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ノラ猫と女子高生の恋  作者: 藍瀬 七
第1章 猫と少女の奇妙な日常
12/29

第12話 今夜、秘密が動き出す

静かな夜道で繋いだ手、三人の再会。そして、その夜、風が変わった瞬間、聞こえてきた囁き。何かが動き出す予感がするーー

 静かな夜道を、唯と手をつないで歩く。秋の夜風が頬を撫で、街灯の光が淡く二人を照らしている。唯の隣にいるだけで、これほど温かく安らぎを感じられるとは思わなかった。


「哲也くん、さっきのおじいさんの家で何があったの?」


 唯は不安そうな表情で俺を見つめる。その眼差しに戸惑いを感じながらも、あの儀式の真実を話すにはまだ早いと考えた。俺は彼女の手を少し強く握り、笑顔で応える。


「ちょっとした昔話を聞かせてもらっただけさ。おじいさんにとって大事な思い出の詰まった場所だったから、時間がかかってしまったんだ」


 唯は少しだけ不安を和らげたように、微笑んで頷いた。


「そっか。でも……あの光、すごく綺麗だったね。まるで夢みたいで」


 俺は苦笑しながら、肯定するように頷く。あの光の中で、おじいさんが亡き奥さんと再会する光景を目にしたとき、彼らの深い絆に心を打たれた。俺にとっても、その記憶は心の奥深くに刻まれたものだ。


 俺と唯は、静かな夜道を手を繋いで歩いていた。二人の間には、再会できた喜びと安心感が漂っている。しかし、唯の表情にはまだ不安が残っている様子だった。


 俺は少しだけ唯の顔を覗き込み、問いかけた。


「唯ちゃん、どうしたんだ? 何か心配なことでもある?」


 唯は一瞬迷ったように目を伏せたが、意を決したようにスマホを取り出した。


「実は……哲也くんがいなくなった時、ずっと探していたの。一人じゃ心細かったから、透さんにお願いして一緒に探してもらってたんだ。今、哲也くんが無事に見つかったことを伝えたくて……連絡してもいい?」


 俺は一瞬驚いて目を見開いたが、すぐに優しく微笑んだ。


「もちろんだよ。透さんにも心配かけちゃったんだな」


 唯は頷きながらスマホの画面に視線を落とし、透にメッセージを送った。


(スマホの画面)


 唯:「哲也くん、無事に見つかったよ! 今、二人で歩いてる。透さんも今どこにいる?」


 メッセージを送ってから数秒後、透からの返信がすぐに返ってきた。


 透:「良かった。俺も哲也様のことが心配でした。今、近くのコンビニにいるので、そちらに向かいます」


 唯はスマホを閉じ、俺に微笑んで言った。


「透さんもすぐに来るって」


 俺は少し表情を引き締め、夜の静けさの中、透との再会に備えるように深呼吸した。


 数分後、俺と唯が歩いていると、前方から透の姿が見えてきた。街灯の下で立ち止まっていた透は、二人の姿を確認すると、安心した表情を浮かべた。


「唯お嬢様、哲也様。無事で何よりです」


 俺は透に一礼し、少し照れくさいがお礼を言った。


「探してくれてたんだな。ありがとう、透さん」


 透は少し微笑みながらも、鋭い目つきで俺を見つめた。


「当然です。唯お嬢様がずっと心配していましたからね。哲也様がいなくなってから、ずっと気が気じゃなかったんです」


 唯はそんな二人のやりとりを見て、安堵の表情を浮かべた。


「こうして三人揃ったの、なんだか久しぶりだね」


 俺は微笑みながら頷き、透も少しだけ笑みを返した。そして、三人は一緒に夜道を歩き出した。これから何が待ち受けているのかはまだ分からないが、この瞬間だけは、俺たちの間に静かな友情と安心感が流れていた。


 

 突如、静かな夜道を三人が歩いていると、不意に空気が変わった。急に風が強まり、まるで冷たい霧が立ち込めたような感覚が襲う。


「何だ……?」


 透が立ち止まり、警戒した様子で辺りを見渡す。唯もその異変に気づき、俺の腕にしがみついた。


「哲也くん、何かおかしいよ……」


 その時、どこからともなく囁くような声が聞こえた。


「ふふ……こんな夜に、お散歩とは珍しいわね」


 唯が驚いて周囲を見回すが、そこには誰の姿もない。俺も声の主を探すように目を凝らすが、見えない何者かの気配だけが漂っていた。


「誰だ……?」


 俺が低く問いかけると、闇の中から淡い光が浮かび上がった。まるで何かがこちらを見つめているような、異様な気配。


「あなた、面白い力を持っているみたいね」とその声は言う。「いつか会えることを楽しみにしているわ」


 次の瞬間、光はふっと消え、再び静寂が戻った。透が険しい表情を浮かべ、俺の方を見つめる。


「今のは……一体?」


「わからない。でも、何かが始まろうとしている気がする」


 唯は不安げな表情で哲也を見上げたが、俺は微笑んでその手を握り返した。


「大丈夫だよ、唯ちゃん。俺たちは一緒だから」


 三人は再び歩き出したが、先ほどの謎の声と光の気配が、これからの波乱を予感させるものだった。

秋の夜道で、三人が再会したのは偶然ではなかったのかもしれない。あの囁き声の主が何を望んでいるのか、この先の展開が気になります。読んでいただきありがとうございました!

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