信念。
砂に足が埋もれる。
ええい、歩きにくい!
猫達の気配はまるでしない。
どこまで行ったんだよ、あいつら……。
そういや、前にもあったな。
猫達の力を狙った連中にナニかされ、りゅうたろうさえ私を避けたことがあった。
一人きりでの旅は、ひどく寂しかった。
「まぁ、今回はコハクがいるからね」
上空を飛ぶコハクを見上げて、私は呟いた。
表世界にも、いろんな連中がいた。
力を手に入れる。
元の世界に戻る。
そのためならば、今いる世界を引き換えにしてもかまわない。
だから、この滅びかけた世界の住人が、裏世界に侵略しようとしても。
そのために、獣人達をさらっても。
私は、そんなこともあるんだろうな、とは思う。
だが。
ソレとコレとは別だ。
うちの猫達は、捨てられていたり、怪我をしていたのを保護した猫だ。
みんな、「助けて」と必死に鳴いていた。
鳴く力のない猫さえいた。
だから、私は「助けて」と必死に叫ぶ人を助けたい。
多分、猫達もそれを分かっていて、私に付き合ってくれているのだろう。
……ただ、まぁ、うっかり世界を滅ぼしそうになるのはどうにかしてほしいところだがな。
「もう少し、自分達の力を自覚しなさいよ……」
いや、自覚したところで、自制しないか。
だって、猫だから。
私は思わずため息をついた。
「ピィー!」
コハクが鳴いた。
「あれは……」
はるか遠くで、雷鳴が轟いている。
火柱があがり、激しい風が砂を巻き上げていた。
「始めやがったな……」
しかし、だいぶ遠い。
砂に足を取られて、いつものように走ることもできない。
「ピィ!」
コハクが近くまで降りてきて、得意げに鳴いた。
私の前に、足を差し出す。
「……まさか、つかまれって言っている?」
あんた、魔王サマとブエルを引きずり回してずたぼろにしたの忘れたのか?
「ピィー!」
いや、うん。分かっている。
コハクは100%好意で、言ってくれている。
そして、私の足では猫達が騒ぎを起こしている場所に行くまで時間がかかることも。
「……」
ええい、根性決めてやらぁ!
女は度胸! 猫は愛嬌! ドラゴンは……?
私はコハクの足につかまった。
多分、コハクも気を使ってくれている。
りゅうたろうを乗せている時より、はるかにゆっくりと飛んでくれている。
だが。
「ぎゃー! 高い! 早い! 死ぬ!」
報告。
ドラゴンと一緒に飛んではいけない。
「死ぬ! ムリ! 腕というか、全身がヤバい!」




