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ヤンデレ幼馴染から私は逃げられない  作者: 琥珀のアリス
番外編
6/8

私は彼女を愛してる side麻璃亜

 試験が終わった帰り道、私と美琴は手を繋いで歩いていた。


「麻璃亜、試験はどうだった?」


「美琴ちゃんが教えてくれたおかげで何とかなりそうだよ。美琴ちゃんはどう?」


「私も手応えはあったから大丈夫だと思う。あとは発表を待つだけだね」


 試験の話をしながら帰ってきた私たちは、一度お互いの解答を確認するため美琴ちゃんの家による。

 そして、お互い合格ラインを超えてそうだと判断したあとは、私が美琴ちゃんの家でご飯を作って一緒に食べ、自分の家へと帰った。


 試験から数日後、私たちは無事に2人とも凌舞高校に合格する事ができた。

 私はあまりの嬉しさに、美琴に抱きついてしまったが、そんな私を美琴も抱きしめ返してくれた。


 その後、中学卒業までの間は思い出作りのために友達とたくさん遊んだ。同じ高校に行く友人もいたが、ほとんどが高校は別々になるため、遊べる時に遊ぼうという事になったからだ。


 そして中学を卒業し高校に入学後、私は新たな問題に直面していた。

 それは美琴が高校生になった事でさらに大人っぽくなり、魅力的になってしまった事だ。そのせいで、ほとんど知らない人ばかりのこの高校では、美琴に手を出そうとしてくる奴らがたくさんいる。


 だから私は、中学の時以上に、私に視線が集中するように行動した。

 時には触りたくもない奴らの手に触れたりする事でアピールをする。

 そうする事で、私を意識する男たちは増え、逆に美琴に関わろうとする奴らを減らす事ができた。


 ただ、そんな事をしていれば当然、女子たちからのやっかみがある。

 しかし、私は美琴が好きだから男に興味がない。それと、このことは美琴に言わないようにと言えば大抵は引き下がってくれた。





 そんな事を続けているうちに数ヶ月が経ち、七月になった。

 今日も朝から美琴の家の前で待ち合わせをしているので、彼女の家に向かう。


「おはよ、麻璃亜。今日も暑いね」


 彼女の家の前に行くと、すでに家を出て待っていてくれた。

 まだ七月だか、外は夏のように暑い。それにも関わらず、外で私を待っていてくれた彼女の優しさがとても嬉しい。


「ほんとにね~。まだ七月に入ったばかりなのにこんなに暑いと、来月から耐えられそうにないよぉ~」


「あはは、麻璃亜は昔から暑いの苦手だったたもんね」


「美琴ちゃんは暑いのも平気だから羨ましいよぉ...。

あ、はい、これ!いつもの飲み物だよ!早く飲んで!」


 私はそう言いながら、中学2年生の時から飲んでもらっている私の血液入りの飲み物を渡す。


「ん。ありがとう、麻璃亜」


 彼女は私から飲み物を受け取ると、何の躊躇いもなく飲んでいく。彼女があの飲み物について聞いてきた時は驚いたが、もっと飲みたいと言われた時はとても嬉しかった。ただ、私の血液が入っているとは言えるわけもないので、売ってる場所などは内緒という事にした。


