そういえば。
キングがぱちりと目を閉じると、微妙な浮遊感と共に私達は魔王の城へ移動していた。
ぐるりと高い塀に囲まれた門庭の地面には、なにやら複雑そうな魔法陣が描かれていた。
おそらく、これが転移用の魔法陣なのだろう。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
いや、だから、それはもういいから。
くぅ、いちいち面倒だから始末しとくか、みたいな目で兵隊さん達を見ないように。
「この人数で、あの距離を……?」
「騎竜達も、みんな揃っているぞ!」
「魔法陣も無しで……!?」
こういう反応も新鮮だ。
表世界では、神様達だけではなく、ギルドマスター達にもいまや神速の宅配便扱いだからな……。
いや、きちんと依頼料はいただいているので、かまわないですけど?
それにしても。
私は城を見上げた。
魔王が住んでいる城だから、古くて蔦でもからまっているような城を想像していたのだが。
白い石造りの綺麗な壁に、赤い屋根。
窓には、ところどころ花が飾られている。
庭には噴水があり、芝生はきちんと手入れされていた。
なんだろう、メルヘン……?
魔王というより、お姫様でも住んでいそうな城だ。
「お前達、戻ったのか!」
お城の入り口らしき方から、魔族が駆け寄ってきた。
ただ、私達と一緒にいる兵隊さん達とは違い、体が大きく赤い岩のような肌をしたものや、下半身が蛇のような姿のものもいた。
兵隊さん達が素早く整列し、右手を自分の左肩に当てた。
お城からきた魔族達の方が、階級が上だということだろう。
……つまり、魔族さんが言っていた「肉も食べる」連中か。
「フラーはどうした!?」
そういや、兵隊さん達は別に私達を迎えにきたわけではなく、フラー来襲の話を聞いて駆けつけたんだったな。
フラーはうちの猫達が狩り尽くしていたとはいえ、呑気に収穫とかしていてよかったのか?
つまみ食いしていた連中もいたしな……。
「フラーは全滅しました!」
兵隊さんの言葉に、蛇魔族さんが首を傾げる。
「全滅? 群れだと聞いていたが、違ったのか?」
「いえ、百羽以上だったと思われます!」
「それを、お前達だけで全滅させたのか……?」
岩魔族さんが、ぽかんと口を開けている。
「いえ、我々が到着した時には終わっていました!」
「あちらにいるネコチャン達が、狩ったそうです!」
「ネコチャン……」
蛇魔族さんと岩魔族さんが、私達の方を見た。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
だから、それは、もういいと言っているだろうが!
くぅを止める気がしなくなってきたな……。




