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ノラ猫と女子高生の恋  作者: 藍瀬 七
第1章 猫と少女の奇妙な日常
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第14話 猫の秘密と君のペンダント

「ねえ、哲也くん、本当に何も隠してないよね?」


恋人として付き合い始めた俺と唯。毎日が楽しいけれど、実は彼女には知られてはいけない秘密があるんだ。俺の正体は……猫だった?


アリサからもらった青白いペンダントが唯の手に渡ったことで、隠してきた秘密が危うく揺らぎ始める。嫉妬や焦りが感情を刺激し、猫の耳やしっぽが不意に現れる日々。果たして、俺は人間として彼女とずっと一緒にいられるのだろうか――?

 唯がアリサからもらった青白いペンダントを身に着け始めてからというもの、俺の生活は一変した。


 ある日の放課後、唯がまたバイト先の喫茶店に来てくれた。付き合い始めてからこうして顔を出してくれるのが日常になったのは凄く嬉しいけれど、あのペンダントのせいで内心、気が気じゃない。


「いらっしゃいませ……って、また来たのか?」


「うん、哲也くんの仕事ぶりが見たくてね」唯はニコッと笑い、いつものカウンター席に腰を下ろした。


 俺も慣れた手つきでコーヒーを淹れ、彼女の目の前に置いた。


「唯ちゃん、今度は何にする?」


「哲也くんのおすすめにしようかな。あと、ちょっと相談もしたいの」


「相談?俺でよければ聞くけど……(唯ちゃんが、俺に相談してくれるの、嬉しいっ!)」


 俺は後ろを向き小さくガッツポーズをしていた。


「(しかし、ここは落ち着こう)」


 唯の方に向き直し、少し緊張しながら返事をすると、唯がふいにポケットから例のペンダントを取り出した。ペンダントはかすかに青く輝いていて、俺はそれを目にした瞬間、冷や汗をかく。


「最近、これを持ってるとなんだか不思議なことがある気がするんだよね。例えば、哲也くんが……たまに猫みたいに見えたりとか」


「えっ……」


 思わず声が裏返ってしまう。俺は慌てて平静を装うが、唯はじっと俺を見つめている。その視線が鋭く、まるで俺の心の奥まで見透かそうとしているかのようだった。


「本当に何も隠してないよね?」


 問いかける唯に、俺は一瞬、答えに詰まる。


「え、もちろん。俺が何か隠してるなんて……ないよ、多分……(ヤバい……)」


 が、その時。


「ん……?」


 ふと、耳がかゆくなったような感覚に襲われ、手を伸ばした瞬間、何か柔らかいものが触れた。まさか……耳が出てるのか!?鏡もない状況で確かめることもできず、焦る俺を、唯が不思議そうに見つめている。


「哲也くん、さっきからなんで頭触ってるの?」


「えっと……ただ、ちょっと……痒くて」


 俺は必死にごまかし、なんとか話題を逸らそうとするが、唯はますます不審そうな顔で見ている。そして、ポケットから取り出したペンダントが、再び青白い光を放った。


「また光ってる……」


 その瞬間、俺の耳が再びピクピクと動いたのを感じた。くそっ、このペンダントのせいでまた猫の姿が出てしまっているのか?!


「……ねえ、哲也くん、もしかして……猫なの?」


「そ、そんなわけあるか!何言ってるんだよ!」


「でも、ほら!」


 唯が身を乗り出して耳をじっと見つめる。俺は完全に動揺してしまい、何とかごまかそうとした矢先、ペンダントの青白い光の中から突然、アリサの声が響いた。


「ふふ、哲也、どうやら隠し通すのも限界のようね」


 唯が驚いた表情であたりを見回す。


「この声、アリサさん……?」


 俺は冷や汗をかきながら、ペンダントを握りしめようとするが、アリサの声がさらに続く。


「その嫉妬心が、君を猫の姿へと引き戻すのよ。唯さんが他の男の子と親しくしているのを見たとき、君の耳やしっぽが反応するなんて、まさに猫の本能ね」


 俺は怒りを抑えきれず、「アリサ、もういい加減にしてくれ!」と叫んだが、唯は困惑しながら俺を見つめている。


「哲也くん、もしかして本当に……?」


「いや、その……」


 言い訳が見つからず、つい目を逸らしてしまった。すると唯が少し悲しそうな顔で、「教えてほしい、哲也くんの本当のこと」と静かに言った。その瞬間、俺の心は痛んだが、どう答えるべきか分からないままだった。


 その時、店の窓の外に一人の青年が通りかかり、唯に笑顔で手を振っているのが見えた。同じクラスメイトで、最近よく話しかけている新名浩平にいなこうへいだ。


「唯ちゃん、今日はここでデート?いいなあ、俺も一緒に行きたかったな~」


 冗談交じりにそう言われ、唯が照れくさそうに笑うのを見て、俺の胸がちくりと痛んだ。その痛みはじわじわと募り、気づけば頭の中が熱くなる。何かが込み上げてくると同時に――ふいにしっぽが出ているのを感じた。


「哲也くん……しっぽ、出てるよ……?」


 唯が驚きの表情で俺を見ているのに気づき、俺はあまりの恥ずかしさに耳まで真っ赤になった。だが、隠し通すこともできない状況で、俺は半ば覚悟を決めた。


「……唯ちゃん、俺、本当は猫なんだ」


 唯はしばらく黙っていたが、ゆっくりと微笑み、「やっと教えてくれたんだね」と小さくつぶやいた。


 だが、その時、ペンダントの光が再び強くなり、今度は唯の瞳が不思議な色に染まっていった。そして、アリサの声が再び響く。


「唯さん、哲也がどうやって人間の姿を保っているのか、見てみたくはないかしら?」


 唯が何かに取り憑かれたようにペンダントを握りしめ、俺の方をまっすぐに見つめる。その瞳に宿る不思議な光を前に、俺は息を飲んだ。このままじゃ、唯にすべてがバレてしまうかもしれない……。


 店内の空気が張り詰め、次の瞬間、唯が口を開いた。


「ねえ、哲也くん、これからもずっと一緒にいられる……よね?」


 その言葉に、俺はしっかりとうなずくしかなかった。しかし、この先何が待ち受けているのか分からない不安が、俺の心を強く締め付けていた――。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


恋人同士になった唯と哲也が織りなす、秘密に隠されたラブコメディ。哲也の秘密がバレそうでバレないスリルと、アリサが仕掛ける不思議な力で二人の関係がどう変わっていくのか……今後も楽しみにしていただけると嬉しいです。ペンダントがどんな秘密を映し出すのか、次の展開をお見逃しなく!

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