 そして、美琴が飲み切ったのを確認して、私は学校に行くため彼女に声をかける。


「さ、美琴ちゃん! 遅れちゃうから、早く学校に行こ~!」


 そう言いながら私は、いつものように自身の腕を彼女の腕に絡め、身を寄せる。

 外は暑いが、それでも彼女とこうしていられる事はとても幸せな事なので止められない。

 美琴も特に何か言ってくることはなかったので、私たちはそのまま学校に向かった。






 学校に着いた後、私と美琴はクラスが違うため各々のクラスへと向かう。私が教室に入ると3種類の視線が向けられる。

1つ目は友人として友好的なもの。

2つ目は異性としての好意的なもの。

3つ目は嫌悪感が込められた侮蔑的なものだ。


1つ目は中学から仲が良かった子が多少いるのでその子たちからのものだ。

2つ目は私が思わせぶりな行動をとった事で異性として意識している男たちから。

そして3つ目は、私は美琴が好きだから男と付き合う気はないと言って退けてきた女子からのものだ。


 特にこの3つ目は、私が同性愛者だから理解し難い、気持ち悪いと言った感情から来るものがほとんどだろう。

 私は美琴以外には特に興味がないし、友人も中学からの子がいれば十分なので気にしない。


 そんな視線を浴びながら、私は自分の席に向かう途中で友人たちに挨拶を済ませ、椅子に座る。

 その後、スマホを取り出してチャイムが鳴るまで時間を潰し、先生が来るのを待つ。朝のHRが終われば、あとは授業を受けるだけなので、お昼休みに美琴に会える事を楽しみにし、気合いを入れて頑張る。





 お昼休みになると、私をお昼に誘うため男たちが寄ってくるが、私は美琴と食べるためやんわりと断る。

 そして、2人分のお弁当を持って教室を出て、美琴のいる教室へと向かった。


「美琴ちゃ~ん、お昼一緒に食べよ!」


 私はいつものように美琴の名前を呼びながら彼女に近づく。すると、美琴は私の方を向いて微笑みながら返事をしてくれる。


「麻璃亜、いつもこっちのクラスに来てもらってごめんね。一緒に食べよ」


「大丈夫だよ! 美琴ちゃんと一緒にいられるなら、私はどこへでも行くよ!」


 これは冗談でも何でもない。私は絶対に彼女を一人にしないし、離れるつもりもない。私と美琴が話をしていると、横から話しかけてくる人がいた。


「あ、麻璃亜ちゃんだ。私も一緒にお昼食べていい?」


「もちろんだよ、雪那ちゃん! ご飯は一緒に食べる人が多い方が楽しいからね! それと.......はい!美琴ちゃんのお弁当!」


 雪那は私と美琴の中学からの友人で、よく遊びに行く仲だ。ただ、私よりも美琴と気が合うようで、二人で遊びに行くという話を美琴からよく聞く。その時のことを思い出しながら、私は美琴にお弁当を渡した。


「ありがとう、麻璃亜。いつも作ってもらってごめんね」


「いいのいいの! 私が美琴ちゃんに作ってあげたくてやってることだから! 美琴ちゃんが喜んでくれるなら、私はそれだけで満足だよ!」


「美琴~、愛されてますなぁ~」


 その通りだ。私は美琴を愛している。彼女のためなら何でもできるし、彼女を私から取ろうとする奴がいれば絶対に許さない。

 彼女は私のすべてであり、生き甲斐なのだ。


 私たちはその後も話をしながらお昼を食べる。美琴のおかずには、私の髪を入れてあるので、多少違和感はあるかもしれないが、それでも彼女は残さず食べてくれる。

 彼女はいつも残さず食べてくれるので、作る側としては本当に嬉しい限りである。そして、私は高校に入学してから毎週している質問を今日も彼女にする。


「あ。そうだ、美琴ちゃん。今週のお休みも、美琴ちゃんのお家に泊まりに行ってもいい?」


「もちろんいいけど、毎週泊まりに来て、麻璃亜のご両親には何か言われない?大丈夫?」


「うん! 大丈夫! 両親も、美琴ちゃんと一緒なら問題ないって言ってるし、何なら一緒に住めば?って言われるくらいだから、うちは気にしなくても大丈夫だよ!」


「そう。ならいいけど」


 美琴ちゃんのご両親は共働きで、ほとんど家に帰ってくることがない。それは彼女が幼い時からずっとそうで、中学生の時からはほぼ一人暮らし状態だ。

 そのことは私の両親も知っており、昔から付き合いのある美琴ちゃんのことは実の娘のように気にかけている。

 だから、私が毎週彼女の家に泊まりに行くことは止められなかったし、たまに帰ってくるのなら一緒に住んでもいいと言ってくれたのは本当の話だ。

 それに、私の両親も薄々気付いているのだろう。このまま彼女を一人にしてしまうことの危うさを。

 

 私はそんなことを考えながら、愛しい彼女のことを見つめる。


(絶対に美琴ちゃんを一人にしてはいけない。私だけでもずっとそばにいないと…)


 その後も私たちは3人でご飯を食べながら、昨日見たドラマの話や雪那の漫画話しを聞きながら過ごし、お昼休みは終わった。






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