第二話 本来の姿
~昨日の出来事~
月は三日月で、辺りを微かに照らしていた。
人気のない路地で、1人、何かを待っているかのように道の脇に塀を背もたれの様にして立っていた。
落影だ。
何故こんな夜更けに外に居るのかと言うと、『お仕事』である。
「ちっ、何で俺がこんな夜更けに…ふぁ~…出歩かなきゃいけねぇんだよ…」
やや文句まじりにぼやいている落影。
ーーー落影sideーーー
(ちっ、まったく。何で俺が…元はと言えば!意次の野郎が……!)
回想シーン
「落影、すまないが今日はお前が行ってくれ。」
「・・・・・・はっ?」
「だから、今日は昨日知り合った子と食事だ。だから君が頼むよ。」
「はっ?テメェ意次!ザケてんじゃ…」
「た・の・ん・だ・よ♪」
サササァーと意次は去っていった。
「マジかよ…己剣、お前は「無理だよ♪」
(何で即答するかな…)
そして現在に至る。
意次の野郎、帰ってきたらただじゃ――
「…………来た……」
俺は気配を感じた。静かなとも言い難く、激しいとも言い難い。強いて言うなら汚い…かなぁ?
冗談はさておき。
「よっ」
俺は背もたれ代わりの塀から離れ、その『来た奴』と対峙する。
「けっ!」
いつも思う、何でこんな気持ち悪ぃんだか。早々に削除してやっかな。
俺が対峙している物は、この世の物とは思えない姿である。
鱗の様な物で出来ている肌、グネったか?と思わせる左足、極めつけなのはその顔、何か仮面の様な物を被せた顔、その仮面も仮面で、何も書いていない、真っ白なのである。だが口は見えている。が、その口も大きく開いたと言うよりも開かれたような口である。
これが『シギント』。
と言ってもこんなのは下級の下級に過ぎない。要するに…雑魚だ。
「あぁ~あ。つまんねぇ仕事だぜ。何か損した気分。」
そんな事を言ってると、敵が突っ込んできた、爪を輝かせながら。
俺は難なく避け、奴の方を見ると、きったねぇ舌で爪を舐めている
「ご自慢の爪なわけね。まともに食らったら一たまりもねぇな。」
鋭利な爪だな……。鋭利な爪…とでも名づけようか…
体制を立て直したシャープクロウが突っ込んでくる。
「いいねぇ、俺、そういうのを見っと」
Come on! 『ジャスティス』!
「真っ向勝負で破壊したくなるんだよ。」
さぁ、行くぜ!
構えた長剣、ジャスティスで、奴に突きをブチかます!
「オラァ!」
突きをまともに食らったシャープクロウの爪は粉々に粉砕された。
まぁ、予想通りだな。
爪を粉々に粉砕してやったが、まだ息?があるらしく、少し動いている。
銃を腰から出して、実際にはベルトに挟めていたのを取り出して、奴に構える。
「次、生まれてくるときは、ちゃんと人になれよ」
俺は引き金を引いた。
ドォン!……
~現在~
とまぁ、こんな感じに仕事をこなしていく。
それが俺等、イレイザーの役目なのだ。
何か忘れてる気がする……あっ
「意次!てめぇが俺に仕事擦り付けるから、メッチャ眠気があるんですけど!!」
意次は、しれっとした顔で、
「ごめんね。落影。」
と応えた。まぁ、分かれば良いんだけどよ。この辺りはやっぱいい奴だな。
「僕は、女の子に話しかけてしまう病なんだろうねぇ」
前言撤回、やっぱこいつはダメだ。
やれやれだな。