来たりしもノ。
「ジークフリートに聞きたい事があるんだけど」
「ナんだ?」
私の言葉に、ジークフリートは首を傾げた。
「竜人って、普段は竜語みたいな言葉で話しているの?」
ふむ、とジークフリートが頷く。
「もしや、聞き取りニくかったノか?」
「まぁ、時々ね」
会話が成立しない、というほどではないが、ん? と聞き返したくなる事は何回かあった。
カタコトの外国人と話す感じ、とでも言えばいいのだろうか。
「これでも、つかさ殿とはスムーズに会話が出来ている方ナノだがナ」
そうだったのか。
まぁ、私は「自動翻訳」のスキルがあるからな。
んー、つまり、ほかの人達にはもっと意味不明な感じになっているのか?
ちらりと酒天童子を見ると、へらりと笑って言った。
「さっきのも、豆大福しか分からなかったし」
……名詞しか聞き取れてなかったのか。
それにしては会話が続いていたような気が。
さては、ずっとノリで会話していたな。
「我に至っては、全く分からん」
ええー……。
ブエルの発言に、私は呆気に取られた。
いや、普通に会話していたでしょうが!
「獣人特有の勘と、あとは慣れだ」
うーん、私と猫達みたいなものなのか?
言葉は通じなくても、なんとなく分かるものだしなぁ……。
「聞く方は問題ナいノでナ」
そういうものなのか。
「元々、我ら竜人族はこノ世界ノ住人ではナい」
ああ、なるほど。
竜人族も、ほかの世界から来たのか。
「俺らもだぜ」
「知ってる」
びしゃりと言って、酒天童子を黙らせる。
今は竜人族の話を聞いているのだ。
「つかさ、俺に冷たい……」
酒天童子はデカイ図体を丸めていじけている。
話が終わるまで、あんたは地面にのの字でも書いていなさい。
「わずか百年ほど前ニ来たばかりで、まだ不慣れナノだ」
わずか百年、か。
まぁ、寿命の長い種族にしてみれば、そんなものなのだろう。
んー、あの豪華客船での違和感は……。
おそらく、ジークフリートに感じたものと同じ種類だ。
「自動翻訳」のスキルのせいで気づかなかったが、あのフードの連中が話していたのはこの世界の言語ではなかったのだろう。
つまり。
「あいつらは、別の世界から来たのか……」
だとすると、何のために人魚達を捕まえていたのか。
見せ物にするか、奴隷にするか、おおかたそんなところだろう。
竜人族や鬼族に被害がなかったのは、彼らが強すぎて制御不能と判断したのだと思われる。
「戻ったら、魔王サマに相談してみるか」




