だって、鳥だし。
兵を率いて出撃するブエルは、あとから追ってくる事になった。
酒天童子とジークフリートは、私達と同行する。
門庭に出ると、慌ただしく出撃の準備がなされていた。
「キング、『空間転移』」
キングがぱちりと目を閉じると、微妙な浮遊感と共に私達は移動した。
「へぇ、すげぇもんだな」
きょろきょろと辺りを見回しながら、酒天童子が感心したように呟いた。
ジークフリートが、空を見上げる。
「来るぞ」
西の空が、夕焼けのように真っ赤になっている。
だが、それは空を埋め尽くすほどのオルゥの群れだった。
「オルゥの特徴は?」
「あー、空を飛ぶ?」
「……」
私の冷たい視線に気づき、酒天童子は頭をかいた。
ジークフリートが空を見上げたまま、ぽつりと言った。
「奴等は火を吹く」
なるほど、火魔法か。
「よつば、『解除』できる?」
「にあん!」
確認された事に腹をたてたらしく、よつばはふさふさのしっぽでばんばんと地面を叩いた。
「ごめん、ごめん」
魔法は問題ない。
ならば、猫達にとってオルゥはただの「でっかい鳥」にすぎない。
「先行する」
そう言うと、ジークフリートは巨大なドラゴンに姿を変えた。
おおっ、竜人って変身できるのか。
……くぅ、目をぎらつかせるのはやめてくれ。
このドラゴンさんは、味方だからね!?
「りゅうたろうとコハクも一緒に行って!」
「……!」
「ピィー!」
大きくなったりゅうたろうが、元のサイズに戻ったコハクの背中にひらりと飛び乗った。
「……ドラゴンも連れておったノか」
ジークフリートと共に、りゅうたろう達が空へと舞い上がる。
「せり、『気配察知』しながら。よつばは『解除』」
「にゃあ!」
「にあん!」
せりとよつばが、大きな声で鳴いた。
「それじゃ、みんな、気をつ……」
私が言い終わる前に、猫達はオルゥの群れに向かって飛び出していった。
「……」
いや、まぁ、慣れているけどな!
さてと。
気を取り直し、私は無限収納からブルーシートとふかふかのラグを取り出した。
ローテーブル、大きめのクッションも設置する。
じょうろと同じ店で買ったティーセットも用意した。
もちろん、これも魔道具である。
茶葉と水さえ入れれば、いつでも熱々の紅茶が飲めるのだ。
つまみを逆方向にひねると、アイスティーにもなる。
「……何してるんだ?」
呆気にとられた様子で、酒天童子がたずねてきた。
「することないから、お茶でも飲もうかなと。あ、お団子もあるけど食べる?」
「ああ、うん……」
酒天童子も一緒に座ってお茶を飲み始めた。
「うまいな、これ」
「だよね」
真珠国のお気に入りの店で買ったのだ。
「じゃなくて!」
酒天童子が叫んだ拍子に、紅茶を入れたカップがひっくり返りそうになった。
おい、こら! けっこう、高かったんだからな!
「オルゥだぞ! 魔鳥の群れだぞ!
なに、呑気に茶ぁ飲んでんだよ!?」
いや、だって、鳥は鳥だし?
お茶するくらいしか、私はやることないんだよなぁ……。




