封印。
……いや、洒落にならない感じになってきたぞ。
そう思ってヴラド達の方を見ると、みんな同じ気持ちだったらしい。
無言で頷くと、私達はそろりと部屋の外へ出た。
廊下には、兵隊さんやメイドさん達がばたばたと倒れていた。
しかし、メイドさんが持っていたであろう食器などは何一つ割れていなかった。
いや、プロってスゴいな……。
がんっ、と部屋が揺れる。
もしかして、猫達だけではなく魔王サマとブエルも暴れているのか?
「どうにか、被害をこの部屋だけに出来ないものでしょうか」
ヴラドが眉をひそめる。
酒天童子とジークフリートが扉を押さえているものの、気休め程度にしかなっていない。
「部屋から出てきたら、マズいよねぇ…」
お城の中で暴れまわるような事態は、さすがに避けたい。
部屋の中をめちゃくちゃにされたことを思い出し、私はため息をついた。
ボーナスが出るまで、一ヶ月以上テレビなしで過ごしたんだよな……。
「これ、使ってみるか」
そう言って、酒天童子が懐から「封」と漢字で書かれた札を取り出した。
「それは?」
ジークフリートが首を傾げる。
「あー、悪霊とかを封印するのに使う札なんだけどよ」
「…………」
悪霊、か。
「使いましょう」
ヴラドが即決した。
んー、使うのには賛成だが。
酒天童子がぺたりと部屋の扉に札を貼った。
だが。
札はあっという間に燃えつきてしまった。
「はぁぁぁぁぁ!?」
……うん。こうなると思ったよ。
部屋の中にいるのは魔王×3だぞ?
ほかの猫達だって、理性を無くして暴れまわっているし。
……ブエルは大丈夫かな。
「負けねぇからな!」
何にだ。
酒天童子は懐から札を取り出し、再び扉に貼った。
だが、案の定札は燃えつきてしまった。
「こうなったら、とことんやってやる……」
酒天童子、あんた、目が座ってないか?
札、取り出す。
扉に貼る。
札、燃えつきる。
「……」
私達は何度も繰り返される行為を、ただ見守るしかなかった。
というか、その大量の札は着物の懐に入っていたのか?
「よーし、これでどうだ!」
ふと気づけば、扉一面にぼろぼろになった札が貼られていた。
確かに、これで部屋からは出てこれないかもしれないが。
「お化け屋敷ノようだナ……」
ジークフリートが呆れたように呟いた。
扉を開けたら、なんかずるずると這って出てきそうだよな。
それよりも。
裏世界にも、お化け屋敷ってあるのか……。




