異世界。
まずは、捕まっていた人達の治療からだが……。
「にゃお」
タイミングよく、チャビ達が戻ってきた。
終わったか。
……ん? おこんとくぅはどうした?
振り返ると、くぅ達はそれはもう念入りにフードをかぶった連中に止めをさしていた。
「……」
あー、うん。
猫は、女の子の方が容赦ないからな……。
「チャビ、『回復』して」
チャビの「回復」なら、もがれた翼も切られた足の腱も、以前の状態に戻る。
ただし、副作用としてごろごろとのどを鳴らすのを聞いていると眠ってしまうのだ。
念のため、魔王サマ達には離れてもらい、チャビに「回復」してもらった。
みんな元の状態に戻ったが、やはり眠ってしまった。
「さて、このあとだが」
「エリザベートを助けにいってくる」
魔王サマの言葉に、私は答えた。
ちょうど、くぅ達も戻ってきたしな。
「では、私も同行します」
……ヴラドの気持ちは分かるが、連れて行くのは気がひける。
以前、猫神であるミーコさんから聞いたのだが、違う世界では身体が馴染まないのだそうだ。
最悪、命を落とすものもいるらしい。
今いる世界は、どんな世界からでも受け入れる。
だが、ほかの世界は異物を自世界への侵略と見なすのか、そんなに甘くはない。
そう言うと、ヴラドは顔色を変えた。
「では、エリザベートは……」
「うん。急いだ方がいいと思う」
ほかにも連れていかれたものがいるのなら、なおさらだ。
「それには、私と猫達だけで行くのが一番いいと思う」
私は転生の時に、猫神であるミーコさんの魂の一部を分けてもらっている。
さらに、女神様が猫達を逃がしたせいで、転生に手を加えられている。
そのせいもあって、不老不死とまではいかないが、かなり丈夫なのだ。
怪我はともかく、病気などにはほぼ耐性がある。
「正直、向こうの様子も分からないし」
「私は、足手まといになるということですか……」
そう呟いて、ヴラドは唇を噛みしめた。
ぎりぎりと音がしそうだった。
「……」
悔しいだろう。
自分の甘さが身内の裏切りをまねき、大切な妹がさらわれて身の危険が迫っているのに、ただ待っていろ、と言われたのだ。
だが。
ヴラドは私と猫達に向かって深々と頭を下げた。
「エリザベートを助けてください。お願いします」
その背中を、魔王サマがぽんと叩いた。
「私からも頼む。皆を救ってくれ」
「はい。引き受けました」
私は頷くと、〈傷痕〉を振り返った。
「りゅうたろう、行くよ」
手のひらサイズのりゅうたろうが、ひらりと私の肩に飛び乗った。




