森の中。
森の外れにテントを張って、今日は休む事にした。
テントは女神様にもらったもので、見た目はソロ用の小さなテントだが、中に入るとキッチンやお風呂にトイレもある広い空間が広がっている。
水や電気がどうして使えるのかは、いまだに謎だが。
猫達プラスドラゴンにご飯を食べさせ、自分の夕食を用意する。
根菜とレッドバードの肉をことことと煮込むと、いい匂いがしてきた。
ボーショという真っピンクの芋も入れたので、色素が溶けだし、ピンク色のスープが出来上がる。
すっかり、このピンク色にも慣れてきたな。
香辛料で味を整え、パンとチーズを添える。
「いただきます」
んー、美味しい。
お腹いっぱいになった私と猫達は、だらだらと過ごす。
すでに魔王領に入っているが、少し情報を集めてから魔王の元に向かうつもりだ。
「……」
もし、魔王の呪いが魔族や鬼族によるものだとしたら、解けばいいというものでもないだろう。
下手をすると内乱、または他国との戦争に巻き込まれるおそれがある。
いや、うちの猫達なら何があろうと無事だろうけどな。……多分、無事ですまないのは世界の方だ。
くぅやチャビが本気でキレたら世界はもちろん滅びるし、福助やりゅうたろうでも国一つくらいなら簡単に滅ぼせる。
よつばの場合、世界中の食べ物が消え失せる。……問題は、よつばにとっての「美味しいもの」があらゆる生き物に当てはまるという事だ。
幸い、人間やドラゴンは美味しくないらしいが。
人魚は食べようとしていたしなぁ……。
あの船に囚われていた獣人達は、本当に食べるためだったのか?
よつばが反応していなかったのだから、獣人は美味しくないはずなのだ。
ほかの目的だとしたら、何のために?
まさか、不老不死の薬になるとかじゃないだろうな。
それと、気になる事がある。
あの時、連中はくぅを見て「魔王」と言ったのだ。
あまりに当然すぎてあの時はスルーしてしまったが、何故、くぅが魔王だという事を知っていた?
「黒の魔王」と呼ばれているのは表世界であって、こちらではまだ何もしていなかった。
……私達以外にも、表世界から来たものがいるのか?
んー? ダメだ、情報が少なすぎる。
とりあえず寝て、明日は魔族の街で情報を集めよう。
「……うるさい」
たっぷりと眠った猫達の早朝の戦いに、強制的に起こされた。
やーめーろー、あんた達の遊びで森一つ消えてなくなるわ!
朝食をすませ、身支度をととのえる。フード付のマントをはおり、顔を隠した。
「りゅうたろう、行くよ」
手のひらサイズになったりゅうたろうが、ひらりと私の肩に飛び乗った。
ほかの猫達は早朝から暴れたせいか、ご飯を食べるとまたキャットハウスで眠ってしまった。
人の睡眠を邪魔しておきながらいい気なもんだな、おい。
本当に、猫ってやつは……。
ぶちぶちと文句を言いながら歩いていると、森を抜けた。しばらくすると、手入れをされている道へ出た。
「村でもあるのかな、りゅうたろう」
「……」
りゅうたろうが口をにゃーの形に開けて返事をする。
「とりあえず、行ってみようか」
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