沈黙は金。
さて、どうするかな……。
とりあえず、犯人の男はおこんの「創成魔法」で出してもらったロープでベッドに縛りつけた。
部屋中に舞う猫の抜け毛は……。
うん、メイドさんにお掃除してもらおう。
私みたいな素人がやるより、プロにやってもらった方が、お部屋だって嬉しいだろうし?
いや、決してメンドクサいとかではなくてですね、えーと……。
すみません。嘘をつきました。
まぁ、問題はこっちか。
床で眠りこける魔王サマとブエルを見て、私はため息をついた。
チャビの「回復」の副作用で眠ってしまったのだから、そう簡単には目を覚まさないだろう。
私だけで、この大男二人を運ぶのはムリだしな……。
兵隊さん達も気を失ったままだし。
大きくなったりゅうたろうに、くわえてもらうか?
……ああ、ダメだ。
りゅうたろうが過去にくわえて運ぼうとしたぬいぐるみのお亡くなりになった姿を思い出す。
いっそのこと、でっかいペットキャリーにでも入れて運ぼうかな……。
「ピィー!」
コハクがぱたぱたと私の頭上を飛び回る。
「運んでくれるの?」
「ピィ!」
コハクが誇らしげに顔をあげる。
「じゃあ、お願いしようかな」
またたびに酔っぱらって暴れまわった猫達は疲れたらしく、キャットハウスに入って休んでいる。
「多分、広間に……」
ちょっと待て、コハク!?
大きくなったコハクは、魔王サマとブエルの足をつかんで飛び上がった。
背中に乗せてくれるんじゃなかったのか!?
しかも、持っているのは足の方なのかよ!
「コハク、待って!」
ああ、引きずるんじゃない!
ブエルなんて、床で顔をこすっているじゃないか!
慌てて追いかけるが、張り切ったコハクはどんどん進んでいく。
がんっ、ごんっ、どんっ、と音を立てながら魔王サマ達が引きずられていった。
広間についた頃には、二人ともヒドいことになっていた。
「ピィー!」
得意げに鳴きながら、コハクが魔王サマ達を放り出す。
いや、だから、もう少し丁寧に……。
私達がきたことに気づいたヴラドとリリスが、広間から出てきた。
魔王サマ達の姿を見て、眉をひそめる。
「あら、ひどい傷……」
「あの騒ぎに巻き込まれてこれなら、ましな方でしょう」
ご、ごめん。
さっきまでは二人とも無傷だったんだ……。
だが。
目撃者がいないのをいいことに、私は沈黙をつらぬくことにした。




