表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノラ猫と女子高生の恋  作者: 藍瀬 七
第2章 唯の揺れる想い
17/29

第17話 唯サイド - 夕陽の中で揺れる想い

唯の視点で描かれる今回の章では、彼女の内面に少し踏み込んでみました。哲也への気持ちは本物だけど、どこか迷いを感じている唯。そんな彼女がどう成長し、答えを見つけていくのか――ぜひ一緒に見届けていただけたら嬉しいです。



 放課後の教室。夕陽が差し込み、窓際の席が橙色に染まる中、私はぼんやりと窓の外を眺めていた。屋上で風に吹かれている哲也の姿がふと脳裏をよぎる。


 彼の笑顔。自分の隣にいる時の安心感。どれも大好きなはずなのに、心のどこかに不安が根を張っている。


「猫なんだよね、哲也は……」


 私は小さな声で呟いた。その言葉は空気に溶け込み、誰の耳にも届かない。それでも、自分にとってはずっしりと重い現実だった。


「唯ー! 行くよ!」


 教室の入り口で日向が手を振っていた。私は慌てて鞄を手に取り、彼女の元へ向かう。


「どうしたの? 最近ぼーっとしてること多いけど。」


 日向は私の顔を覗き込む。私は苦笑いを浮かべて「ちょっと考え事してただけ」と返した。


 二人で並んで歩く帰り道。日向は軽快に話を振り、私を元気づけようとしてくれる。それがいつもありがたく、救われる気持ちになる。


「ねえ、唯。最近新名くんと話してるとこよく見るけど、もしかして――」


 日向がわざとらしく口を手で隠し、いたずらっぽく笑った。


「違う違う! 浩平くんとは何もないよ!」


 私は慌てて否定する。


「ほんと? でも、浩平くん優しそうだし、何か相談してるんじゃないの?」


「……まあ、ちょっとだけね。」


 それ以上のことは言えなかった。哲也の正体を知らない日向には、この複雑な事情を話すわけにはいかない。猫だなんて言っても、信じてもらえるはずがない。

 

 ♦♦♦

 

 帰り道の途中、私は日向と別れ、少し寄り道をすることにした。商店街のカフェに入り、一人で考え事をする。ふわりと漂うコーヒーの香りが、少しだけ心を落ち着けてくれる。


 哲也が猫だという事実は、私にとって受け入れるのが簡単ではない。彼を好きな気持ちは本物だけど、彼が人間としてこの先も隣にいてくれる保証はない。それが不安だった。


「ああ、もう……」


 カップの縁を指でなぞりながら、私はため息をついた。そのとき、カフェの入り口から聞き覚えのある声がする。


「唯ちゃん?」


 顔を上げると、そこには新名浩平が立っていた。彼は軽く頭を下げると、私の向かいの席に座る。


「こんなところで会うなんて珍しいね。何かあったの?」


「え、いや、特に何も……」


 私は動揺しつつも、笑顔を作る。浩平はそんな私の様子をじっと見つめた後、柔らかい口調で続けた。


「無理しなくていいって。唯ちゃん、最近悩んでいるように見えるからさ。」


 その言葉に、私の胸がざわついた。浩平の言葉には妙な説得力があった。もしかしたら、彼も何か気づいているのかもしれない。そんな気がしてならなかった。


「唯ちゃんが笑っていられるなら、それが一番だと思うよ。でも……もし何か大切なことを抱え込んでいるなら、一人で悩むのはやめたほうがいい。」


「……浩平くん、ありがとう。でも、これは私がどうにかしなきゃいけないことだから。」


 私は小さく微笑みながら答えた。その笑顔はどこか寂しげで、浩平は何かを言いかけて口をつぐむ。


「そうなんだ。でも、何かあったら話してくれよな。僕は唯ちゃんの味方だからさ。」

 

 ♦♦♦

 

 カフェを出た私は、哲也との時間を思い出しながら、空を見上げた。橙色に染まった夕焼けが、胸の奥のモヤモヤを少しだけ和らげてくれる気がした。


「哲也くんと、ちゃんと話さなきゃ……」


 私の中で、少しずつ覚悟が芽生えていた。自分の未来を切り開くために、彼と向き合う時が来ていると感じたのだ。


唯の葛藤を中心にお届けした今回の話、いかがでしたでしょうか?哲也の秘密と向き合いながらも、彼女自身が成長していく姿を描くのは本当に楽しいです。次回も唯の視点で、さらに彼女の決断が明らかになる予定です!引き続き応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