猫です。
「……貴殿らは、何をしておるのだ?」
遅れて出撃してきたブエルが、私達を見て呆気に取られている。
お茶してますが、何か?
「うむ。こノ豆大福というノは美味だナ」
「うちの里にもうまい店があるぜ。今度、買ってきてやるよ」
人の姿に戻ったジークフリートも酒天童子も、まったりとくつろいでいる。
「オルゥの群れがせまっておるというのに……!」
「大丈夫だ」
ジークフリートは、ブエルにも座るように進めた。
私は新しく紅茶を入れてカップにそそぐ。
「ブエルもどうぞ」
「いや、しかし」
「……《あれ》に、俺らの出番があると思うか?」
酒天童子が指差した先をブエルが見た。
激しい風が巻き起こり、雷鳴が轟く。
火柱が吹き上がり、幾千もの剣がオルゥの群れに突き刺さる。
小さな小さな影が、次から次へとオルゥを仕留めていく。
群れからはずれたオルゥは、ドラゴンとそれに騎乗している大きな影が受け持っていた。
「あれは、いったい……」
「ネコチャン達だよ」
ぽかんとしていたブエルが酒天童子の言葉を聞き、ゆっくりと私の方へ振り返った。
「もしや、猫というのは仮の姿で、神獣や魔獣なのか?」
「猫です」
いや、まぁ、すこぉし普通ではないかもしれないが。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
あんたもか!
「猫? ネコ? ねこ?」
半ばパニックに陥っているブエルに、ジークフリートが私の入れた紅茶を差し出した。
「落ち着かれよ」
カップを受け取ったブエルは、一気にそれを飲み干した。
ライオンさんだから、猫舌だと思ってぬるめに入れておいてよかった。
「俺らがいても足手まといだろうからよ」
「邪魔をせヌようニとナ」
それだけではなく、ジークフリートはぎらつく猫達の目にどうやら身の危険を感じたらしい。
……味方だと言っておいたのだが。
まぁ、最近強いドラゴンに遭遇してなかったからなぁ。
「我らの決意は、いったい……」
どんよりとうなだれるブエルは、おそらく無意識に豆大福を口に運んでいる。
「お前らも休めよ」
ブエルについてきていた兵隊さん達に、酒天童子がひらひらと手を振った。
困惑したように、兵隊さん達が顔を見合わせる。
「巻き込まれたくナかったら、こやつノ言う通りニしておけ」
兵隊さん達は吹き荒れる嵐のような光景に目をやると、黙って戻っていった。
ほかの兵隊さん達にも、この状況を伝えに行ったのだろう。
お団子も豆大福も美味しかったし、次は洋菓子を食べようかな。




