襲来。
んー? ジークフリートの言葉だけ、変に聞き取りにくいな。
私は女神様に「自動翻訳」のスキルをもらっているから、日常的に使われている言葉なら、違和感をおぼえる事はないはずだが。
竜人族は、普段は特殊な言語を使っているのか?
いや、待て。
あの時も、確か……。
カンカンカンカンッとけたたましい鐘の音が聞こえ、思考が中断された。
魔王サマ達が、はっとしたように顔をこわばらせる。
「申し上げます!」
扉の向こうから、兵隊さんの声が聞こえてきた。
ヴラドがちらりと魔王サマを見ると、小さく頷いて魔王サマはフードをかぶってネコミミを隠した。
「入りなさい」
ヴラドがそう言うと、下半身が蛇の兵隊さんが広間に入ってきた。
さっと右手を自分の左肩に当てる。
「西の空に飛翔する集団を確認! オルゥの群れと思われます!」
「!」
広間に緊張が走った。
フードで顔を隠しているが、魔王サマも息を飲んでいるのが分かった。
「数は?」
「目視ですが、およそ二千以上……!」
苦しげに顔を歪ませながら、蛇の兵隊さんが告げると、小人族の王女リリスが小さく震えた。
「二千……、そんな……」
「魔王陛下。出撃許可を」
ライオンの獣人ブエルが、魔王サマの前に一歩前に進み出た。
「許可する」
「酒天童子殿、ジークフリート殿。貴殿らにも、ご助力願いたい」
「承知いたした」
「空飛ぶやつは苦手なんだけどなぁ」
ブエルの言葉にジークフリートは頷き、酒天童子はため息をついた。
「……すみません」
私がぽつりと言うと、全員がいっせいにこちらを見た。
「オルゥとは、なんですか?」
おそらく、魔物の類いだとは思うが。
「魔鳥だ。分かりやすく言えば、フラーの上位種だ」
なるほど。
魔王サマの返事を聞き、私はふむと頷いた。
鳥か、鳥だな。
二千なら、真珠国を襲ってきた魔物と比べればたいした数でもない。
「私達も行きます」
「いや、だが……」
「大丈夫です」
というより、行かないとマズい。
おこんはわくわくしたような表情で私を見上げ、福助はしっぽをぴーんと立てている。
普段は食べられないものには興味がないはずのよつばさえ、完全な「解除」が出来なかったことへの憂さ晴らしがしたいのか、しゃきんっと爪を出している。
鳥と聞いた瞬間から、うちの猫達がヤル気満々なのですよ……。




