は穏やかな目で彼を見つめた。


「哲也くんはいつも私を支えてくれてる。でも、浩平くんも優しいし、彼に相談することで何か新しい気づきがあるかもしれないでしょ?」


 哲也は唯の言葉に言い返すことができず、しぶしぶ頷いた。


「わかったよ。でも、後でちゃんと話を聞かせてくれよな」


 唯は微笑みながら「もちろん」と答え、浩平の元へ戻っていった。


 哲也は悔しさを胸に抱えつつ、その場に残った。しばらく考え込んだ後、ふと顔を上げた。


(唯ちゃんの夢を支えるために、俺にできることを見つけるんだ……!)


 哲也は深呼吸をし、意を決したようにその場を立ち去った。


 ♦♦♦


 唯は浩平との約束を胸に動物カフェの扉を開いた。カフェの中は柔らかな照明と猫たちのゆったりとした動きで満たされていて、唯の疲れた心を少し和らげてくれるようだった。


 浩平が笑顔で迎え入れる。


「唯ちゃん、やっぱりここ、落ち着くよね」


「うん、すごく癒される」唯はそっと微笑んだ。


 テーブル席に案内され、二人は席につく。猫たちが足元や椅子の上を自由に行き来する様子を見ていると、自然と会話も弾む。


「唯ちゃん、最近本当に頑張りすぎだよ。体調のことも心配だし」浩平の声には本気の心配が滲んでいた。


 唯は一瞬視線を逸らした後、深呼吸をするように口を開いた。


「浩平くん、私ね、獣医になりたいってずっと思ってるの。でも、最近体調が良くなくて、授業に遅れちゃうことも増えてて、それがすごく怖いんだ」


 浩平は少し驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な表情に変わった。


「そうだったんだ。唯ちゃんがそんなに悩んでるなんて気づかなかった。ごめん」


「謝らないで、浩平くん。私の方こそ、誰にも相談できなくて、自分で抱え込みすぎちゃってた」


 浩平は真剣な眼差しで唯を見つめた。


「唯ちゃん、夢を叶えるために頑張るのはすごく素敵なことだけど、時には休むのも大事だと思うよ。体を壊したら、夢どころか、日常すら守れなくなっちゃうから」


 その言葉に唯の胸が少し軽くなった気がした。


 猫たちに別れを告げてカフェを出る頃、夕暮れの柔らかな光が二人を包んでいた。猫カフェの入り口には木製の看板がかかり、足元には数匹の猫がまだ遊んでいる姿が見える。柔らかなランプの光が建物の窓から漏れ、温かい雰囲気が漂っていた。浩平はしばらく唯の横を歩いた後、急に立ち止まり、振り返った。


「唯ちゃん」


 唯が「今日はありがとう」と言いかけたその瞬間、浩平は彼女の動きを制するように一歩前に出て、そっと手を差し出した。


「今日はありがとう。唯ちゃんのことを少しでも元気づけられたなら、本当に嬉しいよ。僕は……君の笑顔をもっと見たいんだ」


 唯がその手を取ると、浩平はぎこちない動きで唯の手を軽く握り、さらに勇気を振り絞るように唯の頬にそっとキスをした。


「えっ!」唯は驚いて目を見開いたが、浩平は照れた笑顔を浮かべた。


「これからも、君を応援したいと思ってる」


 唯は一瞬言葉を失ったが、やがて優しく微笑み、「ありがとう、浩平くん」と小さく呟いた。


 二人の間に静かな余韻が流れる中、唯は再び歩き出した。浩平の優しさを胸に抱えながら、哲也のことを思い浮かべていた。


「ありがとう、浩平くん。そう言ってくれると、なんだか少し気持ちが楽になる」


 猫たちが二人の間を通り過ぎる中、唯は浩平に感謝の気持ちを抱きつつ、自分の夢の重みを再確認していた。


 浩平は唯の表情をじっと見つめた後、少し前のめりになり、勇気を振り絞るように口を開いた。


「唯ちゃん、僕、ずっと君のことを気にしてたんだ。だから、今日は君の力になれたらって思って……。それに、もし僕で良ければ、これからも力になりたいって思ってる」


 唯は驚いたように目を見開いたが、すぐに優しく微笑んだ。


「浩平くん……ありがとう。そんな風に言ってくれるの、すごく嬉しい」


 浩平は照れくさそうに笑いながら、テーブルの上で手を軽く組んだ。「君が笑ってくれるなら、それだけで僕は嬉しいよ」


 その言葉に唯の心が少し揺れるのを感じながらも、哲也のことを思い浮かべていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

唯、哲也、浩平の三角関係(?)はいかがでしたか?

次回も唯の夢や恋の行方を楽しんでいただけると嬉しいです!コメントや感想、お待ちしています!


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