第三話 宣戦布告
「ん?」
歩く落影は異変に気づく
「…なぁ、意次」
「今更気がついたのかい?」
そう言いながら周りを伺う
異変
それは、あまりにも静かな事から始まった
本来なら、一般高校生の諸君はガヤガヤと騒いでいるのだが、あまりにも静かな事に気づき辺りを見渡す。視界に映ったのは動きが止まっている生徒諸君。全ての『時』がとまっている状況だ。
「超常現象にしちゃすご過ぎじゃね?」
軽く笑いながら、言う己剣
「これが超常現象だったら俺、テレビに映っかな?俺有名になっちまうぜ」
落影も軽く笑いながら言う
「ラ~リホ~♪」
落影達三人は一斉に声がした方を見る
「ハ~ハハハハハ~♪」
そこには、あれだ…サーカスでお決まりの…そう!道化がいた。変装とは明らかに違う顔が気味が悪い。そして特徴的なのが、赤っ鼻である
「君は一体何者だい?」
意次が道化を見上げながら言う
道化は一度、鼻で笑うと、そのまま言葉を続ける
「俺か?俺様はな。メルホアの使いで来た『道化師のジャッジ』だ」
自分のことを指差して答える
…とことんムカツク野郎だ……
「目的は何だい?」
意次が訊くと
「あぁ?目的ぃ?」
「そうだ。ここに来た目的さ」
「しゃあねぇ。特別に教えてやる。目的はだなぁ~」
顔を下に向けながら言っていた道化は、サッと顔を上げると同時に声を張り上げる
「テメェらをぶっ殺すためだ!何体もシギントを削除しやがって!作ってるのは俺なんだぞぉ!コラァ!絶対ぶっ殺す!」
ハァ…ハッ…ハッ…ハァ・クソ……と、言い終わると、顔に手を翳し、再び自己紹介の時の様な緩い顔に変わる
「とまぁ、そう言うことでよぉ。宣戦布告に来たって訳だ。モチのロンでこちらは全員が動く。頑張れば一気に叩くチャンスかもなぁ~?」
その挑発的な態度に、とうとう落影が切れる
「あぁ?てめぇ、俺らの事なめ過ぎじゃねぇか?やろうと思えば何時だってやれるんだよ!この赤っ鼻が!」
その言葉に、道化は一瞬、眉を顰めるが、
「んん?君の様な『白髪』頭は何と言われようと舐めたくはないね」
舌を出しながら挑発を続けて笑っている道化に対して、己剣と意次の顔は青ざめていく
「な、何てことを…」
超!動揺しまくりで己剣が言い
「…危険を察知」
と、意次が一言だけ口から洩らす
クルクルクルクル
二丁の銃を手の中で回しながら無表情でいる
ジャカッ!構えてすぐ、道化の足に乱射する
ドドドドドドドドドドドドドド
「わっ!ちょ!あぶな!!足に穴開く!」
辛うじて避ける道化に、落影は容赦無く撃ち続ける
「オラ、オラ、オラ、オラ!!当てるぞ!?コラ!ごめんなさいって言うのと車イスになるのどっちが良い!?」
怒鳴りながら撃ち続けた銃を一旦リロードし、時間を置く
「フォォ…フォ…ホォ…どっちかって言うと銃より剣の方が好きかな?腕無くなっちゃった~、なんちゃって!」
そこ言葉を聞き終わるや否や、ジャスティスを振り下ろす。が、ジャスティスは空を切り、かわした後、コンクリートに当たったジャスティスの虚しい音だけが響いた
「ハ~ハハハハハ!そう慌てるなよボ~イ」
いつの間にか木の上に移動している道化
「今日から一週間後!舞台は!この!水ノ葉学院!」
「心して待ってろよ♪ボ~イ♪アッハハハハハハハハ!」
そして奴は消えていく、と同時に周りの時が動き出す
「ちっ……道化が…」
今、起こった事は周りの人は知らない