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ノラ猫と女子高生の恋  作者: 藍瀬 七
第1章 猫と少女の奇妙な日常
16/29

第16話 隠された真実と君への約束

嘘をつき続けるのは、こんなにも苦しいものだっただろうか。だけど、君の隣に立つためなら、俺はどんな苦難だって越えてみせる。けれど、"彼女"の影が、俺たちの未来を脅かそうとしている――。緊迫の展開が待ち受ける第16話、どうぞお楽しみください!

 その日の放課後、唯と二人で学校を出た後、俺は街の喫茶店で彼女と話す時間を過ごしていた。唯が俺の隣にいる、それだけで心が安らぐ。けれど、心の片隅にある不安は消えない。アリサの言葉、ペンダントの力、そして俺が猫としての正体を隠し続けることの限界――。


「(俺はこれからどうしていけばいいんだ……?)」


「哲也くん、今日はなんだか元気がないね?」


「えっ!? そ、そうかな(顔に出ちまってたのか、しっかりしろ、俺!)」


 唯がカップを傾けながら、不思議そうに俺を見つめる。その優しい瞳に、隠し事をしている自分が情けなくなる。


「え、いや……そんなことないよ。唯ちゃんとこうして話せてるだけで、俺は十分幸せだし!」


 俺は慌てて笑顔を作るが、唯は少しだけ眉をひそめた。


「ふふ、本当に大丈夫? 私、何か私にできることがあればいいんだけど」


 その言葉が俺の胸に刺さる。俺が猫であることを知った今でも、彼女は俺を信じてくれている。でも、俺が人間であることに固執する理由を唯がどこまで理解しているのかは分からない。


「唯ちゃん、もし俺がずっと人間じゃなくなるかもしれないって言ったら……どうする?」


 勇気を振り絞って問いかけると、唯は少し考え込むように視線を落とした。そして、穏やかな笑みを浮かべて答える。


「それでも私は哲也くんのそばにいるよ。猫だろうと人間だろうと、哲也くんは哲也くんだから」


「唯ちゃん……ありがとう」


 その言葉に救われる一方で、俺は決意を新たにした。唯のためにも、俺は人間の姿を保ち続ける方法を見つけ出さなければならない。


 ♦♦♦


 次の日、学校で俺はクラスメイトの新名浩平にいなこうへいに呼び止められた。彼は最近、俺と唯が一緒にいることに気づき、何かを勘ぐっている様子だった。


「黒長、お前、唯ちゃんと付き合ってるって本当か?」


「え、いや、その……」


 浩平の真っ直ぐな視線に、俺は言葉を詰まらせる。唯と俺の関係は、今のところあまり公にするつもりはなかった。けれど、俺が曖昧な態度を取っていると、浩平は少しだけ笑いながら続けた。


「まあ、付き合ってるかどうかは置いといて、お前、何か隠してるだろ?」


「え?」


 浩平の鋭い言葉に、心臓が一瞬止まりそうになる。俺が猫であることを知っているのか? いや、それはあり得ない。でも、最近の俺の言動や様子に違和感を抱かれているのは間違いなさそうだ。


「なんていうか、お前、ちょっと不自然なんだよな。唯ちゃんの前だと特にさ。何か事情があるなら、無理して隠すことないんじゃないか?」


 浩平の言葉には悪意はない。それが逆に厄介だ。俺は彼にどう答えるべきか迷いながらも、笑顔を作ってごまかすしかなかった。


「いやいや、何もないって。ただ唯ちゃんと話すのが楽しいだけだよ」


「……そうか。まあ、お前が唯ちゃんを大事にしてるのは分かるよ。でも、唯ちゃんを泣かせるようなことだけはするなよ」


 浩平のその言葉は、俺の胸に重くのしかかった。


 ♦♦♦


 その夜、俺は青山さんと連絡を取り、アリサについて調べてもらうよう頼んだ。青山さんは一度目を閉じ、少し考え込んだ後、静かに話し始めた。


「アリサ……俺も詳しいことは知らないが、聞いた話では彼女は魔法の研究者らしい。特に動物と人間の魂を結びつける魔法を極めようとしているんだとか」


「それって……俺に関係あるんですか?」


「可能性は高い。お前が猫から人間になったのは、あの薬の効果だろ? アリサがその技術を使って、さらに何かを企んでるのかもしれない」


 青山さんの話を聞いているうちに、俺の中で1つの疑念が浮かんだ。アリサの目的は何なのか。俺のように猫から人間になった存在を観察している理由は?


「それと、もう1つ気になることがある。お前のペンダント――唯さんが持っているものだが、それには強力な魔力が宿っている。あれが暴走した場合、唯さん自身が危険にさらされる可能性がある」


「唯が危険に……?」


「そうだ。お前が唯さんを守るつもりなら、ペンダントをどうにかする必要があるかもしれないな」


 青山さんの言葉に、俺は強い決意を抱いた。唯を守るためには、アリサの目的を突き止めること。そしてペンダントの秘密を解明することだ。


 その翌日、俺は唯に青山さんの話を伝えた。


「唯ちゃん、そのペンダント……やっぱり危険かもしれない。だから、しばらく俺が預かるよ」


 唯は少し驚いた顔をしたが、やがて微笑んで頷いた。


「分かった。でも、もし何かあったらすぐに教えてね」


 唯がペンダントを手渡してくれたその瞬間、ペンダントが青白い光を放ち、俺の手の中でわずかに震えた。その感覚に、俺は不安を覚えながらも、それをポケットにしまった。


 ♦♦♦


 その日の夜、アリサが俺の前に再び現れた。


「哲也、そのペンダントをどうするつもり?」


 彼女は冷たく微笑みながら問いかけてくる。俺は彼女に向き直り、はっきりと言い放った。


「唯を守るために、このペンダントの力を解明する。そして、お前の目的も突き止めてやる」


 アリサはその言葉に満足そうに笑い、静かに呟いた。


「いいわ。じゃあ、次はもっと面白いことを教えてあげる」


 彼女が手を振ると、ペンダントから再び光が放たれ、その中に映し出されたのは――俺が猫の姿で唯のそばにいた過去の記憶だった。


「この光景を見て、唯さんがどう思うかしらね?」


 アリサはそう言い残し、闇の中に消えた。俺はペンダントを握りしめながら、これからの試練に備える覚悟を固めた。



人として生きること。それは哲也にとって単なる願いではなく、唯と未来を共にするための絶対条件だった。しかし、"彼女"が仕掛ける新たな罠は、哲也と唯の絆すら試そうとしている。次回、物語はさらに深い秘密へと迫ります――どうぞお楽しみに!

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