理由。
「よつば」
「にあん!」
魔王サマをちらりと見る。
頭のてっぺんに生えている猫耳が、期待からなのかぴくぴく動いている。
「……」
なんか、やっぱりもったいないというか。
そんなことを思っていると、ヴラドやリリスと目が合った。
どうやら、私と同じことを思っているらしい。
……ヴラドのは少し違うのだろうが。
まぁ、仕方がないか。
海神様にも頼まれたんだしな。
「よつば、『解除』」
よつばが前足をちょいちょいと動かした。
その瞬間、ぽんっと音を立てて魔王サマに生えていた猫耳としっぽが消えた。
「と、取れた……?」
魔王サマはぺたぺたと自分の頭をさわったり、しっぽの生えていたお尻を見ている。
んー、やっぱりもったいなかったなぁ……。
猫好きとしては、猫耳の生えた魔王サマなんて貴重なんだがな。
くぅが、ゆらゆらとしっぽを揺らしながら魔王サマを見ている。
あー、うん。猫イコール魔王は、これ以上は遠慮しておきたいが。
「……そういや、なんで猫だったんだ?」
「ああ、それでしたら」
思わず呟いた私に、リリスが小さくうなずいてみせる。
彼女の背後では、ひきつった顔で酒天童子達がぶんぶんと激しく首を真横に振っていた。
だが、私の方を見ていたリリスはそれには気づかずに言葉を続けた。
「なんでも、『猫がこの世で一番必要のない存在だから』だそうです」
「……………は?」
失礼ですよね、とリリスが不愉快そうに顔をしかめる。
「猫は肉も食べられないし、乳も出さない」
「……」
「人や荷を運ぶこともしないし、畑を耕すこともしない」
「…………」
「この世でもっとも必要のない存在だから、だそうです」
私はくるりと振り返り、ずんずんと〈傷痕〉に向かって歩きだした。
「つ、つかさ殿……?」
慌てた様子で、ブエル達が追ってくる。
「何をする気だ?」
「ちょっと、世界を滅ぼしに行ってくる」
「やっぱりか!」
「落ち着かれよ」
酒天童子やジークフリートが私を抑えようとするが、それを引きずりながら〈傷痕〉へ向かう。
「どうなってんだよ! 俺らが止められないなんて!」
「ナんて力だ……」
「離せ、おらぁぁぁ!!」
ずるずると酒天童子達を引きずりながら、〈傷痕〉へ向かう。
私が攻撃されていると思ったのか、大きくなったりゅうたろうが牙をむいた。
くぅや福助も臨戦態勢だ。
「待て待て!」
「落ち着いてください!」
うるさい! 猫をバカにされて黙っていられるか!
ジークフリートを蹴り倒し、酒天童子をぶん投げる。
「邪魔するやつぁ、ぶっ飛ばす!!」
「おや、まぁ。目がイっちまってるねぇ」
「猫神様、どうにかしてください! このままだと、うちの世界も滅びます!!」




